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【サマソニ2019 ライブレポート】 AM2:00、サカナクションの「深層」へ潜る

【8/17(土) サカナクション @ 「NF in MIDNIGHT SONIC」 MOUNTAIN STAGE】

深夜2時。

こんなにも深い時間から幕を開けるライブだからこそ、きっと尋常じゃないものになるだろう。

そんな熱狂的な期待で、超満員のMOUNTAIN STAGEが満たされていた。

今回の公演は、「NF」の一環でもある。深夜ならではのムードを活かした、チルアウトでコンセプチュアルなセットリストになるのではないか。そんな僕の浅はかな予想は、ものの見事に外れてしまう。

"アルクアラウンド"、"夜の踊り子"、そして"モス"。今回のステージ、出だしから一切の容赦がない。

熱烈な狂騒を巻き起こしながら、同時に、冷静に統制する。山口一郎のその姿は、まるで音と光の指揮者かのようであった。

そして、4曲目"さよならはエモーション"から、ライブのモードは鮮やかにシフトする。

紗幕に映し出されるモノクロの都市風景。

儚く揺らめく一筋の光。

憂いと切なさを帯びた映像を背景に"ユリイカ"〜"years"が響きわたる。

その音楽体験は、まさに、心象世界を巡る深遠な旅だ。

"ナイロンの糸"では、《この海に居たい》という痛切な想いが、何度も何度もループしていく。

心の奥底へと深く潜ってゆくようなその音楽体験は、言葉を失うほどに心地の良いものであった。

この中盤の展開を通して、僕は、たしかにサカナクションの音楽の真髄に触れたような気がした。

続けて、最新アルバム『834.194』のナンバーが立て続けに披露されていく。

その中でも、"忘れられないの"は、既に往年のスタンダードナンバーのような輝きを放っていたことに驚かされた。

そして、"INORI"〜"ミュージック"を通して、心象風景の深淵へと潜り込んだ僕たちは、一気に「浮上」する。

ラスト2曲"アイデンティティ"、"新宝島"の爆発力は圧巻であった。既に時計の針は深夜3時を回っていたことが、とても信じられない。

浅瀬だろうが、中層だろうが、深海だろうが、関係はない。たとえどの深さで向き合ったとしても、サカナクションの音楽は、僕たちの心を優しく満たしてくれる。

そんな当たり前な、そして同時に、かけがえのない事実に、改めて気付かされてしまった。



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松本 侃士
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