心抜きされる前の私
心抜きされる前の私は
いつも他人を羨んでいたと思う。
〇〇ちゃんは美人でいいなー、
〇〇ちゃんはモテていいなー、
〇〇ちゃんは頭良くていいなー、
〇〇ちゃんのおウチはお金持ちでいいな…。
容姿や能力にコンプレックスはあったものの、
今思えば、めちゃくちゃポジティブで好奇心いっぱいだったと思う。
若いころはいつでも合コンのセッティング役だったり、
いわゆるキレイどころではなかったものの、
とりあえず、おもしろい人、明るい人、と思われていたと思う。
好奇心も旺盛で世界、何十か国も旅したこともあったし、
サルサダンスやタップダンスを習ったり、シナリオ教室に通ったり、
ステンドグラスを習ったり、いきなり歌いだしたり…と、
決してうまいわけではなかったし、よい結果が出せたわけではないものの、
自分の好奇心に忠実に生きてきたと思う。
仕事に関しても、広告業界や航空業界など、
自分の可能性を信じて、もちまえの図々しさや、
いろんな人の助けもあって、
幸運にも自分の能力以上の、
やりがいのある職を得られたと思っている。
心抜きされる前の自分は自分でもその価値を
考えたことすらなかったのだけれど、
心抜きされて気づいたことは、
魅力ある色々なものを持っていたということだ。
そして、喜び、嫉妬、怒り、悲しみ、幸福感、愛…。
よくも悪くも人間味あふれていた存在だったと思う。
こんな当たり前と思っていたことが
どんなに素晴らしいことだったか、
心抜きをされて、思い知ったのだ。
「あのころの自分に戻りたい!!
神さま、どうか私に心を返してください!!」
幸せとは、失ってから気づくものなのだ。