澄幹 露乃(Sumiki Tsuyuno)

平成16年生/作家志望/大学2年生/東北学生お笑い/演劇サークル(主に役者) 学生製…

澄幹 露乃(Sumiki Tsuyuno)

平成16年生/作家志望/大学2年生/東北学生お笑い/演劇サークル(主に役者) 学生製作ですが毎週作品更新をしています。 少しでも頭の片隅に存在を入れて頂けると嬉しいです。 X(contact,message)···▸https://twitter.com/Tsuyunote

最近の記事

ショートショート『あの子』

あの子は今も元気だろうか。 朝ドラのヒロインぶるように、窓にいつも、もたれかかっていたあの子は 今も元気かな。 はっきりといってしまえば、顔はあんまり見たことがなかったような気がしたあの子は 今も元気かな。 保健室のベッドで眠っていた時、くちづけをしたような感覚があった。 それはそれはやさしかった。 あの正体は誰なのか。 夢から覚めた時に、ぬいぐるみを抱いていたはずの両手に 不自然な温かさが残っていたことも 胡蝶蘭の花びらが一枚だけ、私の頬に舞い降りてきたことも

    • 日記 帰省する頻度が増えたわけ

      昨日、ある大学の学内ライブを見に行った。 自分のふるさとである県のため、帰りに弾丸で帰省しようかなと思い、母に連絡。 「時間遅くなっちゃったけど、今から帰ってもいい?」 数十分後。 「いいよー、いつでも帰っておいで」の返信。 決して寂しくなったとかでは無い。 なぜならこの前の学祭で会ったばかりであるし、なんなら家族と喫茶店にも行った。 終わった時間は20:30頃。 一緒に行ってくれた同サークルの先輩の隣で 一緒に歩いていると、姉から追って連絡が来る。電話をかける。

      • 詩『ふれる』

        完成系は夢のままで それでいいのかもしれないですね 言葉をかわさない限り 変化もなけりゃ 辻褄だって合わないでしょうから どうして こんなに綺麗な見た目を しているのでしょうかね それが羨ましくて そのぶんみじめな心は さらに自身の空洞を深くさせるのです 満ち足りないまま生きる毎日 それがもし正解であるならば いっそ先に飛び立ってしまえば 空気のふりをして そばにいられるのでしょうか 血筋すら何もないから だから出逢えたのは 間違いではないのです そうおもいながら 眠

        • ショートショート「あの香り」

          喫茶店に行って、パフェを食べていると マダムが2人窓際で目を閉じ眠っているようだった。 この辺りは、栄えていてはありながら人通りが少なく心地よい、簡単に言えばお気に入りで、難しく言えば宝物であった。 作家としての人生を歩み始めてからというもの、普段と変わらず私は家で集中することに対して無頓着すぎる故、こうして外で読者からの便りを眺めたり、創作のテーマなどを考えたりなど、このお店の固めのプリンを嗜みながら行うのが世間的な休日という日の私の過ごし方であった。 ある時から、同じ封

        ショートショート『あの子』

          vlog 温もりは生き方を表す

          お盆期間中に帰省した時のことである。 私は帰省して二日目に、突然原因不明の高熱を出してしまい 今年のお盆の墓参りに行くことができなかった。 幸い一日で熱は下がったものの体調が戻らず 結局、帰省した一週間のほとんどを家の中で過ごしていた。 私が大学生になって家を出たことを起点として 家族はそれぞれやりたいことを行うようになった。 父は趣味でひとりで遠くに出かけるときが増え 母は健康維持のためにヨガやサウナに通い 姉は推しのためにさらに仕事を頑張っている。 それで私は より祖母

          vlog 温もりは生き方を表す

          vlog 今日の空も綺麗である

          今回は、いろいろなことをだらだらと話すように語りたいなと思います。 高校生のころまで私は 「20歳になるまで死ぬ、何が何でも死ぬんだ」って思ってました。 ちいさいころから 自分自身を守ること、自分が笑顔でいることが苦手でしかなくて。 まだ許される言葉でいうと躾、でも大人になって、はっきり言ってしまえば精神的暴力だとわかってしまったことをきっかけにして 広い場所で何か言葉を言われると何もかも恐怖を感じるようになって。 そのたびに自分が大嫌いになって。 例えば、学校でクラス

          vlog 今日の空も綺麗である

          ショートショート『あ・い・す』

          アイスクリーム 甘い 甘いなら 幸せである 愛すこと 甘い そして濃くもあり 幸せである ふたつに共通すること それは とけて 無くなること 不老不死の未来が叶うまでは 生きものはみんな 皮膚も臓器も体液と一緒にとけていく 骨になって死ぬ アイスクリームという食べ物は 熱いところに置いてしまうとすぐ溶ける だから私の周りは「早く食べなさい」と言った 思い出というもの それは一瞬 一生のことを交わしあったとしても きっとそれは一瞬 また日が昇ってからの生活はどうな

          ショートショート『あ・い・す』

          ショートショート『地球の広さを知ったとき』

          「ばあちゃんは、まだここさ行ったことねぇんだよ」 私は小さい頃、世界はとても小さなものだと思っていた。 番組に映るところだけが、国の全てであり、きっと自分も大人になれば世界一周とかいう壮大なことも簡単にできると思っていた。 自分が小さい頃には既に70歳を超していた祖母は、それはそれはいろいろなことを教えてくれた。 大好きだったおやつのレシピ、母が全然作らないような手の込んだ料理の振る舞いだとか、話す時の仕草も何もかも。 昔の給食は、今と比べると美味しくなかったとか時々尖った

          ショートショート『地球の広さを知ったとき』

          vlog 一歩を踏みだして

          お元気ですか。澄幹露乃です。 そろそろいろいろと身バレしそうなのですが 別にそれは良いとして大学2年生前期の振り返りをしようと思います。 今日はいつもと違って、いつも話しているような口調で書けたらいいなと思います。 予めワンクッション置きますが、暗い内容もどうしても含んでしまうのでここで見たくないと感じた方はそっと閉じて頂けると嬉しいです。 4月 無事フル単で2年生に進級し初めて大学で後輩ができました。 率直に言うと全員素敵な人しかいないです。 やりたいことに真摯に向き合

          vlog 一歩を踏みだして

          短編小説『風向きと手紙』

          お元気でしょうか、お元気で、いられているでしょうか。 すでに騒がしい街と過ごしながら何年経ったのでしょう。 いつ会えるか分からないあなたへ、つらつらと手紙を書いていられるくらい、穏やかな毎日です。 最近は、悪い噂が強いですが、それにも負けずに生きられています。 もしかすると、近いうちに会えるかもしれないし 会えないまま去っていくかもしれないですね。 明日のことって、前の日からわからないから ほんとうに、ほんとうに、いやになりますね。 今の瞬間って、彩ることができると思いま

          短編小説『風向きと手紙』

          19歳の自分が考える「最期」と「葬式」

          はじめに これは「死にゆく過程」というものがこういうものです、ということを定義しているわけでもなく、そして、書いている今の自分が死ぬ間際にあるわけでもありません。  今生きているうちに自分が「死ぬ」ことについて、今までの人生からどう思うようになったのかを書かせていただいたものです。  絶対的な事実として、いつか、私も皆さんも、死ぬのです。  ずっとずっと先のことにもなりますが空も植物も建物も、絵も土も星さえも、すべて必ず廃れていくのです。  でもそれは怖くはないと思います。一

          19歳の自分が考える「最期」と「葬式」

          ショートショート『メロンパン』

          食いだめができない人間は、毎日何かしら口に入れてそれが消化されるまで活動を行う。それは数時間、人によっては半日くらいだろうか。 とにかく何かを「食べたい」と感じられているのなら、感じられるなりに、時々は特別なものを与えないと人は食べる気力をも失いそうになる。 だから私はひとり、メロンパンを食べる。 メロンパンは、食事なのかおやつなのか分からない部類だからだ。 大体は大きくて、クッキーのような歯切りのよい生地に、ゆっくり噛めるように意図的に設定されたようなフワフワの中身。中に

          ショートショート『メロンパン』

          ショートショート『マスク』

          顔に当たるのは毛布だけがいいなと思っているけど、3年も続いたある時期が明けてもまだ続く文化、というか外せないものがある。 「マスク」 本来は外気に生息する病原菌から身を守る術のひとつ。鼻と口をしっかりと覆い、鼻に乗る針金にもしっかり折り目を付ける。 でも、世の中から自分が守るべきものはマスクだけじゃ解決できない。 この前は病院に行き、薬を処方してもらった。 また飲む量が増えた。 その前は人前で嫌味を言われた。 でも、涙は出さずにがまんした。 ひとりでなみだを流せば、誰に

          ショートショート『マスク』

          vlog 破れない壁と闘いながら

          今回は、私の内面的なことについてお話しさせていただきたいと思います。 私には、発達障害があります。 ASD(自閉症スペクトラム障害)と、 ADHD(注意欠陥・多動性障害)です。 これだけでも充分生きにくいのですが 先日、軽度ではありますが 「うつ病」と「パニック障害」の診断を受けました。 真っ先に感じたこと、それは「諦め」でした。 私は普通の人間として生きていくことができないこと。 この社会を生きていくには、多すぎる壁に閉じ込められたうえで過ごさなければならないこと。

          vlog 破れない壁と闘いながら

          ショートショート『休日』

          人は眠らなければならないし、食べなければならない。 お風呂にも入らなきゃいけないし、汚れた服は洗濯しなきゃいけない。 それでも、駆け回って過ごす私たちは素晴らしいから、週のどこか一日だけでもいたわるというものは必要だと最近感じるようになった。 焼きたてのトーストを熱いコーンスープで流し込み、窓を開ける。 それからみずみずしい野菜の繊維をかじって、咀嚼して、まだ食べ物を取り込めるという達成感を味わう。 それから、ベッドにまた戻って吉本ばなな先生の本を開く。 お供はあえて甘く無

          ショートショート『休日』

          短編小説「カレーライスのはなし」(過去作)

          老若男女問わず愛されるカレーライス。 日曜日のお昼より少し早い時間からその匂いがするのが、一種の日常のような感覚でいた。 3歳の時からずっと動き続ける換気扇と、グルメ番組、炊飯のタイマー、この3つがだいたい組み合わさっていた。しかしながらお腹は鳴らない。可笑しい。 唐突だが、私はちっちゃい時不思議だったことがある。 給食のカレーがお米と分けられていたこと。 地域によって異なるが、私の地域では、半々に分けられたおかず、汁物、缶に入ったご飯、森永牛乳、時々デザートと分けられてい

          短編小説「カレーライスのはなし」(過去作)