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日記 帰省する頻度が増えたわけ

昨日、ある大学の学内ライブを見に行った。
自分のふるさとである県のため、帰りに弾丸で帰省しようかなと思い、母に連絡。

「時間遅くなっちゃったけど、今から帰ってもいい?」

数十分後。

「いいよー、いつでも帰っておいで」の返信。

決して寂しくなったとかでは無い。
なぜならこの前の学祭で会ったばかりであるし、なんなら家族と喫茶店にも行った。

おそらく人生史上いちばん大きいかき氷を完食。
母(チョコ)と姉(抹茶)が頼んだ
パンケーキも美味しそうだった。


終わった時間は20:30頃。
一緒に行ってくれた同サークルの先輩の隣で
一緒に歩いていると、姉から追って連絡が来る。電話をかける。

「急がなくていいよ、向こうに帰るよりこっちに来てご飯食べたら?ゆっくりしなよ」

ということで、お笑いでセロトニンが回復して且つ余韻に浸りながら
私は弾丸帰省をし、実家の静かな空気を吸っていた。

今年に入ってから、帰省をする頻度が急激に増えた。
もちろん、都会での用事が増えたことも要因としてあるが、もうひとつ理由がある。

以前にも書いた、精神の治療のためだ。

自分は1歳にも満たない小さいころに発達の問題が見られ、幼稚園に入るまで場面緘黙の症状が出ていたことから、療育を経てどうにか「普通」の生活ができている状態だった。
しかしながら大学生活に馴染んできた今年、
突然症状が悪化した。
自分の身体が壊れていく感覚がはっきり分かったくらいに。
「二次的なものからとみられる」
そうと言われてもなんで自分が、と正直今も受け入れられていない。

帰省する頻度を増やしたのは、その現実逃避のため、と言ってもいいのかもしれない。

わたしはちょっぴり、いや
だいぶおかしな人間。
言葉のコミュニケーションはたどたどしくて、
人との話し方も、考えも幼いまま
身体だけが成長した人間。
おばけや虫は怖いままで、
絵本には惹かれ、
未だにお城の舞踏会だとか、魔法だとか人形が喋ったりだとかのおとぎ話に心はときめき、
勝手に壮大な想像をして喜怒哀楽が激しくなったり。
勝手に空想に浸っていたり。
人の目をじっと見つめるくせがあったり。
「○○ちゃんっていつも何考えてんの?」と
直接聞かれたりもした。
だから自分という人間を好きになったことは無い。

だから、今も、家族以外の人と
上手く話せるか不安な毎日を送っている。
曲で例えるとハンバートハンバートの『ぼくのお日さま』という曲のような感じだろう。
(この曲は吃音をイメージしたとされていますが、私も言葉の吃りに悩んでいるためこの曲を提示させて頂きました)

だから、地元にいる家族との時間が
自分の素をいちばん出せているのだろう。
(確定ではなく、あえて、かもしれないと書く。)

そこでは、言葉がすらすらと出てくる。
大学の話、ネタや演劇の話、推しの話。
変わってしまった町の話。
普段とはおかしな程出てくる。
今日だってそうだった。

道中。

小学校の目の前の商店が、建物だけぽつんと残って、店主さんがお店を辞めてしまったこと。
友人の家はクリーニング屋さんだったが
営業を終了したこと。
雑草だらけだったあの地に、新しいスーパーができるのにも関わらず、向かい側の潰れてしまった薬局はひとりぼっちなこと。

個人経営の中華料理店。

おばあちゃんと一緒にラーメンを食べた。
おばあちゃんは、私の自己肯定感をいちばん上げてくれる存在。
おちゃめで、お話上手でも聞き上手であり、まだまだ乙女で、パワフル。
どこにでも友達がいる。
現代語にすると、生粋の陽キャだといえる。
ラーメンが来る間に、いろいろな話をした。

おばあちゃんは私に彼氏がいるかどうか沢山聞く。
いないと言うと、驚く。
ご近所さんは元気か、と聞く。
元気じゃなかったら働いてねえべさ、と言う。
いつもの、ルーティーン。

わたしは塩ラーメン、おばあちゃんは味噌ラーメン。
小さい頃は私が並を食べきれなかったのに
今はおばあちゃんが並を食べきれない。
だから私がおばあちゃんの残したぶんも
全部食べきった。一杯半くらい。
辣油がまだ辛かったから、舌はまだ子供だけど
自分の成長と、おばあちゃんの年というのを
とても、とても、感じた。

父は、単身赴任を終えて帰ってきた。
けれども、日中は眠っている。
夜勤や泊まり明けの業務に数年ぶりに戻ったそうだった。身体が心配だ。
起こさないように階段を登り、自分の部屋を掃除し、母と夕食の準備に取り掛かると
「上手になったね」と後ろで毎回交わす。

今日の夕食は、手作り餃子だった。
手先が不器用だった小学生の頃よりも、明らかに綺麗に包めるようになった。
でも父は欠かさず「上手だね」と言ってくれるのは変わらない。

焼きたての餃子と、炊きたてのご飯と豚汁、ナスとピーマンの煮浸しその他いっぱいのおかずを頬張りながら
おばあちゃんとの会話を話題に出した。

「みいちゃんは何年生になったんだ?」
「大学2年生だよ」
「高校?」
「ううん、大学だよ、今19歳だよおばあちゃん」

母はこう言った。
「高校と大学の違いが分かんないのかも、ボケちゃったのかね」と笑った。
でも、でも大丈夫だと思うのだ。
おばあちゃんは決して私と姉の名前を忘れたことはないのだから。
保険をかけて、姉と私の名前を同時に呼んで、どっち?と困らせるのだから。良い意味で。

パパもママも、お空にいるおじいちゃんも、
ちゃんと毎回名前で呼んでくれたおかげだね。

ありがとうね。

今、心もお腹もいっぱいのなか、高速バスでひとり暮らしのアパートに帰っている。

幸せだなあ、でも逆に寂しくなりそう。
でもこの状態が、自分のやる気を引き立たせてくれるのだろうと思う。

あと2ヶ月で20歳になり、4ヶ月後には二十歳の集い。
早く同級生に会いたいな。

時間って、あっという間だなあ

駅に送ってくれた別れ際にこう母は言った。


「誕生日はこっちに来るでしょ?」

もちろんだよ、家族みんなで
ずっと一緒にいよう。







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