シェア
かるぱっちょの旅日記
2022年5月14日 18:07
「本能は、後年のために蓄積された過去の経験と知識の本質であろう」 これは、かの有名な新聞「ニューヨークタイムズ」に掲載された、アメリカ出身の企業家「ヘンリー・フォード」が残した言葉です。大学時代、人間の本能と知性を考えるようになった私の中で、未だ忘れられない言葉として存在しています。「身につけてきた知性と経験の崩壊を繰り返すその先で、人間の先天的本能に辿り着くことができる。」このように考え
2022年5月21日 18:04
*前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月15日午前8時。私たちは、多くのエジプト人に助けを借り、空港からゲストハウスに辿り着きました。部屋に荷物を置いて、少し体を休めようと思った私たち。しかし、1つの不安が頭をよぎりました。次に行く国、スーダンについてです。行き方はもちろんのこと、入国方法やビザを取得しなければならないのかなど、知らないことだらけ。「部屋で休憩なんてしている場合じゃな
2022年5月28日 18:03
*前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月15日午後4時。人気のない、暗く細い裏路地。スラム街の入り口としては十分すぎる雰囲気に、圧倒される私たち。闇の世界に引き寄せられるように、奥深くへ。 「明らかにさっきまでとは違う。太陽の光が少ない。もうすでに真夜中みたいだ。」 考え出せばキリのない心配事から目をそらし、私たちは入り組んだ路地を歩き続けました。 人がすれ違えることが
2022年6月4日 18:03
*前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月16日午前7時、起床。私たちは、昨日に取り損なったスーダンのビザを取得するため、スーダン大使館に行く必要がありました。地元民でさえ分からなかった、スーダン大使館の移転先。宿のスタッフ、花崎さん協力のもと、何とか場所を突き止めることに成功しました。しかし、スーダンはイスラム教徒が大多数を占める国。犠牲祭(イスラム教の祝日)の影響で、大使館が閉まっ
2022年6月11日 18:48
*前回の物語はこちらから!!!!!「Which is better, tourist way or Egyption way ?」 (ツアーで行くか、地元民が行く方法で行くか、どっちがいい?) ピラミッドに向かう車内で、私たちに声をかけてきた1人の男性がいました。名前はムーディ。彼は達者な英語で、ツアーとEgyption wayの違いを私たちに詳しく教えてくれました。・Egyptio
2022年6月18日 19:05
*前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月16日午後2時頃。ピラミッド行きの車まで、私たちを案内してくれた謎の親子。その車内で、私たちに話しかけてきたムーディ。彼らと共に馬に乗った私たちは、かの有名なギザのピラミッドへ向かうはずでした。 しかし、私たちが進んで行く方向はピラミッドとは真逆。遠ざかるピラミッドを背に、徐々に募っていく不安と恐怖。「(このまま彼らについて行って良いの
2022年6月25日 19:06
*前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月16日午後4時頃。ムーディらに案内され、ようやく辿り着いたピラミッド。いや、ピラミッドではない。ただ、岩の塊が雑に積み上げられただけの景色。そこを、7000年の歴史がある墓だ、と語ったムーディ。彼の後を追って、それに登る私たち。そこで私たちは、ようやく気付いたのでした。「私たちを助けてくれる人など誰もいない。もうどこにも逃げられない。」
2022年7月2日 19:23
※前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月16日、午後4時半頃。この日に過ぎ去っていった無数の出来事に、何も整理をつけられないまま、話し合いを終えた私たち。偶然が起こした今に、唯一残された選択肢は従うことのみ。散らかったままの事実から目を逸らし、休憩所に戻りました。そして、そこで目にした新たな人物。ムーディらが取り囲む、その真ん中に座る老人。全身を覆う、黄ばんだ白い服。休憩所に到着後、
2022年7月9日 20:13
※前回の物語はこちらから!!!!! 2018年8月16日、午後6時頃。休憩所で出会った、反キリスト教老人。その思想を継ぐ、ムーディたち。彼らの偏ったイスラム信仰を目の当たりにした私たち。徐々に募る、不安と恐怖。そして、案内された砂漠の出口。コンクリートの壁の下方。人の手で破壊された抜け穴。その狭い出口を通り抜けた私たちを、出迎えるムーディの言葉。「今からピラミッドに登るから、先払いで12万
2022年7月16日 20:36
※前回の物語はこちらから!!! 2018年8月16日、午後18時半頃。突然ムーディから12万円を請求され、もはや彼の支配下にいた私たち。それでも払うわけにはいかない、と必死で続けたハリボテの嘘。しかし、いとも簡単にそれらをかわし、私たちをATMに誘導するムーディ。「何とかこれで引き下がってくれ。」そう願いを込めて、差し出した2万円。それで納得したかに思われた次の瞬間、ムーディは私の胸にかけてい
2022年7月23日 19:55
※前回の物語はこちらから!!! 2018年8月16日、午後7時半頃。連れてこられた廃墟のような家。まるでそこは、詐欺師のアジト。そして、今晩はここに泊まれ、というムーディの言葉。私たちから根こそぎ奪うつもりの彼。どうにか逃げる言い訳を捻り出した私たちでしたが、完璧な答えを用意するムーディには通用しませんでした。「(もうどうにでもなってくれ。)」と、もはや絶望を超えてしまった私たち。この時、全て
2022年7月30日 20:20
※前回の物語はこちらから!!! 2018年8月16日、午後7時半頃。詐欺師ムーディのアジトにて、彼らの言いなりに行動するしかなかった私たち。完全な支配と、強固な主従関係。そこから必死に抜け出そうと、私たちはムーディから携帯電話を借り、宿のオーナーに助けを求めました。一方のムーディは私たちが電話をしたその履歴から、宿の情報を調べることを目的としていました。手に入れた情報から私たちを追い回し、全財
2022年8月6日 20:15
*前回の物語はこちらから!!! 2018年8月16日、午後10時頃。ようやく詐欺師から逃げ切ることに成功。緊張の糸は切れ、溢れ出す負の感情。不安定な精神状態。私たちは、涙を流しながら宿に向かいました。迷惑をかけてしまった宿のオーナーに、謝罪と感謝を。そう思って開けた宿の扉。耳に飛び込んできたオーナーの罵声。そこに、心配や安堵は微塵もありませんでした。その後、私たちは小一時間ほど、無謀なバックパ
2022年8月13日 20:25
*前回の物語はこちらから!!! 2018年8月17日、午前8時半頃。警察関係者にも顔が利くオーナーの人脈と、詐欺師ムーディが大麻を吸っていた動画。この2つを武器に、私たちは宿の近くにある警察に向かいました。しかし、そこには頼りない小太りの男性警官が1人。ここでは何もできない、と私たちはギザ観光警察へ連れて行かれることになりました。「面倒な案件はたらい回しなんだ」と、諦め雰囲気が漂う車内。そして