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とにかくひたすら映画について語る vol.3

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映画関連noteが200に到達したので、新たにマガジンを作りました。
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#フランス

【cinema】レ・ミゼラブル

【cinema】レ・ミゼラブル

元々超メジャー映画を見ない私ですが、普段映画を見ない方や、メジャー中心に見る方にも、とにかく、しのごの言わずに見てくれ…!と思う映画に出合うことがあります。滅多にそんな機会はなく、でも今回この映画を見て、心底そう思いました。ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」ではありません。あの話の現代版でもございません。

舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。ここはどこだと思うばかりの団地群の連なる移民だらけの

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すべてを失う前に。

すべてを失う前に。

映画を見て、苦しくて、悔しくて、恐怖に打ち震えて、涙したことはありますか?

私は今回が初めての経験でした。

この93分間を冷静に、動揺することなく、見れる人がいたら教えてほしい。

タイムリーすぎて、狙ったのってくらい、日本でもニュースでとりあげられているドメスティックバイオレンスがテーマのフランス映画「ジュリアン」のことです。

何年か前のmyfrenchfilmfestivalとフランス映

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清々しくも儚く、でも強固な祖父と孫娘の絆。

清々しくも儚く、でも強固な祖父と孫娘の絆。

「ハッピーエンド」

ミヒャエル・ハネケ。私は彼の作品が好きだとは決して言えない。だけど、いつも私の心に棘が釘が刺さるかのように、何かを残す作品が多い。

心を揺さぶるのとも違う。考えを一方的に突きつける訳でもない。人の心の奥底に潜む、誰もが見たくもなく、気づかないフリをして通り過ぎている何かを見せつけてくるのだ、ジワジワと。それはとても居心地が悪くなるばかりで。

今回もそうだ。

建設会社

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オンナの中にある狂気とその願望について。

オンナの中にある狂気とその願望について。

ぶったまげた。その一言に尽きる。
予告編を見ていて、ある程度覚悟していたのだけど。

「RAW 〜少女のめざめ〜」

厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳のジュスティーヌは、両親と姉も通った獣医学校に進学する。見知らぬ土地での寮生活に不安な日々を送る中、ジュスティーヌは上級生からの新入生通過儀礼として、生肉を食べることを強要される。学校になじみたいという思いから家族のルールを破り、人生で

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ノンシャランと生きてみる。

ノンシャランと生きてみる。

ある賭けに出た。平日の仕事帰りに、頑張れば映画を2本観れるのではないか。さすがに今までやったことないよな。心の中では随分と葛藤があった。作品選びも慎重だ。どうしよう。観るのか?観ないのか?観るなら、何を観るのか?映画館に辿り着くまでの間も自問自答しながら、選んだ1本目がこちら…。

「ジャコメッティ 最後の肖像」

1964年、パリ。ジャコメッティはアメリカ人青年のジェームズ・ロードに肖像画の

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「嘘のない愛は愛じゃない」

「嘘のない愛は愛じゃない」

し、真理だ…!

映画を見ているとハッとするセリフがさらっと使われる。私の場合、ほぼ字幕で見るので、幾分か聞き取れる英語以外の言語の映画は字幕に頼るしかないんですが、このセリフが出てきたのはフランス映画でした。

「はじまりのボーイミーツガール」

このタイトル、映画館でチケット買うときは結構恥ずかしかったりします。女性はまだいいけど、年配の方とか、男性とかちょっと言いにくいんじゃ…。でもね、そん

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【cinema】追想

【cinema】追想

2017年78本目。

主役ジュリアン演じるフィリップ・ノワレが好きだったのと、舞台が第二次大戦末期のフランスということで関心があり、リバイバル上映のこちらを見てきました。振り返れば、ホンマに今年はリバイバル上映に明け暮れ、その良さに気づかされた1年でした。

ということはさておき。この「追想」は思っている以上にジャンルは「アクション」です。愛する妻と娘が憎っくきナチスドイツ軍に蹂躙され、惨殺され

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【cinema】エタニティ 永遠の花たちへ

【cinema】エタニティ 永遠の花たちへ

2017年73本目。

トラン・アン・ユン監督作品。彼の作品を見たのはもう何年前なんだろう。ベトナム系フランス人の彼が切り取ったベトナムの日常はたしかに絵画を見ているようだった。

そして、この「エタニティ」を見て感じたこと。現代から五代前にさかのぼっての19世紀のブルジョワ家庭に生きる女性たちを描いた物語。ほぼナレーションでストーリーは進み、会話らしい会話はほとんどない。こんな映画も久しぶりだ。

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【cinema】トリュフォーの思春期

【cinema】トリュフォーの思春期

2017年70本目。午前十時の映画祭にて。

友達のお母さんに憧れを抱くパトリック。母と祖母に虐待を受けている転校生ジュリアン。警察署長の父を持つシルヴィー。(レストランに連れて行ってもらえない件が笑える)
10階から落ちても平気だった男の子グレゴリーなどなど。ティエールの町の人々を描いた群像劇。

最初の始まり方。「ここがフランスの真ん中です」という町から従兄弟ラウルへポストカードを送る女の子マ

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【cinema】夜明けの祈り

【cinema】夜明けの祈り

2017年62本目。フランス、ポーランド映画。

ショッキングすぎる事実がテーマとなっているこの映画。

1945年12月、ポーランド。赤十字で医療活動に従事するフランス人女性医師マチルドのもとに、ひとりの修道女が助けを求めに来る。彼女に連れられて修道院を訪れたマチルドは、ソ連兵の暴行によって妊娠した7人の修道女たちが、信仰と現実の間で苦しんでいる姿を目の当たりにする。マチルドは修道女たちを救

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