詩 36〜40
木陰
たまごの黄味をくりぬいて
その敬虔さ 亀が知る
無理に ため息 つかないで
無理矢理 にごって すねないで
蒼茫 無情 手錠の輪
うたかた 錯覚 無関心
はっきり言って興味ない
吹き荒れる 時 それが なに
ポプラにかかる火山灰
嘲笑 しぼり 深紅の目
自分の影の犠牲になって
不老不死でも こわい でも
凶器は未練 豊饒の
こだま 消えても がんばりなさい
変身
わたしの影は いにしえの
歌と踊りを目覚めさせ
そこでは人がヤギになる
ひっくりかえって 鉄のねじ
よその国なら 襟もとに
こめかみ痛む 風呂あがり
毛布をくぐり どこへいく
なんの風呼ぶ 今日は泡
早く聞かせて 本当の
うそのおはなし 皿 目 夢
ざわざわします おもちゃ箱には
こげた歯ブラシ これはなに
のぞけよ 宇宙 まわりなよ
その腕 ほのお その声 こがね
恋の世界で人間は
花をつみます 雪の朝
できれば蝶も とまらせて
たったか 足踏み 三拍子
勇気を出して 馬が立つ
あめだましゃぶり 水浴びの
あとで 夕焼け わたる風
つばさは ひえて 燃えあがる
もう一度 練習 歌う鳥
缶からに ひげ かき鳴らし
絵も描けますし しっぽの「し」
なでてもいいよ そんな猫です
なにも知らない人魚姫
かわいいアリスになれるかな
軽い女の子 重い女の子
キャンプファイヤー
あの胸さわぎ 足音が
弱い心を受精させ
勝手に生まれる白い玉
不思議だけれど そうらしい
大きさ はやさ ただ こわい
いまさら孤独はこまるから
舌うちしながら 好きな色
むらさき あびて がまんする
コウモリを見た せきをした
顔をならべる きもだめし
背すじ のばしても けだるい鼓動
いたましいほど おさなくて
ただの夜空が暗号で
オレンジジュースは一〇〇パーセント
おさななじみ
かしこい人の健康さ
あなたはおろか 睡眠中
遠慮しないで 年の差に
信頼しないで どしゃぶりだ
月面世界 地下世界
あわいあこがれ もう 徒労
嫌悪のにおい なんだっけ
あんまりやさしく触れないで
小鬼の祈り すきとおる
ふてくされても花柄で
無責任だということになる
不安なんです ぎざぎざの
無邪気な不安 覚醒の
ななつの力 おなかがすいた
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