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私の大切なnote

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#日記

【魔法の館】

【魔法の館】

先日、note公式コンテストでグランプリを受賞した。

父と母とときどき悪魔と

父と母とときどき悪魔と

コペルニクス的転回が起きた。
今の私、もしかしたらあのときの父と同じじゃないかと。

年末年始になると必ず一度は聞かれる「帰省しないの?」トーク。
帰省が「安心安全な場所でゆっくりできるもの」であるならばきっとしていただろうけれど
「しんどい、理由がなければできないもの」と思っていたため、年末年始はひとり東京で過ごした。

おかげで、お正月を楽しもう企画を計画し、一人二役になってお雑煮を食べたり、

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【“書きたい”が消えるその日まで】

【“書きたい”が消えるその日まで】

「書いて生きる」

その目標を掲げてnoteをはじめてから、およそ2年半が過ぎた。正確にいえば「書いて生きる」は手段であり、目的ではない。ただ、私にとって大きな夢であることに変わりはない。

なかなか結果が出せない現状に、実際は何度も心が折れそうになった。はじめてnoteがバズったとき、正直期待した。どこかのメディアから仕事依頼が来るかもしれない。ドキドキしながら、そんな淡い期待に胸を膨らませてい

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【岸辺で温かい珈琲を淹れて、静かに待っているから】

【岸辺で温かい珈琲を淹れて、静かに待っているから】

江國香織の短編小説に、こんな一節がある。

It's not safe or suitable to swim.

ふいに、いつかアメリカの田舎町を旅行していて見た、川べりの看板を思いだした。遊泳禁止の看板だろうが、正確には、それは禁止ではない。
泳ぐのに、安全でも適切でもありません。
私たちみんなの人生に、立てておいてほしい看板ではないか。

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
江國香織、

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【ラブレター】

【ラブレター】

夏の昼間の海に足を伸ばすようになったのは、子どもが生まれてからのことだ。夏の昼間の海は暑く、多くの人で賑わっている。暑さも喧騒も苦手な私は、意識的に人気のない時間帯、主に夕暮れ時や夜を選んで海面に足を浸す。陽が落ちていくさまを眺めながら、家路へと向かう鳥たちの羽音を聞く。そういう静かな時間が、何よりもすきだ。

キミの涙が教えてくれたこと

キミの涙が教えてくれたこと

もう私はこんな涙を流さないのだろうか。つぎつぎと溢れ出す滴をぬぐいながら、ぼんやりとそう思った。

長男がお絵描きや絵本作りにハマっている。口癖は「ママ、紙ちょーだい!」。画用紙に、ノートに、チラシの裏に、自分と弟が好きなキャラクターや空想の世界を嬉々と描く。

絵やイラストの才能を早々に諦めた私には、その自由な発想と作風すべてが輝かしい。4歳の手から生み出される宝物。
溢れすぎて収拾つかないし、

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「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「そのことがずっと不安で、怖かったんですよね?」

返事をしようと思ったのに、うまく声が出なかった。そのぶん、何度も何度も頷いた。
マスクのなかに流れ込む滴を止めることができなかった。そんな私に、白衣を着たその人はそっとティッシュを差し出しながら、私が一番聞きたかった言葉をくれた。

「大丈夫ですよ。だってあなたは、こんなにもお子さんを大切に想われているじゃないですか」



お日様がぎらぎらと

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