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ほっこり木の葉、ほっこり衣笠。
木の葉。この言葉を聞いてなにが浮かびますか。たとえば初夏の緑に染まる山。秋を彩る紅、黄色。季節が深まると地面を埋めつくす、そんな自然の風景のパーツ。
🍂丼の木の葉
でも、それだけじゃないんです。これ、これも木の葉。
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丼です。
丼にはいろいろあるけれど、その中でも定番のスタイルが卵とじ。カツ丼、親子丼、ずばりそのまんまの玉子丼。だしの効いた甘辛いつゆに卵を溶いて、半熟とろとろに仕上げてごはんの上に。
そんな卵とじ丼のスタイルのひとつが、木の葉丼。関西では定食屋さんやお蕎麦屋さんでよく見る、かまぼこの卵とじ丼です。
🍂木の葉丼つくります
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🍃木の葉丼の材料(1皿分)
・かまぼこ…5~6切れ
・ねぎの青い部分…細めのもの1本分
・玉ねぎ…1/6個
・しめじ…10本くらい
・醤油…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・みりん…大さじ1
・だし汁…1/2カップ
・卵…1個
・ごはん…お茶碗1杯分
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かまぼこ、玉ねぎ、しめじをだし汁と醤油、みりん、砂糖で煮ます。
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玉ねぎがしんなりしたら、ねぎを加えて溶き卵をとろり。
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蓋をして弱火でぐつぐつ煮ます。
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卵がいい感じに固まったらOK。
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ごはんの上に載っけます。
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これが、関西の木の葉。木の葉丼です。
🍂体が温まるような味
うどんのおつゆとか、飲むとなんかほっとしませんか。あれをさらにまろやかにしたような、卵とじの風味。そしてカツや鶏肉ではなく、メインになる具がかまぼこ。
木の葉丼って、なんだか優しい味なんです。ひと口食べると、ほんわかと体が温まるような気がする丼です。
🏔雪に見立てて
そんな木の葉丼と、なんとなく似た印象を受けるメニューがあります。
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これ。これはなんでしょう。
答えはこちら。
衣笠は京都にある山の名前。ごはんに載っけた丼のアタマを山に見立ててということですが、山なんて衣笠山に限った存在じゃないのに、なぜ衣笠が丼の名前に選ばれたんだろうと思っていました。
でも衣笠山に、雪に見立てた白衣をかけたという、エピソードを知ってから、お揚げさんを卵とじにした丼のビジュアルを、あらためて思い浮かべるとわかる気もします。
山を形づくる大地の色を甘辛く煮た油揚げが表し、木々を思わせるねぎの緑に、固まった卵の白身が雪に見立てた白衣。なにより、ごはんの上にこんもりとアタマを載せたそのシェイプが山のよう。
🏔衣笠のアタマ
今回はそんな衣笠丼をライスレス、おつまみスタイルでつくってみました。
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🦊衣笠丼のアタマの材料(1皿分)
・油揚げ…1枚
・ねぎ…細めのもの1/2本
・玉ねぎ…1/6個
・醤油…大さじ2
・砂糖…大さじ2
・みりん…大さじ1
・水…大さじ1
・だし汁…1/2カップ
・卵…1個
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細く切ったお揚げさんに、砂糖、醤油、みりん、水を加えて火にかけます。
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沸いてきたら少し火を落として、そのまま煮詰めます。ここで油揚げにしっかりと、甘めの醤油味を染み込ませておくのがポイント。
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お揚げさんが茶色く炊けたら、玉ねぎとねぎを加えて、だし汁投入。
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玉ねぎが透き通りはじめるまで煮ます。
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溶き卵をを加えて、弱火に落として蓋をします。
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卵がお好みの固さにかたまったらできあがり。
🏔お皿の上の雪化粧
衣笠丼の名前の由来を思い出しつつながめると、たしかに雪化粧した山のように見えてきました。
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今回はごはんに載せるのではなく、いつもの水切り豆腐にかけて、おつまみとしていただきます。
もちろん、ごはんに載っけて、丼にしてもOK。豆腐と油揚げって、ある意味これも親子丼かもしれませんね。
ひと口食べると、やっぱりほっとする。なんだかほっこりする味です。
🍚ほっこり味の共通点
数多ある丼と比べると、メインの具材がかまぼこだったり、お揚げさんだったりすると、なんとなく物足りなさそうに思うかもしれません。実際のところ、子どもの頃はカツ丼や親子丼と比べると、わくわくするメニューではなかった気がします。
でも、その頃から木の葉丼も衣笠丼も、なんだかほっとするような、そんな気持ちになれるメニューでした。それこそ、ほっこりする味だったのです。
なんとなく、このふたつのメニューをセットで思い出すのは、ちょっと地味な感じのメインの具の存在感と、食べたときのほっこりする気持ちが似ているからではないかと思うのです。
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