20:80の法則はある。にもかかわらずライトユーザーが大事(目からうろこ)
著者のバイロン・シャープは、南オーストラリア大学の教授で、同大学のアレンバーグ・バス研究所のマーケティングサイエンスディレクターでもある。「エビデンスに基づくマーケティング」の中心人物の一人と言っていいだろう。
本日は、この本の4章「ブランドにとって最も重要な顧客を探す」からメモを残す。
自社に関するデータを調べていて、年間利用回数0回の顧客の多さに衝撃を受けたことはあるだろうか? 私はある。そして、私の報告に経営陣も衝撃を受けた。しかし、これはごく一般的なことだったとこの4章を読めばわかる。マーケティングに関わっていれば何度も目にしたあの棒グラフ「負の二項分布」・・・左端の「0回」に長く伸びる棒、そして右に行くほど短くなっていく。あれは、コカ・コーラもペプシも変わらないのだ。(厳密にいえば、コカ・コーラのほうが大きなブランドなので、全体に棒は長い。つまり、顧客数が多い)
パレートの法則の正しい理解は、顧客がヘビーユーザーとライトユーザーに二極分化しているということ。実際の比率は80/20ほど極端ではない。
パレートシェアの指数は調査を行う期間によって異なる。短期間の調査ほど、すべての人のブランド購入頻度が近似する。例えば上位20%のヘビーユーザーが売り上げの20%を生み出している。調査期間が長くなるほどヘビーユーザーが多く表れ、また、一回購入しただけのライトユーザーも分析の対象になる。これらの要因を背景に、ヘビーユーザーとライトユーザーの二極分化が促進されることになる。
同じカテゴリー内のブランドは同等のパレートシェアを持つ。
あなたのブランドの購買客の80%が年間売り上げのわずか20%にしか貢献していないとすれば、そのような購買客は無視したくなるはずだ。しかしこのようなライトユーザーが半分の売り上げをもたらしているとすれば、無視するわけにいかない。マーケティングで使うパレートの法則は重要だが、その日は80/20とはならず、従来の理解は間違っている。
通常、パレートの法則は、ヘビーユーザーに特化したマーケティング戦略を評価するために用いられる。しかしマーケティング活動を行う上でヘビーユーザーに注力することは賢い選択ではなく、またライトユーザーやノンユーザーを無視することもブランドを成長させる手段とは言えない。
消費者は常に別の顔を持つ
ヘビーユーザーに注力するという戦略は、彼らの現在の個人消費が今後も継続して将来の上利上げに貢献することが期待できない限り、確実性に欠ける。ノンユーザーやライトユーザーは想像以上にヘビーユーザーであり、ヘビーユーザーは想像以上にライトユーザーである。過去の分析で実証されている。あるトマトソースブランドは停滞していたが、(成長も縮小もしていなかった)売り上げの14%はその前年にそのブランドを1回も購入していなかった家庭からもたらされていた。
平均的状態への回帰。購買行動の適正化。これで説明できる。
購入頻度はヘビーかライトのユーザーの区分に関係なく変化する
マーケットシェアが大きいブランドは、マーケットシェアの小さいブランドと比較して、市場浸透率が非常に大きい(ダブルジョパティの法則)。これと対照的に、大規模ブランドの購買頻度スコアはわずかに高いだけである。またブランドが成長又は衰退する時、そのカテゴリー浸透率(顧客数)には大きな変動が伴うが、購買頻度はほとんど変化しない。
ブランドの成長を維持していくためには、マーケティング戦略が最終的にはそのカテゴリー全体の消費者に到達しなければならない。特定の消費者だけを懸命にターゲットにしても売り上げは伸びない。
ロイヤルティプログラムはマーケターには非常に人気があるが、このようなプログラムによって獲得できるマーケットシェアはわずか、あるいは獲得できないという結果が報告されている。
結論
1.ブランドの成長と維持には顧客の獲得が極めて重要である。
2.すべての消費者層、特にブランド購入頻度の低いライトユーザーにリーチすることが極めて重要である。
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