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錦秋十月大歌舞伎『婦系図』『源氏物語』*歌舞伎座は小紋と紬の花盛り。色無地も飾り紋で
夜の部は悲恋の二本立て。立役は大変、不利である。どんなに美しくとも、観客に恨まれかねない。
一幕目は泉鏡花作の新派『婦系図』。イヤフォンガイドの解説によると、泉鏡花の実体験を原点に書かれた話だそうで、小説はドロドロの展開になるのだけれど、舞台化するにあたって『湯島境内』の場に結末を置き換えた。
ストーリーの変更を泉鏡花が快諾した理由は明治の、「身分」や醜聞に縛られた結婚の馬鹿馬鹿しさというテー
秀山祭九月大歌舞伎『妹背山婦女庭訓』『勧進帳』*歌舞伎座の秋単衣は九寸帯がマストアイテム
一幕目『妹背山』の『花渡し』の場、上手の襖から現れた玉三郎丈(定高)動く人形のように隙がなく、松緑丈(大判事)はいつものお茶目さを封印。そして、定高と大判事、二組の親子の不遇を息を詰めて見届けた客席は二幕目の『勧進帳』で大はしゃぎ。亡くなった吉右衛門丈が「孫の丑之助を義経に、また、弁慶をやる」という「八十路の夢」を息子・染五郎丈と共に果たす幸四郎丈の弁慶を応援したいのだ。拍手に応えて幸四郎丈が熱演
もっとみる團菊祭五月大歌舞伎『鴛鴦』『毛抜』『幡随長兵衛』*今月は趣向が盛り沢山!
一幕目は51分、二場の舞踊劇『鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)』。ラストで鴛鴦の羽を描いた袖をパタパタと。綺麗でした。
さて、そのストーリーは?
河津三郎は曽我兄弟の父。後に、暗殺される人物だけに、なんやかやで敵が多い。赤っつらの股野五郎もそのひとり。河津三郎を妬む股野は、遊女・喜瀬川を彼から奪おうとして彼に相撲を仕掛け、負けてしまったのである。泉のほとり、河津に生き血を飲ませて狂わせ