和風一年生

趣味は長唄三味線と陶器集め。着物に学び、己を知る

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    歌舞伎を見に行った感想です。

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    着物好きさん、大集合! 着物エッセイや着付けとコーデのハウトゥ本

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PN「和風一年生」です。長唄三味線を習っています。発表会でのしくじりから、着付けに再チャレンジ。成長行事ナシ、仕事での着用ナシ、お稽古事で着る機会は年一回の私がどうやって着物を楽しむの? 成長の記録をエッセイに綴り、目下の投稿数は100本超え *マガジン* きもの本棚 → 着物の本の紹介 歌舞伎座  → 観劇&演目のやや、大袈裟な感想 長唄の聖地をゆく → 長唄の曲紹介と旅のエッセイ #自己紹介

    • 明治座十一月『花形歌舞伎』*抜いた衣紋が気になる一階席

      着付け教室でお世話になっている円居さんのイベント「きもので観劇」に参加し、明治座の『花形歌舞伎』夜の部を観劇。明治座はほぼほぼ、初ですが、事前にお話会「きもので観劇を楽しむコツ!」をやってくれるので、安心です! (後ろの席に座っている人には後頭部が丸見えなので、着付け教室の先生をガッカリされないよう、座る席は慎重に選びましょう)  私の初モノは他にもありまして、直近で、同じ演目を観るのも、初なんです。 『鎌倉三代記』の『絹川村閑居の場』 約一年前の時姫は時蔵丈(当時の梅

      • きもの本棚㉖『還暦着物日記』*群ようこさんの着物歴40年の悩み

        着物のドレスコードが変わってしまった長唄演奏会の観客席。カムバック、国立劇場! にわかに紬が欲しくなった私は店頭で紅花染めの紬を「あてて」みた。シャリ感があって、今から誂えるにはタイミングを逸している。着物は季節のお支度が大切だ。 今回、手にした『還暦着物日記』の著者は作家の群ようこさん。映像化された『かもめ食堂』『パンと猫とスープ日和』はもはや、草分け的存在。簡潔で笑える文章にハッとする。 私のきもの本棚は小唄をやっていた群さんのエッセイをキッカケに増殖し始めた。熱心に

        • 失ってみて、わかる。七五三の明治神宮で見い出した伝統美

          短い秋が、東京を過ぎていく。 昨年の香取神宮に続き、今年は明治神宮で七五三の着物をウォッチング。レンタルが充実している都心部は、王道の訪問着が主流。そんな和服姿以上に驚いたのは、インバウンドの人出だ。かつて、お正月明けの初出勤の日、上司に連れられて訪れた明治神宮は伊勢神宮や太宰府天満宮に劣らぬ観光地になってしまった。 だけれど、表参道には日本人が薦めたくなるような風情のある店はなく、鳥居の前にいる外国人が私には困っているように見えてしまう。 もっと、日本にしかないものを

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          錦秋十月大歌舞伎『婦系図』『源氏物語』*歌舞伎座は小紋と紬の花盛り。色無地も飾り紋で

          夜の部は悲恋の二本立て。立役は大変、不利である。どんなに美しくとも、観客に恨まれかねない。 一幕目は泉鏡花作の新派『婦系図』。イヤフォンガイドの解説によると、泉鏡花の実体験を原点に書かれた話だそうで、小説はドロドロの展開になるのだけれど、舞台化するにあたって『湯島境内』の場に結末を置き換えた。 ストーリーの変更を泉鏡花が快諾した理由は明治の、「身分」や醜聞に縛られた結婚の馬鹿馬鹿しさというテーマが消えていなかったからだ。 差別にあらがう主人公は魅力が伝わり安いが、『婦系

          錦秋十月大歌舞伎『婦系図』『源氏物語』*歌舞伎座は小紋と紬の花盛り。色無地も飾り紋で

          私が「いつも、着物で来る人」になった日

          着始めると自然と集まってくるという着物。 『七緒』vol.77の特集「箪笥の着物レボリューション」の中身は「譲られ着物」だった。「譲られ上手」さんは着物を着るようになったことを人に言うそうだ。 私の場合、着付け教室には着物で通っているが、知り合いに着姿を見せる機会は節分に行われる三味線発表会オンリー。どうりで私にはお声がかからないはずだ。そこで、先生方の演奏会には着物で行くと決めた。 プロの演奏家が季節ごとに集まる定期演奏会の舞台には芸大を出たばかりの若手から、「舞台に

          私が「いつも、着物で来る人」になった日

          吉田修一・著『国宝』を読んで歌舞伎役者の夢を共に追う

          七代目菊五郎の『100年インタビュー』では歌舞伎に何が大事かを知りえたが、映画版の主要キャストが情報公開された吉田修一の新聞小説『国宝』には歌舞伎役者の生涯が描かれていて興味深かった。 小説では歌舞伎囃子の雪をイメージさせる「語り調の文体」でドロドロを鎮めているが、朋友のライバル(横浜流星)は才も熱意もありながら(吉田修一の作品らしく)幸せにはなれず、小説の結末に至っては、歌舞伎舞踊を極めようとした主人公・喜久雄(吉沢亮)の姿が、80年代の終わりに流行ったフランス人監督の映

          吉田修一・著『国宝』を読んで歌舞伎役者の夢を共に追う

          七代目・尾上菊五郎 100年インタビュー

          一昨日、歌舞伎座の舞台で82歳の誕生日を祝った七代目菊五郎。七代目菊五郎の『100年インタビュー』を振り返って視聴した。 長いインタビューは閉館した国立劇場の舞台を借りて行われた。(※2024年3月12日放送) 七代目菊五郎の腰が低いようでいて、斜に構えたお人柄がわかると共に、頭の中が整理されて何が歌舞伎には大切かを実感できた。歌舞伎の芝居には、役に定められた台詞と動作があり、何度も演じるうちに自然と身体が動くようになる。すると、余裕が出てきて、という話だった。身体に染み

          七代目・尾上菊五郎 100年インタビュー

          展覧会『芹沢銈介の世界』*日本民芸館には木綿着物が似合う

          日本民藝館 井の頭線・駒場東大前にある日本民藝館の企画展『生誕130年・芹沢銈介の世界』に行ってきましたので、写真でリポートします。 明治28年生まれの芹澤銈介氏は柚木沙弥郎氏の先生です。紅型に出会って、型染めの染色家の道に進んだそうで、企画展では氏のおおらかな制作風景を映像を通して知ることができます。 企画展には芹澤氏の蒐集品の展示もあり、どの展示物もたいへんユニークです。通常は氏の故郷、静岡市にある美術館に展示されているそうです。2階大展示室の壁付きケースの収蔵品の

          展覧会『芹沢銈介の世界』*日本民芸館には木綿着物が似合う

          秀山祭九月大歌舞伎『妹背山婦女庭訓』『勧進帳』*歌舞伎座の秋単衣は九寸帯がマストアイテム

          一幕目『妹背山』の『花渡し』の場、上手の襖から現れた玉三郎丈(定高)動く人形のように隙がなく、松緑丈(大判事)はいつものお茶目さを封印。そして、定高と大判事、二組の親子の不遇を息を詰めて見届けた客席は二幕目の『勧進帳』で大はしゃぎ。亡くなった吉右衛門丈が「孫の丑之助を義経に、また、弁慶をやる」という「八十路の夢」を息子・染五郎丈と共に果たす幸四郎丈の弁慶を応援したいのだ。拍手に応えて幸四郎丈が熱演。客席も盛り上がる。 一幕目の『妹背山』には仮花道が設けられ、舞台上のグルグル

          秀山祭九月大歌舞伎『妹背山婦女庭訓』『勧進帳』*歌舞伎座の秋単衣は九寸帯がマストアイテム

          きもの本棚㉕すなおさんの『楽しくなる着付け 100のコツ』*お太鼓は手直してナンボ

          コロナ禍にチャンネル数がグッと増えたが十年前に着物YouTuberといえば、木綿着物のトントンさんとはんなり系着付け講師•すなおさんだった。どちらも、進化を続けている。今回はすなおさんの本を片手に八寸帯の正方形のお太鼓にチャレンジしてみた。 さて。猛暑が続く今日のコーデは縞の縮みに合わせる帯揚げを駅ビルで買ったワインレッドに変えた定番の秋の色。 襟、よーし! 脇、よーし! 続いて、おはしょりの線を整え、余りを帯にねじ込んで後ろのおはしょりのダボダボを前のおはしょりの内側

          きもの本棚㉕すなおさんの『楽しくなる着付け 100のコツ』*お太鼓は手直してナンボ

          きもの本棚㉔『六十代は、きものに誘われて』*木綿と紬、着るか着ないか問題

          『六十代は、着物に誘われて』は津田塾大の教壇に着物で立ち続けた三砂ちづる先生の新刊だ。時代が時代だけに、林真理子さんのような大人買いはない。「毎日、着物」「雪の日も着物」「飛行機での出張も着物」という執着に三砂さんの着物熱の症状は出たという。前著『きものは、からだにとてもいい』は新書っぽい傾向があったが、『六十代は、…』は着物初心者への気遣い、優れた言葉の選び方が見られ、読後感がよろしい。「着物は人を強くする」と書かれていた。 三砂さんは二年目を過ぎてから、木綿着物を愛用す

          きもの本棚㉔『六十代は、きものに誘われて』*木綿と紬、着るか着ないか問題

          きもの本棚㉓『着物の悦び』『着物をめぐる物語』*着物は何枚必要か? 

          ある帯屋さん曰く、歌舞伎座に来ているお客さんは着物に対して真剣なのだという。この夏の歌舞伎座では、雨対策の洗える着物や綿紅梅、原色緑の小紋など、話題のお着物をウォッチングすることができた。これら全部を揃えるとしたら、着物は何枚必要だろう。「一脇」さんの木草履のお客さんはどの方も三十年以上は着物を楽しんでいる様子だった。おひとりは和菓子屋の娘だったけれど、他の方も特種な家庭環境に生まれついているのだろうか。『美しいキモノ』の特集にあるようなファッションの延長線で着物を楽しんでい

          きもの本棚㉓『着物の悦び』『着物をめぐる物語』*着物は何枚必要か? 

          八月納涼歌舞伎『狐花』の小説版を楽しんでみた

          NHKの番組『百鬼夜行』に出ている京極夏彦さんの姿しか知らなかったので、小説を拝読。なかなか、おもしろかった。 驚いたことに小説なのに地の文がちゃんとあるのは数箇所だけで、状況説明も誰かの語りとして会話の中で進んでいく。独特だ。「 」の中の言い回しや言葉のテンポが美しい。中でも、舞台では深掘りされていない近江屋と辰巳屋の娘ふたりの開き直り→そして、破滅のくだりが特におもしろかった。一方、ラストシーンは舞台の方がインパクトがあったし、ガクンってなるところも、比較的、サラッと書

          八月納涼歌舞伎『狐花』の小説版を楽しんでみた

          三味線はスポーツだ

          十年前から、三味線を習っている。ジャンルは長唄三味線。歌舞伎でかかる曲のひとつだ。お教室には他にお琴や三線、津軽三味線のコースがある。カルチャーの教室なので、誰も名取にはならない。 教室には夏と冬、年に二回の発表会があってやったことのない曲にチャレンジしている。どの曲にも弾けない箇所が必ず出てくる。今は『吾妻八景』を稽古していて、ウラハジキに泣かされている。 西洋音楽と違い、和音のない三味線は多彩な音色を持つ。音の出し方には三種類あって、通常、糸の上に振り下ろすところの撥

          三味線はスポーツだ

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』*浴衣は綿絽や綿紅梅をカラフルに

          災害続きでコワイです。我が身と皆様の御無事を祈っております。さて、歌舞伎座前は流水が涼やかです。 また、風鈴の音は激しく! 京極夏彦さんが「歌舞伎の台本を書いた」と話題の『狐花』を見てきました。曼珠沙華の多面的な解釈には言葉に対する執着を感じ、結末にはやられたと唸る。 作家は刃物でなく、言葉で相手を突くのです! 幸四郎丈へのインタビューにある通り「京極歌舞伎」は会話劇なんです。ほぼ、現代語です。沢山、人が死ぬけれど立ち回りはごく、わずか。台詞を聴き取るのが大変です。キ

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』*浴衣は綿絽や綿紅梅をカラフルに