質問035:仕事でも集中力に自信がない。テニスの上手、下手と関係ある?
回答
▶遺伝子に東大生も中卒も「能力差」はない
一事が万事、能力発揮の方法論は共通ですからね。
関係があります。
能力差の遺伝子的な違いなど、東大生も中卒もありません。
ただしテニスの上手い人が、必ずしも仕事ができるわけではないという話は最後にします。
▶今・ここ・この瞬間
テニスを上手くプレーするには、今、ここ・この瞬間のボールに集中し続けることが大切です。
過去や未来は、上手くプレーするうえで、必要ありません。
過去や未来というのは、1年前や1か月後というスパンではなく、1秒前も1秒後も、過去であり、未来です。
それらはテニスを上手くプレーする上で、一切必要ありません。
必要ないというよりも、邪魔にすらなります。
「さっきのポイントはこうすべきだった」という反省や、「次のポイントはこうしよう」などという作戦立案は、プレー中に行うべきではありません。
インプレー中は、そういった1秒前の過去や、1秒後の未来について一切考えずに、とにかく今・ここ・この瞬間のボールに集中し続けます。
▶「身口意」は1回やるとパターン化が始まる
さて仕事でいえば、たとえば文章を書くのであれば、書くことに集中します。
ところが文章を書いている最中に、ネットサーフィンをしたり、メールチェックをしたりする注意分散が起こりませんか?
ブラウザやメーラーをバックグラウンドに置いておくだけでも、そちらに注意が逸れて、集中を途切れさせてしまう原因になります(文章を書いている途中で、メールをチェックしたら、ニュースもチラ見したりして)。
こういった「移り気」は、癖になりやすく、万事「ひとつの対象に集中して取り組む」粘り強さを滅失させてしまう悪習慣・悪習癖になりかねません(※注1)。
「身口意(しんくい=行動・言葉・思考)」は1回やるとパターン化が始まると、禅では細心の注意を促します。
ですから仰せの仕事の集中力と、テニスの上手、下手は、リンクするのです。
プロテニスプレーヤーであれば「テニスが仕事」なのですから、当然といえば当然なのですけれども。
▶「マウス操作」が集中力を削っていた
私はブラウザやメーラーは、バックグラウンドでも立ち上げずに、ワードだけを開いて原稿を書くようにしています。
情報やエビデンスがほしくて、検索する必要がある場合は、その都度ブラウザを立ち上げて、調べ終えたらすぐ閉じる。
多少面倒でもこのほうが、原稿のクオリティもスピードも、アップする実感があります。
ついでに言えば マウスは極力使いません。
「手に取って→ポインタを移動して→選択して→クリックして」という細切れの動作も、文章作成に費やす集中力を都度、途切れさせますから、なるべくショートカットキーを利用したキーボード操作で執筆作業を完結させるようにしています。
ショートカットキーを使いこなせるようになると、スピードも集中持続力も、天と地との差があると言えるほどです。
それは、基本的な「コピー&ペースト」のショートカットキーを知っている人が、マウス操作でメニューから選択してあえてしようとすると、とたんにスピードも集中持続力も落ちると言えばお分かりいただけると思います。
ただしマウス操作に関して、「手に取って→ポインタを移動して→選択して→クリックして」という確認作業を自覚的に行うならば、集中力のトレーニングになり得ます。
▶文章もメロディもストーリーも「降ってくる」
文章を書きながら、メールチェックしたりニュースチェックしたり……。
そういう「移り気」がなくなると、結果として、「ゾーン」に入ります。
頭で思考して書くというよりも、手が勝手に動いて、タイピングが、ペンが、止まらなくなります。
まさに文章が、音楽家ならメロディが、漫画家ならストーリーが、降ってきます。
▶日常生活の「マイクロフロー」
「ゾーン」は何もスポーツだけではなく、仕事でも料理でも掃除でも起こります。
フロー理論を提唱した心理学者ミハイ・チクセントミハイは、日常生活で起こるちょっとした集中を「マイクロフロー」と名付けたのでした。
このエントリーを何度も経験すると、深い集中状態の「ディープフロー」に入ると報告しています。
▶テニスで培った集中力は仕事にも活かされる
始める前までは億劫だった掃除が、いざ始めてみると、「やめられない!」「とまらなくなった!」という経験は、誰しもあるかと思います。
こういう「ゾーン」「フロー」体験は、メールチェックをしたり、ネットサーフィンをしたりが頻繁にあると、起こりません。
もちろん気分転換も、たまには有効ですが、あくまでも「たまに」であり、転換ばかりしていると、ゾーンに帰って来れなくなります(自戒を込めて…)。
ポイントやミスや対戦相手や打ち方やフォームなどに気を逸らさずに、ボールにだけ集中する粘り強さがテニスにより培われると、仕事にも、望ましい影響が及ぶと思います。
▶テニスの上手い人が「仕事もできるわけではない」
とはいえ、テニスの上手い人が、必ずしも仕事ができるわけではありません。
能力発揮の方法論は一事か万事に共通ですけれども、「集中する対象」を誤ると上手くいきません。
テニスでは、高い集中力を発揮しても、それが「フォームや打ち方」に向けられると、失敗します。
ですが多くのテニス愛好家は、「ワキを閉める」「ヒザを曲げる」「背筋を正す」など、フォームに集中しているのですね。
仕事でも、集中する対象を誤らないことです。
▶「売ること」に集中すると、上手くいかない
仕事を頑張っているけれどもしも上手く行っていないとすれば、集中する対象が間違っていると疑われます。
たとえば売ることばかりに集中すると、お客さんはそっぽを向くでしょう。
売り上げを気にせず、たとえば自分のためにも、お客さんのためにも、社会貢献にとってもウィンウィンになる、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方よし」に集中。
そうすると、行動も(身)、口から出てくる言葉も(口)、思考も発想も(意)、具体的に変わってきて、一度行うと望ましいパターン化が始まります。
▶注釈まとめ:「悪」は「下手」を含意する
※注1
身口意は一度行うとパターン化が始まって、「悪習慣」「悪習癖」にもなりかねません。
「悪」という言葉には「下手」という意味が内包されていて、嘘をついたり罪を犯したりする悪習慣・悪習癖は、ぜんぜん割に合わない「下手な生き方」と説明されます。
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