「好き」を仕事にする人に10の質問-第1回:菊地裕介さん(東京国際映画祭・プロモーションマネージャー)【天豆クリエイティブ・インタビュー記事Vol.1】
今日から新たなテーマの記事をスタートします!
それはインタビュー記事です☆彡
「この方って本当に素敵な生き方しているなぁ」と天豆 てんまめが思い、会って話を聞きたい方に10の質問をするインタビュー記事です。
是非、Voicyでお聴きください♪
インタビューをしようと思ったきっかけは、私、天豆 てんまめの「大好きなことと共に、人生を心健やかに至福に生きる」というライフテーマが根本にあります。
そのテーマは私が今までも、そしてこれからも生きていきたいテーマですが、それを実際に生きている方に「生きるヒント」を聞きたいと思ったからです。
そして、それは読者の皆様にも多くおられる「自分らしく好きなことで生きていきたい」方への’インスピレーション’にも繋がるのではと思いました。
様々な仕事の分野で「好きなことで心健やかに至福に生きている」方はどんな発想や考え方で日々を過ごしているのでしょうか。
そんな方々の頭の中を少し垣間見る気分でお読み頂ければと思います。
そこには「好き」で生きるための、また、「好き」を仕事にするための最良のアドバイスやインスピレーションが溢れているはず。
是非、お楽しみください♪
10個の質問は、その方の発想の源や生きるヒントに繋がる問いにしました。
1.簡単なプロフィールと目下取り組んでいるプロジェクト
2.子供の頃の夢は?
3.自分らしく好きなことをしようと奮い立たせてくれる座右の銘は?
4.今の仕事を始めたいと思ったのはいつ?
5.今、仕事をしているときの1番の喜びは?
6.インスピレーションが必要な時や、自信をなくしたりスランプから脱したい時の特効薬は?
7.1日の中で意識してる気持ちが上がるルーティンは?
8.人生で幸せだなぁと感じる瞬間は?
9.これからやりたい夢は?
10.クリエイティブなことや好きなことをライフワークにしたい人に勧めたいことは?
の10個の質問です。
第1回のゲストは、今月10月28日にいよいよ開幕を迎える「東京国際映画祭」でプロモーションマネージャーをしている菊地裕介さんです。
「好きなことを仕事にするため」のエッセンスが凝縮したお話を聞けましたのでので是非お楽しみください!
Let's live blissfully with inspiration!(インスピレーション豊かに至福に生きよう!)
では、菊地裕介さんの話を聞いていきましょう!
1.簡単なプロフィールと目下取り組んでいるプロジェクト
1974年生まれ。東宝所属、公益財団法人ユニジャパン勤務。
大学在学中に映画に生きることを決意。単身渡米しNew Yorkで映画を学び、現地で1本映画を作る。1997年東宝に就職。
宣伝部で『クレヨンしんちゃん』『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』『電車男』『NANA』『ガチ☆ボーイ』『パコと魔法の絵本』『ノルウェイの森』『神様のカルテ』などの宣伝を担当。
2014年4月からは国際部で『STAND BY MEドラえもん』『進撃の巨人』『シン・ゴジラ』『君の名は。』『怒り』などの海外セールスを担当。2018年4月に東宝東和に出向し洋画を手掛ける。
2019年4月からユニジャパンに出向し、東京国際映画祭のプロモーションを担当。
O型甘党。二児の父。
現在は、第37回東京国際映画祭に向けてプロモーション計画を遂行中。
「もう少し、具体的にお仕事の内容を聞かせて頂けますか?」
菊地さん「映画祭の広報の仕事は、通常の映画の宣伝とは異なります。東京国際映画祭では、200作品以上が10日間で上映されるので、それをまとめたイベントの集合体としてPRをしていきます。企業の広報に近いですね。
映画の上映はもちろんですが、上映以外でも上映後のティーチインだったり、世界各国から来日する様々な映画人と語り合うシンポジウム、マスタークラスという著名な方の講演や、パーティや交流会も含めた総合体でアピールをしていくので、そういったイベントを映画祭の中で決めて、それを強弱つけてPRしていきます」
「準備期間中はどのような動きになりますか?」
菊地さん「オープニング作品とクロージング作品決まったら、それをリリースにしてプレスにまいて、それを色々なところでパブリシティ出してもらいます。また、会期1か月前にラインナップ会見があって、今年の全上映作品を発表するために準備します。今年の資料を作成し、どういう作品があって、どういうポイントで映画祭をアピールしていくかを話し合い、準備・調整していきます」
【第37回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見 】動画はこちら↓
「東京国際映画祭の会期中はいかがですか?」
菊地さん「会期入ると、東京国際映画祭の一番の露出のピークは初日なんですね。初日のレッドカーペットの露出を最大化することが大事です。レッドカーペットを良いイベントにして、プレスに来てもらい取材しやすい体制を作って、良い記事として出してもらいます。
初日終わるとそこから10日間は怒濤の日々ですね。連日、色んな映画が毎日、多い日は30本以上上映されて色々なイベントが行われます。配給会社が決まっている場合は配給会社が仕切ったり、配給会社が決まってない場合はこちらで仕切りますが、それを全て把握して、極力、各イベントに顔を出していきます。会期中は火の車の忙しさですが、各上映やイベントをつつがなく進行するように取材時の体制を整えると共に、メイン会場が日比谷になってからは各会場が分かれているのでスタッフを派遣して現地でイベントの仕切りをやってもらい、トラブルがある場合は対応にいきます。
映画祭では多くの映画が上映されるので、どれも重要なイベントですがどうしても手が回らないところもあります。そこは強弱をつけてこのイベントは気を付けましょうと意識して映画祭らしさを出していきます」
「映画祭の広報の仕事をしている醍醐味を感じる瞬間は?」
菊地さん「レッドカーペットがうまくいった瞬間は大きいですね。海外も含めて200人以上が歩くのですがが、歩いているゲストの方も皆楽しそうで、来ているお客さんも楽しそうで、取材に来ているプレスも活き活きとした表情をしていると映画祭がいよいよ始まるなという感じがあります。
会期中のどのイベントも非常に面白いのですが、あえて言うと、東京国際映画祭は映画教室といって、中学生向けの映画の制作のワークショップがありますが、今年は西川美和監督が特別講師で8月に約10日間で中学生が映画を作って映画祭で披露して彼らが舞台挨拶するんですね。
夏の現場にも見に行くのですが、中学生は成長が早くて顔つきも変わりますし 彼らの人生初めての舞台挨拶で堂々とした姿を見ていると、こういうところに映画の未来があるんだなと凄い感じることができるので、立ち会って胸が熱くなる瞬間です。映画祭ならではだなぁと思います」
「映画祭の仕事をする際に必要な資質はありますか?」
菊地さん「何事も、好きこそものの上手なれという言葉ですね。まずは映画が好きなことが前提として、欲しい能力としては柔軟性かと思います。どれだけ緻密に計画してもその通り行くことはほとんどないんですね。何らかの調整が入っても、現場でパッと切り替えられる感覚を持っていることですね」
「仕事をする中でこれは大変だなと思うことはありますか?」
菊地さん「正直に言うとないんですよね。仕事にアクシデントはつきもので、あるのは当然です。それが前提でシミュレーションして仕事をしているのと、スタッフに会期前に「我々の仕事は誰かがどこかでミスをしても、命を失うことはまずないのだから、ミスは誰でもするので、恐れずにじゃんじゃんやっていきましょう」と伝えています。
2.子供の頃の夢
小学校の先生
「小学5・6年の時の先生がものすごいいい先生だったのが理由です。とても面白くて生徒をちゃんと見てくれる先生でした。先日も一緒に呑んで今でも付き合いがありますね。」
3.自分らしく好きなことをしようと奮い立たせてくれる’座右の銘’は?
上には上がいる
「天才という存在に弱くて、色々な映画監督や役者さんと仕事をしてきて、この人は天才だなという方が何人かいました。でも、海外に目を広げると、もっともっと上はいて、それがあるとものすごくワクワクします。
自分でここまでやったけどまだ全然上にいると思うと、ショックではなく、伸びしろを感じます。よく漫画でも次から次へと強い敵が出ますが、世界には上には上がいると思った時に、とてもワクワクしちゃうんですよね」
4.今の仕事を始めたいと思ったのはいつ?
高校2年生
「高校2年の時に母方の祖父が幾ばくかの遺産を遺してくれたんですが、何か有効活用したいと思った時に、大学に入ったら海外に一年留学して何がしかを身に付けようと思いつきました。
その後、大学に入ってから色々な映画を観てハマって、留学の目的がアメリカに映画を学びに行こうと具体的になりました。当時の日本にはまだ映画を学べる場所があまりなくて、でも、アメリカならある。
ならば映画の本場アメリカで映画の勉強して戻ってから映画監督になろうと思いついた瞬間がありました。それならおじいちゃんの遺産も活かせる! と。今でもその時に自分の中でピ-ンと線が繋がって天命を受けたような、その感覚は憶えていますね」
5.今、仕事をしているときの1番の喜びは
好きなことを仕事にできているという実感と、その好きなことに対して自分が恩返しをできているという実感が味わえること。
6.インスピレーションが必要な時や、自信をなくしたりスランプから脱したい時の特効薬は?
「くるり」を聴くこと。
※くるりは日本のロックバンド
7.1日の中で意識してる気持ちが上がるルーティンは?
朝、自分でコーヒーを豆から挽いて入れること。
8.人生で幸せだなぁと感じる瞬間は?
空が青いとき。
気持ちの良い風が吹いているとき。
美味しいものを食べたとき。
イイ映画を観た時。
くるりを聴いているとき。
子供の笑顔と寝顔を見ているとき。
家族で笑っているとき。
「以前、会社の研修でもこの問いがあって僕は一気に色々書けたのだけど、周囲の方々はこの質問で書けない方は多かったんですね。どんな小さくても幸せだなと感じる瞬間がより多くあることが幸せなんだなと思ってます」
9.これからやりたい夢は?
自分の本を出したい。
映画を作りたい。
地元で映画祭を開きたい。
子どもたちの未来に関わる仕事がしたい。
10.クリエイティブなことや好きなことをライフワークにしたい人に勧めたいことはある?
まずは自分の好きなことを見つけること。
そして、それを趣味ではなく仕事とするのであれば、仕事には必ずお金を稼ぐという側面があるので、その観点から自分の好きなことに自分が貢献できるかどうかを見極めること。
「就職活動をする時に、ゼミの先輩に2番目に好きなことをした方がいいと言われ、その方は映画が1番好きだけど商社に行かれました。でも、私はやっぱり自分の1番好きなことを仕事にした方が楽しい、と会社に入って27年以上ずっと感じています。
学生の時よりも社会人になってからも映画を沢山観ていますし、映画に影響されていますし、少し厳しい言い方かもしれませんが、その程度で嫌いになるようであれば本当に好きじゃなかったんだろうなと思います。好きだったらそれを仕事にすることは最高の喜びだと思いますし、目指すべきだと思います。
でもそう簡単なことではなくて、好きなことを仕事にできている人は決して多くは無いと思います。好きなことを仕事にする上で大事なのはお金を稼ぐ、好きなことでマネタイズを考えることです。そこに精神的なうしろめたさを感じるならあきらめた方がいいですね。
自分の能力がどういう形で貢献できるのか、ということを学生の時から考えておくのも大事なことかな」
菊地裕介さん、回答ありがとうございました!
最後に、菊地さんの回答と話を聞いて、私が感じたことをメモにしました。
【天豆 てんまめのインスピレーションメモ】
菊地さんの回答や話を聞いて思ったのが、東京国際映画祭のプロモーションマネージャーとして大きな重責がありながら、とても余裕があって、感性がしなやかで、優しく穏やかな雰囲気で相手をリラックスさせてくれ、自然体の魅力と器の大きさを感じました。
そして「好きなことを仕事にしている」中で、菊地さんには、広い視野と俯瞰で物事を眺める客観性を感じました。学生時代に単身ニューヨークに映画を勉強しに行かれた時から世界の広い視点で物事を見ることを現在に至るまで養ってこられたように思いました。
「好き」をあくまで探求する信念の強さと「自身のやりたいこと」のビジョンが鮮明で、それを現実にする絶え間ない努力が今の菊地さんの自信と余裕に裏打ちされている気がします。
それと忙しい仕事をしながら、自分らしい豊かな感受性を持ち続けているのは、菊地さんの「どんな小さくても幸せだなと感じる瞬間がより多くあることが幸せなんだな」という言葉で感じるように、仕事だけでなく、趣味や家族との時間も大切にして、人生全体を「自分らしく幸せで生きていることを」デザインしている感じに思えました。
私も、インタビューを通して感じた様々な気づきやエッセンスを、これからの人生に活かしていけたらと思います。
是非、皆さまにとっても自分らしく好きと共に心健やかに生きていくためのヒントになったら嬉しいです。
菊地さん、本当にありがとうございました!
これからまさに東京国際映画祭の準備の佳境に入るかと思いますが、お体に気をつけて頑張ってください!
noteで記事を読んで頂いた皆さまの中には、映画祭に行かれたことが無い方もいると思いますので、菊地さんに最後に’映画祭の楽しみ方’をお聞きしました。
東京国際映画祭の楽しみ方を教えて頂けますか?
菊地さん「映画祭は宝くじみたいなものだと思っています。本当に少ない情報でたまたま見た映画が、その人の人生の一本になることもあります。
あえて、あまり情報を入れない状態で宝くじ的感覚で行ってもらうと、それが当たった時に強烈な思い出になったりします。なので、ノーガードでふらッと来てもらって、楽しんでもらうのが一番映画祭の楽しみ方かなと思います。
映画祭は、上映後の監督やキャストのティーチインがついていたりするので、映画祭の楽しみの一つにもなりますので、映画の上映にまつわるイベントもあるので、お祭りなので、是非遊びに来てください」
菊地さんの「ノーガードでふらっと」っていうフレーズが印象的ですね。私もそんな気軽な感覚で行けたらいいなと思いました。
皆様も是非、新たな出逢いが生まれる東京国際映画祭(10月28日から開催)に行かれてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。
これからも、大好きなことと共に、人生を心健やかに至福に生きていきましょう。
今日も素晴らしい一日に!