
メンタルを整える「腸」の真実!
心が疲れている時は、心に対してアプローチするのが第一と考えがちですよね。
もちろん、メンタルを整えるために心理学を学び実践することも大切ですが、
今回は別の視点からメンタルヘルスを語ってみましょう。
メンタルを整えるために腸内環境を良くした方が良いよ!
というのが今回のテーマです。
心と腸は繋がっている
脳腸相関、という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
「腹が立つ」
「はらわたが煮え繰り返る」
「腹の虫が治まらない」
「太っ腹」
「腹をくくる」
「腹黒い」
「腹を割って話す」
などなど、
僕達は昔から心(脳)と腹(腸)を結びつける言葉をたくさん使ってきました。
緊張してお腹が痛くなった…
という経験が誰にでもあるように、経験知として心と腹のつながりは意識しやすいものですからね。
そのため、「腸は第二の脳である」なんて言い方をされることもあります。
さて、
医学的に心と腹の繋がりを説明しようとすると、避けては通れない物質があります。
幸せホルモンとして有名になったセロトニンです。
※正確にいうと、セロトニンはホルモンではない
分泌される臓器と標的器官が異なるものを「ホルモン」と呼ぶ。
神経から出て神経に効くセロトニンは、「神経伝達物質」である。
セロトニンの5つの働き
セロトニンとは脳内の神経伝達物質であり、トリプトファンという必須アミノ酸から合成されます。
「精神安定作用がある」というのは割とよく知られた話ですが、
その他の作用も大切なので順番に見ていきましょう。
①精神の調節
セロトニンの働きによって、
ドパミン(喜び、快楽)や、ノルアドレナリン(恐怖、驚き)をコントロールすることで精神状態を安定させます。
セロトニンが多い=幸せ、とは一概に言えないのでそこは注意が必要です。
ですが、
セロトニンが心の状態をコントロールする物質であることは間違いありません。
②食欲の調節
セロトニンは「満腹感」を感じさせ、食欲を抑制する作用を持っています。
つまり、不足すると暴飲暴食に繋がりかねません。
強いストレスを感じた時に甘いものが食べたくなる理由の一つは、
糖分を摂取することで一時的にセロトニンが分泌されるからです。
③睡眠の調節
睡眠のリズムや季節の変化に対応する「メラトニン」というホルモンは、セロトニンから作られます。
すなわち、
セロトニンが不足することで睡眠の質が低下してしまいます。
④腸機能の調節
セロトニンによって腸のぜんどう運動は制御されています。
したがって、
消化管におけるセロトニンの作用が抑制されることで胃腸管運動が低下し、便秘になる可能性があります。
⑤記憶力の調節
セロトニン神経系が記憶機能や集中力に重要な役割を有することが分かっています。
セロトニンだけで集中力を語れるわけではないですが、
不足して良いことはなさそうです。
腸内細菌がメンタルに及ぼす影響
続いて、
腸内細菌が精神/神経に及ぼす影響について見ていきます。
❶精神機能
・炎症と酸化ストレスは、うつ病を引き起こす大きな原因の1つ
・うつ症状が大きい患者ほど腸内の慢性炎症が多く、酸化ストレスを抱えている
・ジャンクフードや食べ過ぎによって腸内細菌の悪化と腸の炎症をもたらし、うつ病の原因になる
・プロバイオティクスを飲むことでうつ病の改善に効果がある
※プロバイオティクス(probiotics)
ビフィズス菌や乳酸菌など、体にいい働きをする生きた微生物のこと。
プロバイオティクス食品としては、ヨーグルトなどの発酵乳、納豆などがある。
❷脳機能
・健康な女性に、ヨーグルトとプロバイオティクスを4週間飲んでもらった結果
→情動と感覚の中枢処理をする脳領域が活性化
❸精神障害
・自閉症の患者は腸内細菌が変化しており、症状の強さは腸の状況に左右される
・自閉症の患者は、腸のバリアに異常が見られるケースが多い
・腸内の炎症が強い人ほど統合失調症にかかりやすい
・統合失調症の患者には、 リーキーガットや腸内に炎症を起こしているケースが多い
※リーキーガット(Leaky Gut)
腸が持つ腸管上皮細胞によるバリア機能が低下して、腸壁の透過性が上昇することで、本来は腸(Gut)を透過しない未消化物や老廃物、微生物などが生体内に漏れ出す状態(Leak)のこと。
まとめ
心の病気を治療しようと思ったら、腸にも意識を向けないといけない時代になってきています。
理学療法士などのリハビリ職種で栄養面の勉強をしている人はまだまだ少ないですが(僕を含め)、
全人的に患者さんを診る上では、心理面同様、食事面に対する知識も必要不可欠だと思っています。
一緒に勉強していきましょう!
次回は、
腸と幸福をつなぐ経路を紹介した後に、具体的にセロトニンを増やすための方法について解説していきます!
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理学療法士を11年やってきたけど、自分のパーソナリティを今すぐ理解して欲しい。学校では「患者や同僚との関わり方」は教えてくれない。真面目な人ほど対人関係でメンタルを病みやすい。でも、自分の根っこを知ると変われる。パーソナリティを作る”5つの特性”について分かりやすくリプ欄に書きました
— 寺島佑@理学療法士×自律神経×心理学 (@re_1021_) February 27, 2023
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