現代“自我”社会と狩猟社会における言葉の意味「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民」🌳第三部最終回🌳
前回第二部では反省しない人々と題して「ごめんなさい」のないプナンのゆるやかな集団的自我を紹介しました。
最終回は日本社会において大事な大切な「ありがとう」がないというのはどういうことなのか、考えてみたいと思います!
レッツ・ゴー トゥ ザ フォレスト🌳🌳🌳
所有。
物欲。
これは人間は本来的に持っているものなのか。
はるか昔の縄文時代、自分のものという概念は持たず人々は分け合って暮らしていたのだろうか。
インドネシア、プナン民族は食べるために生きている。
森や川から狩猟漁労によって自然から分けてもらう食料を村人に行き渡るように配られる。現代におけるプナン社会でも基本的な生き方は変わっていない。では「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民」より再び引用してみよう。
プナン民族において所有欲というものは幼少時より矯正されるようである。
太古の昔、おそらくは元々こういうことは自然なカタチで行われていたのではないかとぼくは思う。しかし、やがてプナンのような狩猟社会にも資本主義的物質世界は流入してくる。文化人類学者とともに。または旅行者とともに。または彼らが町へ赴くことも今ではあるのだろう。
自然なカタチでこのようなリーダーとなるような人々が多かった時代もあったのであろうが、現在は伝統的生活を守るため幼少時に矯正が必要とされる。はて、これは現代社会に合う人間を作るために幼少時から幼稚園小中高校と通わせる社会と同じようなことをしてるのではないか。現代社会には現代社会的〈超自我〉があり、プナンにはプナン社会の〈超自我〉があるように思われる。(超自我とは社会的にまたは家族的にこうあるべき、〜するべきというような規範、道徳的観点)
社会形態は違えどこれは同じことではないか?
現代日本において「ありがとう」という言葉ほど強調される言葉はないのではないか。
ありがとうと伝えよう、1日100回ありがとうと言おう。SNSやこのnoteに於いてもそういう記事はよく見かける。
その「ありがとう」がないというのはなかなかの衝撃である。
その代わり「良い心がけ」という言葉がある。貰ったことに感謝するのではなく、贈ったことを褒める言葉だ。
現代日本社会においてありがとうという言葉は人間関係を円滑にし、ぼくもよく使うようにしているが「ありがとう」と言うことで相手はニコッと笑ってくれる場面がよくある。
ありがとうの代わりに「良い心がけをした」と日本で使ってみたらなんだこいつはと思われるに違いない。
ぼくらは何かを他人にしてあげたら、またはものを貰ったら感謝されると当然の如く思っているからだ。
純粋に〈ものが霊とともに循環する社会〉では本来、「ありがとう」もなく「良い心がけ」のような褒めることもないのかもしれない。ものが回るのは当たり前の事だからだ。
言葉は社会通念とともにある。
押し付けられ作られた自我同士のコミュニケーションとしてあるように思える。
よって
現代のありがとうも
プナンの良きことをしたも
外から満たす言葉なのだ。
外から包み込む言葉なのだ。
ぼくは内から何かを湧き起こらせる言葉の使い方があるのではないかと思う。
魂側から湧き起こってくるもの。湧き起こってくる言葉。
それで生きることが出来たら
人々はこの社会を変容させる事ができるのだと思う。
押し付けられたものを削いで、削いで
魂からの言葉を立ち昇らせたい。
ここまで書いてきて普段からぼくが取り組んでいるヨガの八支則に思い至った。以前の記事でも紹介したことがあるがヨガ八支則にはああしてはいけない、こういう風に生きましょうという教え、ヤマ・ニヤマというものがある。教訓的なものだ。教室に通えばたまにヨガの先生が口にすることだろう。
しかし、これもぼくは先にくるものでなく、
ヨガの目的サマーディが達成された時、内から湧き出て行動に現れるものだと思うのだ。
サマーディまでいけないとしても内側が豊かになれば自然と現れてくるもの。
結局のところ、前回記事と同じ結論に落ち着く。
心の森を豊かにしていくこと。
この記事を書こうと思っていた当初の結論とは違うところに落ち着いた。プナン的生き方は素晴らしい、本来はありがとうというも言葉は要らないのだ、というところにぼくの思考は行くと思っていたが、現代社会でもなくプナンでもないというところに結論が来た。これが書くことの面白さ思考の面白さである。
プナン的狩猟民族的生き方は出来ないし、現代社会のままでもいいはずはない。
現代的生き方、狩猟社会的生き方の差異を自分の中に取り込んでその差異は差異のままとしてこれからの生き方を今生きているこの場所で見出していきたい、生み出していきたいと思うのだ。
第一部🌳
第二部🌳
参考ブログ
ヨガ八支則について
《転倒してしまった教え》
誤解されたパタンジャリ 五十嵐浩子さんの記事より。
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ものと精神💫💫💫
人の意識と社会変容 反集中とは何か!?➁ 《2つの世界にあるグレーゾーンに立ち続ける勇気を持とう》
この記事おもろい↑🌟
ご一読ありがとうございました!
プナンの子育て方法も面白いので紹介したかったのですがいつものことながら長くなりすぎたので、またいつか機会があったらと思います。
もしくは「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」を読んでみる事をおすすめします。
とても読みやすく示唆に富んだ良書です。
以上です!
ナマステ✨
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