見出し画像

「無念の初日 in エジプトー流れ着いたスラム街ー」アフリカ縦断の旅~エジプト編②~

*前回の物語はこちらから!!!!!


 2018年8月15日午前8時。私たちは、多くのエジプト人に助けを借り、空港からゲストハウスに辿り着きました。部屋に荷物を置いて、少し体を休めようと思った私たち。しかし、1つの不安が頭をよぎりました。次に行く国、スーダンについてです。行き方はもちろんのこと、入国方法やビザを取得しなければならないのかなど、知らないことだらけ。「部屋で休憩なんてしている場合じゃない。」そう思った私たちは、ゲストハウスで働く日本人従業員、花崎さんに相談し、インターネットから情報を集めました。その結果、以下のことが分かりました。

・スーダンにはアライバルビザが存在しないこと。
 アライバルビザとは、空港や国境などから入国する際、その場で取得できる入国許可証のことです。ちなみに日本のパスポートは信用度が高いので、ビザなしで入国できる国がほとんどです。

・スーダンのビザを取得するためには、まずエジプトにある日本大使館から紹介状を受け取り、それを持ってエジプトにあるスーダン大使館に行く必要があること。

・ほとんどの大使館が15時に閉まること

・エジプト、スーダンなど、イスラム教徒が多い国では毎年、犠牲祭という宗教的な祝日があること。それが今年は8月21日であり、その前後数日も祝日扱いとなること。この前後数日の具体的な数字は決まっていないこと。祝日であれば、スーダン大使館は閉まっているということ。

 以上の4つから、私たちは焦らなければなりませんでした。現在8月15日。もはや祝日に入っているかもしれない。急いで外出の準備をし、まずスーダン大使館への紹介状を受け取るために、日本大使館に向かいました。


 ゲストハウスを出て、地下鉄に乗り、駅を降りて迷いながら歩くこと計2時間。日本大使館に到着。さすが真面目な日本人。イスラム教徒ではないこともあったせいか、しっかりと開いていました。すんなりと紹介状をもらうことに成功し、一安心した私たち。しかし日本大使館職員でさえ、他の大使館が閉まっているかは分からない、とのこと。
「労働者のさじ加減で、祝日かどうか決まるなんて日本では考えられない。」と宗教、文化の違いを感じながらも、再び駅まで歩き、スーダン大使館へ向かいました。

 スーダン大使館がある最寄り駅に到着。花崎さんに「分かりやすい看板がある。」と伝えられていた私たちは、その場所を目指し、歩き始めました。アメリカやヨーロッパ諸国、様々な大使館が建ち並ぶ通り。しかし、なかなかスーダン大使館を発見できません。時間のない私たちは、びくつきながらも、銃を持った大使館警備の人々に場所を聞いて回ることにしました。

 そして、案内された場所は完全な砂地。目印と言われていた看板は泥まみれ。

「は?????」

 すると、私たちの表情を察してか、案内人はこう言いました。「スーダン大使館は別の場所に移動した。それがどこかは全く分からない。」

 アフリカに着いた初日から、2カ国目に行くことが厳しいという現実。他に行く当てのない私たちは肩を落とす他ありませんでした。絶望的なスーダン行き。少ない望みにかけて、明日もう一度、移動先へ出向くことに決めました。

画像1



 時刻はすでに午後3時。スーダンのビザ取得に失敗した私たちは、特にすることもなく街をぶらついていました。

 「アフリカせっかく来たし、スラム街行ってみよう。」と唐突に口を開けたぴょんす。

 「行くしかない。」と即答する私。

 未だ2人の会話の成立は理解できないですが、私たちはエジプトのスラム街に行くことになりました。しかし、事前に何も調べていない私たち。どこにあるのか、そもそもエジプトにスラム街があるのか、簡単に足を踏み入れて良い場所なのか。
 それでも、訳の分からない行動力だけを持つ私たちは、道行く人に聞いて回りました。

 「スラム街はどこですか?」と。

 今思えば相当失礼な質問だったかもしれません。「裕福な生活を送る日本人が、貧困層を馬鹿にしに来るぞ。金を奪ってやろう。」こう思われても仕方ない状況でした。
 しかし、エジプト人の優しさは私たちの想像を超えていました。誰であろうと声をかけた人は百発百中で、質問に答えてくれました。私たちの身なりが、とても裕福とは思えないものだったからかもしれません。

 そして歩き回ること1時間、私たちは大通りに面した2つの大きな建物の間に続く、暗く細い裏路地の前に辿り着きました。

 人の気配はない。非合法の香り。本当に人が住んでいるのか?事件に巻き込まれないだろうか。突然誰かが襲ってくるかもしれない。

 しかし、ここまで来たからには危険は承知。
 不安を抱きながらも、私たちは自分で自分の背中を押しました。


 さあ行こう、暗闇の世界へ。


*続きの物語はこちらから!!!!!



いいなと思ったら応援しよう!