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『脳科学より心理学』(著:和田秀樹)

【内容】
心理学者である著者が、エビデンスを重視する心理学の優れた面を論じた一般向けの解説書。


【感想】
この本のスタンスは、結果論を重視する心理学は、まだ研究やエビデンスが不充分な脳科学よりも優れているといった趣旨のことが書かれており、それなりに説得力を感じる本でした。

この作者自身は、元々受験産業や受験に関する著作で、最短コストで大学受験を突破することを解いていた人だけに、あくまでも結果が出るかどうかという合理的な方法論や考え方を重視しているのだと感じました。

この本ではなぜアメリカの心理学研究が日本のそれに比べて、エビデンスを重視し効果を上げているのかという指摘も興味深く読みました。
国民皆保険の日本と違い、個別に保険会社に加入したりするアメリカでは、治療効果がはっきりとしない治療法はそもそも保険が降りなかったりするという社会的な構造があるのだとか…


また、フロイト以降の現代までの心理学の流れを、凄くわかりやすく解説しているのも、門外漢の人間としては非常に興味深く読めました。

ここから話脱線しまくります…
そういえば、著者は別の本で、日本の心理学界の重鎮でユング派の心理学者の河合隼雄を、かなりネガティブに評価していたことを思い出したりしました。
河合隼雄自体は、様々な本を出版していて評価の高かった人で、色んな思想家や文筆家などとの対談なども多数あり、特に心理学の世界ではクサしにくい人だったんだろうなあと思ったりしました。
河合隼雄の本はどの本も興味深く、20代くらいまではかなりの冊数読んでいたのですが、それが治療に直結する理論だったかは、確かに微妙なところもあるなあとも感じたりもします。
村上春樹と対談した本も、それなりにベストセラーになり、その後の村上作品のテイストが変わっていったように感じたりもしたことを思い出しました。

https://d21.co.jp/book/detail/978-4-88759-882-9

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