谷口茂 Shigeru Taniguchi

谷口茂 Shigeru Taniguchi

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自己紹介

プラトンの普遍的イデアを、トマスは「個」のイデアが根源的であると一見矛盾する論を示した。その研究をカトリック神学会や中部哲学会等で発表してきました。 researchmap.jp/thomasaquinas2000

    • 生きがい、人生の目的;いにしえの神学

      「生きがい」の本質をお話します  以前もコメントにも書きましたが、『夜と霧』のV.フランクルが、purpose in life testを提唱しました。アウシュビッツ収容所経験で、「人生の目的」を持つ人は苦悩にも耐えて生き抜くことができた事実を下に、精神分析医としてその重要性を示しました。茂木先生の今回のお話もその路線にあると思います。  近接目的と究極目的との理解についても、古代・中世の最近接因causa proximaと最高遠因causa maxima remotaとの

      • 情報展開過程、未来へ・・。

        宇宙の全てを現実化できるエネルギー。アルゴリズムを生みプログラム情報を生成し集合集積する過程を全うする。 生物身体のどの部分の細胞にもなる万能細胞。DNAプログラムで身体システムを担う一つの役割を全うする。 何にでも成れる個体として誕生する人間。学習プログラムで社会システムを担う一人の役割をもった人生を全うする。 どんな情報も処理し保存できるように開発された人工知能。学習プログラムから新しいプログラムを自律生成し情報の集合集積過程を全うしていく…。

        • 進化過程=宇宙自然の情報展開過程

          松田語録:Goover〜Perplexityに対抗する検索エンジン - YouTube  先生方が、多くのフィンチを探索して分析するダーウィンの様に思えました・・。 フィンチは「フィンチとは何か」とは問わず、各々の主観がフィンチ(自然)を生きる。 人間は「人間とは何か」と問い、主観意識がフレーム「ワーク」即ち、主観の枠を超えて反省・超越する「作用」で、人間(自然)拡張で生きる・存在する範囲も拡張する。  自然発生の生存プログラムから人工の存在拡張プログラムへの発展が生

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          人間にとってのロゴスとノモス

          人工知能の時代、動物化する世界の中で想うこと  ドット・コミュニズムが展開するにしても、古来の衆愚な民主制への傾向や、ダニング・クルーガー効果の問題は潜在すると思います。そうした事態に対して、教育・啓蒙が為される必要を、これまた古来から言われてきていますが、その程度の如何で、現状をつくっているのでしょうか?  はたまた、茂木先生の専門分野で言えば、前頭前野の作用が情動を抑えきれなくなる状態に陥る人の割合が増えてきたのでしょうか?軍事力・警察力という「力」による抑止が、民衆に

          人間にとってのロゴスとノモス

          音、音楽と人間、その環境条件

           松田語録:The Sound of Silence〜カバーして億再生、PentatonixとDisturbed 楽曲のリバイバル、カバーは本当に多く、先日、このサロンのコメントに記した映画『陽のあたる教室』の冒頭でも、J.S.バッハの『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳』の中に含まれる「メヌエット ト長調 BWV Anh.II/114」が、「ラヴァーズ・コンチェルト」として広まっている話があります。元曲は長らくバッハ作曲とされましたが、現在ではクリスティアン・ペツォールト

          音、音楽と人間、その環境条件

          人間の様態

          松田語録:握力と認知機能  握力と言えばチンパンジーは人間の5倍ほども強いとされますが、類人猿はぶら下がり移動で瞬発力のある腕の筋肉の特質を獲得したようです。  様々な生物が環境適応による生存・繁栄の道を辿り、その特質を獲得してきているわけですが、試行錯誤などでの生存・繁栄のエネルギー損失を減らし、最適効率に向けて試行錯誤の結果情報の学習(記憶=情報量)と、予測推論シミュレーション(演算=情報処理)とを実行する脳の特質を獲得した動物が、いっそう生存・繁栄してきたと言ってよい

          トノーニの『統合情報理論』の解説動画

          この動画を見ると眠れなくなるかもしれません...科学から見た『意識の謎』の答えがヤバすぎる!意識とは情報を統合する現象である!!【意識の正体 哲学的ゾンビ 都市伝説】  くろ丸先生、本当によく纏めて下さいました!!先生のワーキングメモリーは相当容量が大きいという気がします、凄いです。トノーニの『統合情報理論』の解説動画として、ピカ一と思います!!  さて、私自身の問題意識は、この「情報の統合」理論において、「統合」という現象が、如何に発生してきているか、自然世界でのその展開

          トノーニの『統合情報理論』の解説動画

          人類学、聞き流せない・・・。

          https://www.youtube.com/watch?v=t7IWas_9ugg...  全く知らずにいた学者なので、お教えいただき、感謝です。またこれだけの学者を知らずにいたことを、お恥ずかしく思います。  さて、この動画でご紹介、解説してくださったインゴルドの思想法は、興味深く視聴しました。「人間する」という、人間存在の動的なシステム様態の表現に、ナーガ・ルジュナの『中論』における現象理解を対応させるなど、最近の思想潮流に沿っている点に、関心が向きました。  テト

          人類学、聞き流せない・・・。

          エネルギーが情報に成る過程

           【YouTubeLive】開催シンギュラリティサロン#83 - YouTube 松田先生が「還元主義」の立場を改めて、more is differentの相転移で各層(=システム)を観る視点を採用したと仰られたのは、分った気になりました。しかし更に、無限とも思える諸層の底流には「エネルギーと情報」との関係があり、そこに「還元」というか、基礎原理を見出そうという視点はございませんか?  私自身も、宇宙の発端から「エネルギーが情報に成る過程」が、この宇宙自然の展開過程を現象

          エネルギーが情報に成る過程

          全ての主観意識=私が主人公となれる「物語」

          アメリカ大統領選挙と、「幸福」についての幻想  茂木先生がここで仰ったことを、中世では「個と普遍との問題」で論じました。そしてそれは「神の知」論で包括されました。  その細部を「物語解釈の循環性」で、リクールやガダマーが論じたと思います。物語そのもので、その理解を示そうとしたのがミヒャエル・エンデで、その典型が『はてしない物語』ではないかと思います。映画『ジュマンジ』にも類型が観られます。  実際、本でも映画でも、「意識」がその「物語」に入って、主観の追体験を(誰しも)

          全ての主観意識=私が主人公となれる「物語」

          近未来の形相・質料論

          クリエイティブAI講座:ORGANA〜化学実験の有能なロボット助手  医療手術のダヴィンチにしても、半導体製作ロボットにしても、動作精度に関しては人間の手を超える制御が可能になっている技術が、松田先生の仰る「重い」(質料的)リアルな条件をクリアしており、そこに今、「軽い」(形相的)ヴァーチャルな条件で展開している技術を結び付ける事態が起きていると言えるでしょうか?  今のところ、先生方が仰っているAI-ロボットの進歩状況は、人間の相互エージェント様態を貴族的上流社会メンバー

          近未来の形相・質料論

          2024年公開シンポジウム「脳組織を人工的につくることの意味を考える~科学者と哲学・倫理学・宗教学者の対話から~」へのコメント

          2024年公開シンポジウム「脳組織を人工的につくることの意味を考える~科学者と哲学・倫理学・宗教学者の対話から~」  先ず、自然状態の可視的スケールで人間の脳を観ます。  人間の生体個体脳は、その情報に対する量と処理速度の限界を超えるために、合図・言葉、図示・文字というような聴覚・視覚のメディアを発生し、それを発展させ、コミュニケーション・ネットワークで社会拡張脳の能力限界を高めました(山極寿一先生)。  これにより各個体脳は、相互エージェントとして能力の特化・専門化を進め、

          2024年公開シンポジウム「脳組織を人工的につくることの意味を考える~科学者と哲学・倫理学・宗教学者の対話から~」へのコメント

          人類(普遍)と個人の「終わりの始り」

          次回サロンの案内:2024.11.10 13:30-15:30 テーマは…?  ビッグ・ヒストリーというフレームワークで、宇宙自然の情報過程を観るスケールリングを極大化すると、「過程」の時間的分母が極大化して、分子の歴史的推移が少々長期でも、それほどの変化に見られないことになると思います。  古代からの思想史上も、ヌース・ロゴスを問うて、その作用の極に至ったノエシス・ノエセオスという様相・様態は、中世・近世・現代を経ても結局、同様の帰結を見せると思います。エネルゲイア(純

          人類(普遍)と個人の「終わりの始り」

          メディアの共進化

          松田語録:Illuminate (youtube.com)    存在する物の関係性を発生させるメディア。  初期宇宙から「4つの力」の作用で物質の現象、関係性が発生したという理解でいいでしょうか?それは間に働くメディアの根源といえないでしょうか?  物質が複合的にシステムを構築した生命的存在の間には、複合的なメディアの作用が発生しています。  植物も伝達物質を放出して、同種・異種の存在に、現況を伝達していることが判明してきました。人間等の動物でも、体の内外に伝達物質を

          神概念と知性―自然・生命・人間・AIー

          「神」はすべての人の立場を経験していなければならない。 (youtube.com)  何度かコメントさせていただいておりますが、「神」概念は、人間の族長・君主という共同体社会概念であることは、もう議論の余地はないと思います。動物のリーダー・ボスの延長でしょう。これを自然現象の「何か大きな力」にも、personificationで結び付けたと言えます。  その経緯は、自然観察・観測をしてそこに法則を見出し、人間社会のノモス(法)を投影して自然法則とします。それを実践化して技術

          神概念と知性―自然・生命・人間・AIー