梅干

こちらのページでは書評、読書メモを書いています。 読書のテーマは、経営、ビジネス、マー…

梅干

こちらのページでは書評、読書メモを書いています。 読書のテーマは、経営、ビジネス、マーケティング、人生、社会学、健康が中心。 他ジャンルもつまみます。

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『生の短さについて』(セネカ)で実感。幸せを見つけ出せるのはいつだって、「いま」だけだ。

 著者セネカは紀元前4年もしくは5年に生まれたと考えられており、イエス・キリストと同じ年に生まれた可能性が高い。そう考えると、すごく昔の人だったことが感じられる。裕福な家に生まれたが、病気をしたり、順調に出世と著述がうまくいきだすと今度は父や一人息子が亡くなったり、姦通嫌疑で8年間流刑されたりと、ジェットコースターのような人生だったようだ。50代で後に皇帝となるネローの教育係となるが、69歳頃、ネロー暗殺陰謀連座の嫌疑によりネローから自決を命じられる。  セネカはストア学派

    • ”名著の超訳・速習・図解化”は成功?『成功はゴミ箱の中に』

      ひとこと書評  マクドナルド創業者レイ・クロック自伝『成功はゴミ箱の中に』を、超訳・速習・図解化でわかりやすくしたのが本書、とのことで手に取ってみた。元となっている「名著」がソフトバンクの孫正義氏とユニクロの柳井正氏の”バイブル”だったようで、お二人が解説を書いておられる。  正直、物足りなかった。ちゃんとレイ・ロックの歩みにそって並べてくれてはいるのだが、切り出してばらばらにされたエピソードと学びは、本質的な前後関係を失い深みがない。あいにく私はこの本を先に手に取っている

      • 20:80の法則はある。にもかかわらずライトユーザーが大事(目からうろこ)

         著者のバイロン・シャープは、南オーストラリア大学の教授で、同大学のアレンバーグ・バス研究所のマーケティングサイエンスディレクターでもある。「エビデンスに基づくマーケティング」の中心人物の一人と言っていいだろう。  本日は、この本の4章「ブランドにとって最も重要な顧客を探す」からメモを残す。  自社に関するデータを調べていて、年間利用回数0回の顧客の多さに衝撃を受けたことはあるだろうか? 私はある。そして、私の報告に経営陣も衝撃を受けた。しかし、これはごく一般的なことだった

        • 『食事のせいで、死なないために[食材別編]~スーパーフードと最新科学であなたを守る、最強の栄養学~』

          イントロダクション 中年になり、どこまでも健康だと思っていた自分が初めて病気をした。以来、食事や睡眠に気を付けるようになった。とは言え、あまりにガチガチにすると生活しづらい。その点この本は、絶対に悪いとか絶対に良いと考えるのでなく、あくまで相対的なものだと言ってくれる。「赤信号・黄信号・青信号」という捉え方で「青信号の食べ物を多くできるだけ多く摂り、黄信号の食べ物は最小限に抑え、赤信号の食べ物は避けるのが理想的だ」と気楽に構えることを許してくれる。また、覚えやすい。  青信号

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        『生の短さについて』(セネカ)で実感。幸せを見つけ出せるのはいつだって、「いま」だけだ。

        • ”名著の超訳・速習・図解化”は成功?『成功はゴミ箱の中に』

        • 20:80の法則はある。にもかかわらずライトユーザーが大事(目からうろこ)

        • 『食事のせいで、死なないために[食材別編]~スーパーフードと最新科学であなたを守る、最強の栄養学~』

          世界を前に進めよう。『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』徳岡晃一郎著

          (東洋経済新報社,2016)  「イノベーターシップ」は、2012年の『ビジネスモデル・イノベーション』(野中郁次郎・徳岡晃一郎編著)で初めて言われた概念で、マネジメント、リーダーシップを超える第三の力を指す。管理のための「マネジメント」と変化を乗り切る「リーダーシップ」はともに経営の目標を達成していくのに不可欠な力であるが、あくまでも所属する組織(企業)の目標達成がゴールであり、より大きな世界(社会)へのインパクトを出していくには、一歩先行く「イノベーターシップ」が必要だ。

          世界を前に進めよう。『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』徳岡晃一郎著

          キリスト教と仏教 『デジタル社会の罠』から脱線して思ったこと

            ユダヤ=キリスト教・・・宇宙世界の起源や終末   仏教・・・個々の生の苦しみからの解脱を説いた  苦しみは自分の枠にとらわれた欲望によって生じるものであり、ゆえに我執を離れよ、が仏の教えという。しかしそれならばなぜ、私という個人の苦しみを、仏教ではなくキリスト教が救ったのだろう。答えは簡単、「出会ったから。」である。  私にとって仏教は、幼少よりごく身近にあった。しかし常にその性質は集団的であり、社会的だった。私は個として仏教に出会わなかった。私個人の苦しみを救うものと

          キリスト教と仏教 『デジタル社会の罠』から脱線して思ったこと

          『顧客をつかむ 戦略物流』

          短文書評 物流コンサルタントによる、物流を経営戦略として取組む指南書。物流という概念の歴史やマーケティングにも触れられており、amazonやヨドバシカメラの実例も紹介。物流にさほど詳しくない者でもその重要性とポイントが理解できる本だ。著者考案の物流戦略を考えるフレームワークも、顧客価値をどう作り実現するかを立案する役に立つ。  この本のキーワードの一つは「物流によってコンビニエンス(利便性)を作る」(はじめに)だろう。物流をコストと捉えるのでなく、利益を生むものだと捉え販売戦

          『顧客をつかむ 戦略物流』

          網羅的に整理された『頭のいい人が話す前に考えていること』

          頭のいい人が話す前に考えていること / 足立裕哉著(ダイヤモンド社,2023、335ページ ISBN97/-4-478-11669-2 C0030 ¥1500) 昨年出版されベストセラーとなった本書、ようやく読みました。 頭のいい人になるための道(この本の使い方)は、  ▼第1部を読んで黄金法則を手に入れる  ▼第2部で一気に思考を深める  ▼”話すたびに頭がよくなるシート”を切り離し、穴を埋める  ▼”話すたびに頭がよくなるシート”を見返す  ▼誰でも頭のいい人になる と

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          我々はいかにあるべきか?『デジタル社会の罠』を手に、文理の森に入り込む

          『デジタル社会の罠 生成AIは日本をどう変えるか』西垣通(2023、毎日新聞出版)  デジタル関連の著述が多い著者の本は初めて手に取った。が、文系の知識も大変豊富で、AIを切り口として、幅広い分野に触れさせてくれる”知の入り口”のような本だった。物事を相対的に見ようとする態度が貫かれており、知性とはこういうことと感じられる。第二部は読書日記になっており、著者の言葉で良書を評してくれるのは今後の読書ガイドとしてもありがたい。 今もまだ本質が考えられない  本書から繰り返し

          我々はいかにあるべきか?『デジタル社会の罠』を手に、文理の森に入り込む

          『ビジネスモデル・イノベーション~ブレークスルーを起こすフレームワーク10』

          著者:ラリー・キーリー    ライアン・ピッケル    ブライアン・クイン    ヘレン・ウォルターズ 監修者:平野敦士カール 翻訳:藤井清美 出版:朝日新聞出版,2014 イノベーションを実現するためには、 重要な問題を特定し、それを体系的に検討して エレガントに解決策を生み出すことが必要だ。(p22-23) イノベーションと言う新しい知識体系が今日、誕生しつつあるが、それは次の理由からだ 企業は、成長と存続のために新しい発見や戦略を必要としている 効率だけではもう

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          ビジネスへの貢献大!ずっと論文読むのを習慣にしていたら!と『経営者の教科書』を読んで。

          今回読んだのは『経営者の教科書:ハーバード・ビジネス・レビューCEO論文ベスト12』(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳、ダイヤモンド社,2020年)。 「経営者に必要な能力を『ハーバード・ビジネス・レビュー』の名著論文で習得する!」がキャッチコピー。 本書から、今回は第1,2,5章のダイジェストと感想をメモした。最初に全体を通してひとこと感想。これからは学ぶ経営者でなければだめだ。もちろん学びは研究論文を読むことに限

          ビジネスへの貢献大!ずっと論文読むのを習慣にしていたら!と『経営者の教科書』を読んで。

          そう、人生があるんだ。私たちには。『ドキュメント がん治療選択~崖っぷちから自分に合う医療を探し当てたジャーナリストの闘病記』(金田信一郎著,ダイヤモンド社,2021)を読んで

          結構読んでいて辛いところもあり、飛ばし飛ばし読ませていただいた。 それでも刺さったのは、この一文。 そう、人生があるんだわたしたちには。 これは、私の人生なんだ。 「標準治療」とか、「〇〇科」というまな板の上の何か、なんかじゃない。 切った後には、そこから回復していく生活がある。 私たちは治療後の生活を生きようとする。 願わくば寛解して二度と再発しない人生を。 その人生の主人は、私たち自身だ。それを認めてくれて、寄り添ってほしい、力を貸してほしい。たぶんそれだけ。

          そう、人生があるんだ。私たちには。『ドキュメント がん治療選択~崖っぷちから自分に合う医療を探し当てたジャーナリストの闘病記』(金田信一郎著,ダイヤモンド社,2021)を読んで

          『がんが自然に治る10の習慣』ケリー・A・ターナー、トレイシー・ホワイト著を読んで、自分が変えるべきは何だろうかと考えさせられる。

          Radical Remission(邦訳『がんが自然に治る生き方』)の、いわば続編。前著では、自然寛解を経験した人たちにインタビューをし、共通する9つの治癒要因を紹介していた。今回は新たに10番目の治癒要因、運動を付け加え、それぞれに章をあてて個人の事例とともに紹介している。この大勢の個人の寛解の実例からは、奇跡のような驚きと、多くの気づきが与えられる。以下、メモ。各章に実践のステップが載っているので、気になった方は本書をお読みいただきたいと思います。 第1章 運動を生涯の

          『がんが自然に治る10の習慣』ケリー・A・ターナー、トレイシー・ホワイト著を読んで、自分が変えるべきは何だろうかと考えさせられる。

          『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』で基本の考え方が学べる

          今回読んだのは『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本~人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り』 宗像 淳(むなかた すなお)著、亀山 將(かめやま まさし)著 東京:インプレス,2015年10月21日発行 初版  目まぐるしく進化するマーケティングの世界で10年近く前の本はどうなの?とも思ったものの、基本の考え方をしっかり押さえることができた。最初にコンテンツマーケティングの全体像を押さえるには最適な、まさに「教本」。 コンテンツマーケティングとは ・コンテ

          『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』で基本の考え方が学べる

          人格者と言われるクリステンセン教授の人生にふれる『イノベーション・オブ・ライフ』

          「破壊的イノベーション」「ジョブ理論」のクリステンセン教授が幸せな人生を歩む方法を教えてくれる現代の名著 世界最高峰のビジネススクールであるハーバード・ビジネススクールを卒業した輝かしいビジネスマンが、その有能さゆえに犯罪者になったり、家庭で大きな挫折をしてしまうことがある。「公私ともに成功するよう生まれついていると思われた彼ら」なのに、離婚や子どもとの疎遠、刑務所に入るための戦略を実行してしまうはなぜか。「わたしたちはだれしも、これまであまたの人に道を踏み誤らせた力や決定

          人格者と言われるクリステンセン教授の人生にふれる『イノベーション・オブ・ライフ』

          『科学的な適職』(鈴木祐)がズバッと指摘。適職とは「あなたの幸福度が最大化される仕事」のこと(!!)しかし、読後の結論は…

           他人から見れば出世して成功しているように見えるかもしれないが、当人はここ2~3年、気分の晴れぬ日が増えている・・・。そんな「中年かくれ迷子」が、同世代の”新進気鋭のサイエンスライター”の適職本を読んでみた。 適職とは「幸福度が最大化される仕事」にまず目からうろこ!  たしかにそうだ。結局のところ、毎日の出勤が憂鬱でなくむしろ楽しくて、毎日の仕事を通して生活の満足感が上がり、喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどのネガティブ感情を減らしてくれる・・・そんな仕事が幸せな仕

          『科学的な適職』(鈴木祐)がズバッと指摘。適職とは「あなたの幸福度が最大化される仕事」のこと(!!)しかし、読後の結論は…