赤味噌問題を解決して味噌カツをいただきます。
どんな土地にも個性はあって、食文化にもそれぞれの魅力があります。中でも名古屋方面の食文化は個性的。“なごやめし”なんて言葉が生まれるくらいなので、名古屋のグルメには特に際立つ個性があるといっていい気がします。
🐽味噌カツはなごやめし
そんな“なごやめし”の代表のひとつがこれ。
味噌カツです。はじめて食べたのは学生の頃。名古屋近くの街出身の同級生の実家に遊びにいったときでした。そのとき食べた味噌カツ、美味しかったなぁという記憶がふとよみがえってきました。
普通ならソースをかけて食べるとんかつに、味噌ベースのタレをかけていただくのが名古屋風。味噌はもちろん赤味噌です。
🐽赤味噌は名古屋だ
そんな名古屋の赤味噌文化は想像以上。
味噌カツ以外にも、味噌煮込みうどんに味噌おでん、どて煮。味噌汁だって赤だしです。そんな街だから、カツにもソースと似た色の赤味噌を使ったのかなと思うと、なんだかそのこだわりに頭が下がります。
🐽では作ろう味噌カツ
というわけで今回のご当地グルメアレンジ再現は、名古屋の味噌カツにしてみます。
まずはカツ。もちろんトンカツです。
お肉の部位はロースが一般的かもしれませんが、今回作るのはアレンジ再現レシピなので、好みでヒレにしました。
ひと口サイズで衣をつけたカツを揚げていきます。
からっと揚げて、しっかり油を切ってカツの完成。
🐽舞い降りた赤味噌問題
続いて味噌カツが味噌カツであるための絶対条件、味噌だれにとりかかるのですが、ここである問題が。
ふだん我が家に常備しているのは合わせ味噌。味噌汁にするにしても、和え物に使うにしても合わせ味噌で、赤味噌は常備していません。
ならば赤味噌を買ってくる…いやいや、そのあとどうする。我が家の冷蔵庫にはいつもの合わせ味噌がある。そこにさらに赤味噌を買う。味噌がダブルでダブル味噌。これはけっこうな量になりそうです。
しかも赤味噌…ふだん使うのかな。そう考えると、もしここで赤味噌を買ってしまうと、冷蔵庫でいつまでも眠ってしまいそうです。もしかしたら、次に登場するのは、今回作る味噌カツが気に入って、次回味噌カツを食べたくなるときかもしれません。
名古屋出身ではない自分にとって、味噌カツを食べたくなる次の機会がいつくるのか。それはちょっとこの時点ではなんともいえません。
もしひんぱんに食べたくなるくらい味噌カツが気に入ったとしても、しょせんカツのソース。ふだん自分が食べるカツにかけるいつものソースの量を思い浮かべても、年単位で冷蔵庫に陣取ってしまいそうな気がします。
困ったな。
ではいつもの合わせ味噌で、味噌カツのソースを作ってはどうか。あくまでアレンジ再現企画なので、味噌カツのたれが合わせ味噌ベースでも問題はないはずです。
といいつつ、やっぱり赤味噌にこだわりたい。なぜならば、これは名古屋のご当地グルメ。なごやめしだから。ならば、味噌は赤味噌がいいんです。
この葛藤。これはまさに“赤味噌問題”と呼んでもいい、一大案件です。たぶん。
🐽解決策がひらめいた
味噌だれを合わせ味噌で作ればそれで解決する問題でもあるのですが、どうしてもその代案でよしとする、あと一歩が踏み出せません。今までのアレンジ再現では、おなじなごやめしのあんかけスパや、群馬のカツのせパスタで、本家は太麺を使っているところを、自分の好みというひとことで細麺にアレンジしたりしてきたのに、今回はどうしても納得できないんです。
その理由をあらためて考えると答えはひとつ。
結局、赤味噌の味噌だれで作った味噌カツを食べてみたい。そういうことなんですよね。食べたいから作る。ああ、そうか。このとき、料理をするということの本質的な動機をあらためて感じさせられました。
結局、味噌だれはどうなったのか。
結論からいうと、赤味噌問題は解決しました。もちろん、赤味噌採用の形で。
そのカギになった秘密兵器がこちら。
そうか、これがあるじゃないか。
小袋のインスタント味噌汁、生みそタイプ。赤味噌仕立てバージョンです。
🐽味噌だれはこれで決まり
💧タレの材料
・インスタント味噌汁の赤味噌…小袋1
・みりん…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・醤油…小さじ1/2
ボウルに材料を合わせます。
これで赤味噌問題完全解決。別添えのフリーズドライの味噌汁の具は残ってしまいましたが、それは次にお味噌汁として飲むとき、2袋分の具を入れて具マシマシ味噌汁にすれば解決です。むしろ豪華で嬉しいかも。
とんかつを盛りつけます。
上から味噌だれを。
ぱっと見、ソースみたいですけど、まごうかたなき味噌だれです。
仕上げにごまをたっぷりと。
🐽懐かしい記憶の味噌カツ
記憶があいまいなのですが、学生の頃はじめて食べた味噌カツに、ごまがかかってたような気がするんですよね。なのでそんな感じにしてみました。
ひと口食べると懐かしい気分。名古屋出身ではありませんが、はじめて食べたときの印象が強烈だったんだと思います。
そしてそのあと、名古屋方面にいく機会がないまま過ごしています。だからこそ、もはや曖昧になったあの日の記憶が、自分の中の味噌カツなのです。
なごやめし、興味深いですね。味噌カツ、美味しくいただきました。