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読書:好きな作家、本

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記事一覧

取り乱さない男

取り乱さない男

常に弱々しく、周囲を窺い、自己評価を他者に委ねたり
「わたしは、つまらない人間なのだ。取るに足らない人間なのだ。」
などと繰り返して恥じない男は、大抵が、自己憐憫、甘え癖のある男なのだ。
言葉と真逆に、自己肯定の権化なのだ。
その種の男に、取り乱してよ、なんて願うはずもなくw
既にツマラナイのだから。いっそ、仮面でもつけて黙ってなさいよ、とー内心毒づくけれど♪
つい思い出したタイトルのフレーズであ

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髑髏を抱く女

髑髏を抱く女

坂口安吾
「桜の森の満開の下で」

映画化もされています。
耽美と狂気の世界…
 
岩下志麻が髑髏を抱き、首遊びするシーン、魅せられました。

前に描いた絵をアレンジし
【髑髏を抱く女】をイメージしました。

おやすみなさい✨

カフカ【橋】

カフカ【橋】

カフカの橋を読む度に、その時々の私の心により、感想は異なる。

不条理なる文学、橋=私、これは読まれた方が皆、代用して、思考、想像するだろう。

主語は橋=わたし

橋は、寂しい。

橋は、優しい。

橋は、偏狭の地で
待つ、待つ、待ちわびる。

思いがけず、出現した旅人(要は、こんな場所には来ないであろうという突然の出来事、未知なる感動、不安、えとせとら)に、たじらぐも

暫定”彼”を、落ちない

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山椒魚

山椒魚

山椒魚は悲しんだ。
彼は彼の棲家である岩屋から外に出てみようとしたのであるが、
頭が出口につかえて外に出ることが出来なかったのである。今は最早、
彼にとっての永遠の棲家である岩屋は、出入口のところがそんなに狭かった。
そして、ほの暗かった。強いて出て行こうとこころみると、彼の頭は
出入口を塞ぐコロップの栓となるにすぎなくて、
それはまる二年の間に彼の体が発育した証拠にこそはなったが、
彼を狼狽させ

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安部公房【カンガルーノート】

安部公房【カンガルーノート】

カフカに心酔したという安部公房は、同じく幻想譚、アリエナイ物語を最期まで書き続けた。

作品紹介するのも長いだけだし止め。

遺作とされる「カンガルーノート」

この作品に対しても、多くの方が論評、考察文など、プロアマ問わず記載しているので、これも止め。

賽の河原の少女

垂れ目の看護士

垂れ目の女が他にも数人

安部公房の母は垂れ目だったのだろうと、推測出来るのですが。

死に瀕した彼の絶望

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猥褻:エロティシズム:作家編

猥褻:エロティシズム:作家編

例えば
猥褻だと断定され
裁判沙汰になった野坂昭如
例えば
子宮作家と呼ばれ
創作活動を停止に
追いやられた瀬戸内晴美
例えば
オカマ作家と呼ばれた丹羽文雄と
継承者と嘲笑された連城三樹彦
例えば
エロ小説の大家と嘲笑われた
吉行淳之介

谷崎淳一郎
川端康成

人は世につれ世は人につれ。

評価に絶対性など無く

賞など取った日にゃ

芸術、純文学と笑えるほどの大昇格!

むぅ、人の物差しの何と

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石

つげ義春の「無能の人」、映画化もされたから知ってる方も多いかと
思います。

主人公は石を売って歩くんですね、いつも川原で石を集めてる。

ふと、私の父も兄も石を収集してた事を思い出しました。

放蕩三昧の若き日の父は、ここで書けない程のエピソード沢山あり。
宝石だって何だって買えた当時の父が、何より大事にしていたものが
沢山の石でした。

その石を父が母に「これ、凄いだろ」と見せたそうな。

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かの子繚乱

かの子繚乱

岡本かのこが袂に入れていたのは、小さな観音様だったと言う。

何故、観音様なのですか?

編集者の問いに、かのこは
朗らかに率直に

「だって、一番、美しいもの」と答えたそうな。

岡本かのこの伝記小説「かのこ繚乱」を、随分前に読んだ。二十前後だろうか。

瀬戸内晴美さんが寂聴さんになる前だ。

かのこという女性。比類な奇々怪々なる人物と、愛した男たち。

夫、岡本一平は、当時、売れっ子の漫画家だ

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月神の浅き夢

月神の浅き夢

柴田よしき

RIKOシリーズ

女神(ヴィーナス)の永遠

聖母( マドンナ)の深き淵

月神(ダイアナ)の浅き夢

他、「聖なる黒夜」「私立探偵 麻生竜太郎」など、リコシリーズに登場したキャラの

別物語など、あります。

リコという女刑事に、一時期、共振し読み耽りました。

おそらく、「月神の浅き夢」で完結だと思いますが、続編、読みたいと切望。

柴田よしきは、最近、SFジャンルの作品が多く

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作家雑感

作家雑感

坂口安吾

「救いが無いということ自体、救いであります」

「所謂、母というヤツは妖怪だ」

狼に食べられる赤頭巾ちゃんは、愛らしく無邪気で罪が無かったのか?
プツリと突き放される切なさ・理不尽さ=赤頭巾ちゃん、という風に
「文学のふるさと」で安吾は書いています。

小説であれエッセーであれ、また安吾を語る誰かの評であれ、

実に、どこを切り取っても、衝撃的かつ愉快である。

三好達治は、安吾を

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取り乱さない男はつまらない

取り乱さない男はつまらない

常に弱々しく、周囲を窺い、自己評価を他者に委ねたり

「わたしは、つまらない人間なのだ。取るに足らない人間なのだ。」

などと繰り返して恥じない男は、大抵が、自己憐憫、甘え癖のある男なのだ。

言葉と真逆に、自己肯定の権化なのだ。

その種の男に、取り乱してよ、なんて願うはずもなくw

既にツマラナイのだから。いっそ、仮面でもつけて黙ってなさいよ、とー内心毒づくけれど♪

つい思い出したタイトルの

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ミカエルの菱形

ミカエルの菱形

澁澤龍彦が絶賛する最も美しき裸体
ベラケラス「裸のヴィーナス」に於ける『ミカエルの菱形』です
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8F%A1%E3%81%AE%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9
ヨーロッパにおける美人の条件としての菱形。男性の力強さの象徴としても
使われます。
検索されてください。
ミカエルの菱形

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猥褻;エロティシズム;芸術とは?作家編

猥褻;エロティシズム;芸術とは?作家編

例えば
猥褻だと断定され裁判沙汰になった野坂昭如
例えば
子宮作家と呼ばれ創作活動を停止に追いやられた瀬戸内晴美
例えば
オカマ作家と呼ばれた丹羽文雄と、継承者と嘲笑された連城三樹彦
例えば
エロ小説の大家と嘲笑われた吉行淳之介
谷崎淳一郎
川端康成
人は世につれ世は人につれ。
評価に絶対性など無く
賞など取った日にゃ
芸術、純文学と笑えるほどの大昇格!

むぅ、人の物差しの何と頼りないことか。。

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