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読書企画:米原万里作品を読んでいく

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テーマを決めて読書すると発見や学びが増えたりします。米原万里さんの作品が好きで少しずつですが読み進めています。米原さんの著作について語る人は今もいるので、そんな皆さんの投稿を集め…
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#コラム

2019/6/12 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」感想 / 他人事では断じてない

2019/6/12 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」感想 / 他人事では断じてない

以前参加した読書会で、次の課題図書として紹介されたのがこの本だった。結局その読書会にはそれきり行かず、だからその場でKindleで買ったもののしばらく読まずにいたのだけれど、ふとそういえば、と手にとったら、これがすごい本で、あっという間に読み切った。

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」の著者の米原万里さんは、両親の仕事の都合で、10歳から15歳までチェコのプラハ・ソビエト学校で学ぶ。本作はその時に

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不実な美女か 貞淑な醜女か

不実な美女か 貞淑な醜女か

翻訳本は、正直読みづらいと感じることが多い。
文章がぎこちなくて一読しただけでは意味が取れず、同じところを何度も読む羽目になって、読み進めるのにすごく時間がかかることも……。
でも今読んでいる翻訳資料本は、すらすらと読める。
訳した人のスキルの違いや、翻訳者の文体と自分との相性の問題ってことなんでしょうね。

ロシア語通訳で、作家でもあった米原万里さんの著書『不実な美女か 貞淑な醜女か』によると、

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議論を回避する日本

 米原万里さんは、子供のころの一時期プラハで学習していた経験がある、エッセイや小説も書くロシア語通訳の方です。
 その米原万里さんが

 「振りをする」というのは日本社会の特徴ね。自分の知的能力に自信がないと分かった振りをして、議論を回避する。

と言っています。
 そう言われてみると、問題提起しているニュースや個人的意見に対し、
「まあ、そういうことでしょ。」「あたり前だろ。」「分かっていたこと

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