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川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
2018年11月30日 10:21
ユートピア見知らぬ瞬間 ここはどこここは空白 珊瑚駅無実の領域 目をあけて安心していい 色白の横顔 肯定する 平和よごれた空気は入れない失意のうろこ ひとつぶもおまえはだめだ 思い出せ遠いむかしの くちづけだ苦手だ ちらかる この事実宝石 幸運 屈辱でもいいなにか産めればよかったよあいにく あなたはいそがしいでも いや ただの ハッピーエンド 下校
2018年11月28日 00:16
ふたりきりよろこびあふれる 空き地ではあなたの名前は セ、リ、ア確信している かたくなにそこに意味でもあるように消去しようよ いやなやつ算数しても分からない国語の教科書 つまらないどこなの ただしい植物相うれしいよ そのシンパシーだけど 歯向かう 否定するだから 減らない 体重は まだもう絶対に 上機嫌これでおしまい しあわせだ呼吸困難 がまんしたなら
2018年11月25日 11:10
木陰たまごの黄味をくりぬいてその敬虔さ 亀が知る無理に ため息 つかないで無理矢理 にごって すねないで蒼茫 無情 手錠の輪うたかた 錯覚 無関心はっきり言って興味ない吹き荒れる 時 それが なにポプラにかかる火山灰嘲笑 しぼり 深紅の目自分の影の犠牲になって不老不死でも こわい でも凶器は未練 豊饒のこだま 消えても がんばりなさい 変身わたしの
2018年11月24日 20:44
空想きつね 嘘つく また懲りずペットボトルは点々とガルガンチュアのお姫さま非常口への目印だ「自転車ですか」「船でした」サンタクロースが見つからずホームズまでも健忘症時計回りに苦笑するつばめ 帰らず 定数化阿修羅の眠り 去勢中母の電話で 加速する 無知コーヒー 紅茶 コーラ でも水が飲みたい ただの水その味こそが わたしのハート ヒロイン胸を裂かれる
2018年11月23日 20:45
はだしの日々不器用だけど上手ですきみは本当によく笑うだけど 書けない カタカナでカエルの名前 かわいそうきらいな野菜 たくさんで手を洗えない あやふやで目の奥 もっと 強くなれきみは本当にいい子ですなんにも なんにも 言わないではだしの日々を守るから右手 左手 そう にぎれますただしいものと ちがうものすてきなものと いやなものきみは本当に上手に笑う
2018年11月23日 00:56
田園の秘密乳母車にはリンゴだけリンゴをつめて木陰まで豆電球の イチジクのかたちはくずれ カモメの目ステンドグラス たたきつけ粉々になるフライパン青いレンガのトンネルだ通り抜けたら 雨 光私の姉は二階から花壇に落ちた 目がまわるだから帽子は大切にしてあなたの枝にシャツをかけかがやく種もばらまいて灰になるまでここにいるから いつかどこかでナイフ 水筒
2018年11月22日 20:31
うぶごえ蚕の王様 手紙 書くアルコールランプ 麦 燃やすガスか ボタンか ホウセンカきみは友達 肩 たたくペンギン ヒロイン 蛇 すすき今年最初のヤマブドウツタのからまる天秤に釣り合うものはなんだろう磁石でまわる三角形プレゼトには糸車贈っておこう 全部 遺伝子肺の隙間で 球根は心のかわりにならなくてだけど今夜がたのしみでした ミカンの川飛びこめばい
2018年11月22日 00:07
プールで浮き輪真夏に死んで 胸が割れにじんで たれる 消毒薬谷間の底で寝しずまる水玉模様のリノリウム耳が 額が ちがうから同じジュースを飲んでいた桜並木の午後三時あの花は でも ゼラニウム空のまんなか 生まれ 泣くスカートはいた女の子水族館で待ち合わせよう「いつか きっと」が口ぐせのアイという名の女の子いま なんにでもなれる あなたは きみの墓それ
2018年11月22日 00:03
神さまだった少女 なんて気圧だ まるで月窓際が好き はなつ 花スカートゆれる 嘘の春少し泣いたら もう夏だ右むけ右した馬鹿がいるガラスが割れて 魚の目排水溝で見つかるのあのころじゃない そうじゃない神さまだった少女には約束なんてできなくてきみは偽善者 心を食べる神さまだった少女でもぼくの気持ちは分からないなんにもないよ 「あるけど」「ないよ」 夏至
2018年11月20日 20:22
悪い子供悪い子供の住むところ校舎の裏の焼却炉あの子の声をとじこめて銀のロボットくしゃみした悪い子供はひとりきりアサガオの種のみこめばプールの水もにがくなる真昼の月とゆるい坂いまはなんにも分からない色えんぴつで描いたうそ手と手をつなぐ 心 みつけてやさしい人に出会えたら雨も強いし風邪ひくしもっときれいに生まれたかった くちぶえ泣く泣く蜂の羽を織るあん