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日記;父母覚書

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脳内出血で倒れた父と認知症の母。もう亡くなりましたが、日記にしたためていたメモを公開
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#note連続投稿

父母生前覚書

父母生前覚書

実際のところ夏を越したらもう無理だろうと覚悟していました。

主治医曰く

「全く嚥下が出来ません。機能的には出来る筈なのですが、それが出来なくなっていますので、点滴のみに頼っている状態。胃ロウか、喉切開で栄養摂取するかという

選択、或いは、このまま自然に任せるという選択、どちらかでしょう。

手術は・・正直進められません、お母さんの体力がもたないでしょう」

退院前、そう言われました。決断しな

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いつもの石段:秋

いつもの石段:秋

もう少し、色付いているでしょうか。

うらぶれ荒み絶望という、またぞろ私の求める域に到達しかけた頃

この、原風景たるわたしの記憶が

祖父の棲む地が

祖母の声が

まだだよ、と押し戻す。

父と同じじゃないか。

オヤジ、迎えに来て下さい!と泣く父・・

似て来た自分を痛感する。

おじいちゃん・・まだ、駄目?

はい、弱音吐いて醜悪に這いつくばってでも

生きます。頑張って、ソチラで、褒めて

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父母生前覚書

父母生前覚書

くわっ!と、その目を見開き

”お前は!”と、怒声を発せよ

入道雲の如く

大岩の如く

圧倒的な畏怖を

わたしに味あわせよ

事の推移

 わたし自身の風邪にて一週間訪れなかった間

 父は隔離室に入れられ点滴を受け

 頬削ぎ落ち目は窪み

 久し振りに会う父は死に行く人の如く変貌遂げていた

 お父さん!と声を掛けても眠ったまま

 「何も食べないからです。」介護士が憎憎しげに答える

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父よ母よ

父よ母よ

あと二ヶ月で、父、奇跡の生還より丸三年経過する。

脳出血で高次脳機能障害となった父は、リハビリを続けるも未だ歩けない。

当初あった言語障害は回復。

父の入院時より、母の認知症は悪化した。

父母の三年は、私にとっても、新しい三年でありました。

尊大で倣岸不遜が服着て歩いているような、巨躯の父は

その肉体のみ半分になり。伊達男たる父は、全てのスーツ、ネクタイ、手を通すことも着ることも

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金木犀の香り

金木犀の香り

母は花が好きだ。

ホームの玄関先に金木犀の香りが、およそ苦手な方には咽るように

匂い立っている。

庭には白、ピンク、濃いピンク、三色のコスモス、名の分からぬ花々。

秋の日差しの中、母を連れ外に出る。

以前、車椅子に乗った母は

「まぁ、綺麗。」と顔綻ばせ、花を手で掴もうとした。

今年の秋は母の反応が薄い。

金木犀の香りが、こんなに風に乗り、貴女とわたしを包んで満たしてくれているという

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父母生前覚書

父母生前覚書

緊急搬送後、しばらくナース室の前に母は移されていました。

サービスステイション、見守りや検査、点滴、他、治療必要な方が入る場所。

血圧、体温、他、一応安定ということで、本来ならば本日21日に、従来の父との部屋に

戻すという医師、看護士さんのお達しあり。

が、何しろ、父がうるさい。

「夫婦を別々にするヤツが居るか~!夜、お前たちは、ずっとA子の様子を見れるんか?

俺が寝ずの番をする。早く

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真夏/凍える池

真夏/凍える池

15分も浸かれば、身体が凍え、唇の色が失せる。

その上流から流れる水は、水道水とは比べようもなく美味しい。

段々畑、大木、若い杉たち、蝉の声、蝶々、水桶に冷やしたラムネ。

小刀を上手に使う祖父の手は、魔法の手でありました。

ヤマミミズの巨大さに

一瞬、身を竦め、「お・・おじいちゃん、蛇が出た!」と

祖父の背中に隠れた私。

祖母が夏場に借りる宿坊(?曖昧・・)より顔出して、

その手に

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ただ娘が居て笑い話せること

至上の幸せー

同じものを食べ
同じものを観て
同じものを聴く

これが特別でなく
普通の日常になることを願います

コメント返せずごめんなさい。
ご報告です

娘へ

娘へ

今年もこの日が来ましたね

5年前、4年前、・・・

遡れば

20余年ー

あなたはどんなに苦しかっただろう

あなたの涙

あなたの心

あなたの叫び

母なるわたしは

何も分かっちゃいなかったのですね

わたしはわたしで

あなたに向って手を広げ

抱き締めたく

不在のあなたを想い

滂沱と涙した

幾つもの夏がありました

その夏を

嗚呼・・・

やっと

四度目、あなたと過ごしてい

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