川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『…

川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『水族館で鬼ごっこ』 / 脚本 舞台『銀河英雄伝説』シリーズ他 / 二松學舍大学文学部国文学科 講師 / ポストメタルバンドlantanaquamara / Twitter @TKawamitsu

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自己紹介

あらためて 私のやっていることを 自己紹介させてください。   1 脚本家   舞台「銀河英雄伝説」シリーズ他 商業演劇で脚本を担当してきました。 原作から脚色する仕事が多かったためか 構成は得意です。 企画書、プロット、脚本など 執筆のスピードには定評があります。     2 講師・先生   二松學舍大学で脚本の書き方、読み方を教えています。 個人でも創作教室を開講しています。 単なる「添削」ではない、共同制作者としての 有益なアドバイスができるよう心がけています。  

    • 【通信講座】 小説「毛の塊」 講評

      当然ながらモーパッサン『脂肪の塊』と比較しましたが、特に関係ないようでした。 私小説風の淡色で単調に書かれていますが、ねらったものなのか分かりませんでした。織田作之助の「お茶漬け小説」のようでした。 最後のシーンは色彩的にうつくしく、気持ち悪く書けそうなところなのに、鮮烈なイメージは皆無でした。嗅覚をも動員しようとしていますが、成功していません。 誤字や、わざとかもしれない破格は問わず、あまり傷はないようですが、おもしろくはありません。 イメージの躍動、想像力にみずからブレ

      • 【通信講座】 小説「猿面冠者」 質疑応答

        ・あまりにも私の下手な小説であることが分かりました。加筆修正をしても無駄でしょう。そこでなのですが、これから小説を書くのは辞めたほうが良いでしょうか。そんな下らない質問を寄こすなと思うかもしれませんが、宜しくお願いします。 書きたければ書いたほうがいいと思います。 本気で書くなら、大事なのはつづけることです。 まわりの人間はだんだんやめていくので、最後まで立っていれば勝ちです。 ・なぜ小説語を書いてはいけないのか。(意図せずに書いていたのかも知れません)そもそも小説語とは何

        • 【通信講座】 小説「猿面冠者」 講評

          菊池寛と芥川龍之介にあこがれて太宰治が書いた初期の作品を、さらにぎこちなくしたような印象でした。 伝えたいことは分かりますが、不明、無用のレトリック、また、能にも歴史にもさしてくわしくない私でも確実に嘘だと分かる記述が多すぎます。不正確な表現はフィクションならざる「嘘」です。 11ページ中2ページ目くらいで読むのをやめようと思いましたが、なんとなく神学的な主題が出てきて、この時代、この題材とどう調和させるのか、少し興味がわいたので、苦痛でしたがなんとか最後まで読みました。

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          詩 397

            呼 わたしは いつも 人ちがい マアカのふりして 愛がない 体温低下 指がない いつも いつでも いま 昼寝 空気は うすい 歌えない 歌いたいなら 生きていて 復活 信じて 焼却の 教科書 ひもとく もう一度 やっぱり わたしは 夏が好き ふとんを干したら ただ 歩き 潮騒 セミも 浴衣も いらない やっぱり わたしは ここが好き わたしは いつも 読書です 読めるものなら 世界も あなたも

          詩 396

            純粋感覚 虹なら 渦の一種です 種子の核には 必然の 顔に かがやき ありがとう 顔には 顔の夢があり 人形 売ります いい子です ほほえむばかりの 生徒たち ちかいの数を 数えては 残酷の意味 書きかえて わたしの弱さが せきたてて くすみ わたしの子供の目 生きとし生けるものたちの 生まれた日なら 誕生日 物質 けずり 絵を 満たし 花粉を 少々 大きな愛へ

          詩 395

            月溶液 水脈 閉じこめ 文字は 紅 煙のように タマリスク 解読できないままでいて ぬいぐるみの足 夜の音 あなたがしたいことをして だけど 決まらず あなたたち 名前 決まらず 絶縁体 あやしく リリー 夜の音 ママ ママ ママへ あとがきを 馬のたてがみ うるわしい 月に姫君 むかえにいけば けものか 悪魔か あどけない 子供のままか 星 星へ 落下傘めのノスタルヂアか

          アルタイルの詩(笑) (13) 終

          4−6   咲希、登場。ウェディングベールをかぶっている。 咲希 むかしむかし、天の川のそばには天の神様が住んでいました。 渉  天の神様のひとり娘は、織姫と言いました。織姫がやがて年ごろになり、 咲希 天の神様は、娘に、天の川の岸で天の牛を飼っている、彦星というお婿さ    んをむかえてやりました。 渉  ふたりは、たのしい生活を送るようになりました。 咲希 でも、仕事を忘れて、遊んでばかりいるようになったのです。 渉  天の神様のもとへ、みんなが文句を言いに来るように

          アルタイルの詩(笑) (13) 終

          アルタイルの詩(笑) (12)

          4−1 松岡 (声)いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、    波にたゞよひ波の様(よ)に、    君が柔手(やはて)を我が肩に     こゝには人目ないものを。   松岡、千秋、登場。   千秋は車椅子に乗っている。松岡が押している。 渉  …… 千秋 〽︎いのち短し、 渉  ……やめてください。 松岡 なぜ。 渉  いや……千秋さん。 千秋 なぜ。 松岡 患者さんたちに迷惑だから? 千秋 ほかの患者さんがどこにいる? 松岡 どこにもいない。 千秋 では……

          アルタイルの詩(笑) (12)

          アルタイルの詩(笑) (11)

          3−3   永井、拍手しながら、登場。 永井 見せてもらいましたよ。聞かせてもらいましたよ。 咲希 あ、ヤクザ。 永井 誰がヤクザだ。    老婆心ながら、ひとつ、よろしいかな? 本当に夢を夢だと思っているの? 夢……あえて夢をいうことばをつかうが、夢なんて、神さまの神殿や、幽霊のすみかや、天国や、もしかしたら地獄のような場所にあるものさ。漠然とした、つかみどころのない、抽象的でたどりついたものなんていない。こう言えばいいのかな? 今度は、目的、ということばをつかってみよ

          アルタイルの詩(笑) (11)

          アルタイルの詩(笑) (10)

          3−2   渉、咲希。 咲希 どうしたの? 渉  なんか…… 咲希 楽じゃん。自由にやらせてくれるんだってさ。 渉  なんか…… 咲希 なに? 渉  役者って、そういうものかな、って。 咲希 どういうもの? 渉  ……   沈黙 咲希 きみもオーディション? 渉  まあ。 咲希 で、受かったわけだ。 渉  きみも。 咲希 わたしはさ、電話が来たとき……   咲希、正面をむく。オーデションでうかったときのことを再現する。 咲希 めちゃくちゃうれしいです。    はい

          アルタイルの詩(笑) (10)

          アルタイルの詩(笑) (9)

          3−1   神崎以外。 大輔 好きに、自由にって……どこまでやっていいんですかね? 松岡 思うにね、遠慮しすぎてたんですよ。 洋子 もっと、思ったことを言ってもよかったですよね。 松岡 ぼくね、72歳なんですって。    おかしいじゃないですか。日中戦争がどうの、「いのちみじかし」のゴンドラの歌、軽く120歳を越えてないと、口に出ないですよ。    渉の年齢設定で1歳ちがうとかどころじゃないって。 永井 あいつの老人イメージって、そんなもんなんですね。    戦争を体験し

          アルタイルの詩(笑) (9)

          アルタイルの詩(笑) (8)

          2−1 神崎 カット!   神崎、登場。   緊張がとける。 神崎 おつかれさまでした。じゃあ、打ち上げのほうに。 松岡 セリフ、長いですよ。 洋子 クッソ長い。 大輔 誰が書いたんです? 神崎 ぼくですけど。 みんな えっ。 由紀子 才能あるじゃないですか。 永井 もっと書いてもよかったと思うな。 奈津美 そうそう。長いけど……おぼえやすい、言いやすいっていうか。 大輔 なんていうの? 現代のシェイクスピア? 松岡 バーナード・ショー? 洋子 三島由紀夫よ。 神崎 本

          アルタイルの詩(笑) (8)

          アルタイルの詩(笑) (7)

          1−13   永井、由紀子、登場。 永井 ここだと聞いたよ。 由紀子 あなた…… 永井 (手で制す)きみに、ひとつ忠告がある。もう来るな。理由は分かるな。 渉  分かりません。 永井 しずかに、最期を看とりたい……あの子の心を、みださずに。きみは、咲 希のなにを知っている?    病室のベッドで、月に顔を照らされながら、かすかな声で、わたしには聞こえた。「大嫌い……渉なんて……大嫌い」 渉  え…… 永井 ひとすじの涙も、青白く染まっていた。はかなく落ちた……落ちたんだよ

          アルタイルの詩(笑) (7)

          アルタイルの詩(笑) (6)

          1− 11   大輔、奈津美。 奈津美 大輔。ありがとう。 大輔 なんだよ、そんなこと……結局…… 奈津美 うん。ふられちゃった。 大輔 やけ食いでもするか? 奈津美 ……焼肉とかさ。 大輔 おまえのおごりな。 奈津美 えー。 大輔 ありがとう、って言ったよな。ちゃんとかたちで示せ。 奈津美 カラオケとかね。   ふたり、笑う。   沈黙。 奈津美 本当に……なんて言ったらいいか…… 大輔 おさななじみの一大事だ。助けないわけにはいかないだろ。 奈津美 おさななじみ

          アルタイルの詩(笑) (6)

          アルタイルの詩(笑) (5)

          1−8   渉、大輔、登場。   大輔、渉を突き飛ばす。 大輔 おれは、おまえをなぐらなきゃいけない。 渉  ……どうして。 大輔 ……一生分からねえよ……   大輔、なぐりかかろうとする。 奈津美 やめて、大輔。   奈津美、登場。   大輔、手をとめる。 大輔 ……でも、こいつが…… 奈津美 どうしたの? 大輔 ……なんでもない。   大輔、去る。 1−9   夕焼け。   渉、奈津美。 渉  なんだ……あいつ……(奈津美へ)見舞い? 咲希の。 奈津

          アルタイルの詩(笑) (5)