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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」

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本書のタイトルを、あえて「建設・不動産のデジタル化〜FMBIMの活⽤〜」としたのは、建設・不動産の発注、所有、管理、経営の第⼀線にたつ多くの皆さんにBIMの有効性を証明し、BIM…
このマガジンを読むと、BIMを含む建物のデジタル化、FMBIMなど、建設プロジェクトにおける最先端…
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2024年3月の記事一覧

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その4 3.2.2 Society5.0 時代は、ビル内の状態を IoT センサーで把握し、AI で分析する時代

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その4 3.2.2 Society5.0 時代は、ビル内の状態を IoT センサーで把握し、AI で分析する時代

3.2.2 Society5.0 時代は、ビル内の状態を IoT センサーで把握し、AI で分析する時代

ビルの⽇常点検においても、BIM は⼤きな役割を担う可能性がある。

⽇常点検において、各種機器の運転状況などを把握し、5G(⾼速⼤容量時代)を活⽤して、各種センサーにより、数分おきのビッグデータを取得することができる。

① 空気の質の測定
② 床壁天井(空間)の状態(温度、振動、⾳)

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その5 4. デジタルデータの活⽤はあらゆる分野で進む

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その5 4. デジタルデータの活⽤はあらゆる分野で進む


4. デジタルデータの活⽤はあらゆる分野で進むリアルな都市をコンピューター上で同じように可視化する「デジタルツイン」技術。センサー、AI(⼈⼯知能)、ロボティクス、クラウド、5G(第 5 世代移動通信システム)など最先端の技術を統合したものだ。現実の都市問題の解決に、デジタルツインの活用が始まっている。

ビル管理でも、デジタルツインで作られたコンピューター上のビルにおいて、空調の改修や環境改善

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その6 4.4 ロボット活⽤(清掃ロボット、警備ロボット、搬送ロボット)

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その6 4.4 ロボット活⽤(清掃ロボット、警備ロボット、搬送ロボット)

4.4 ロボット活⽤(清掃ロボット、警備ロボット、搬送ロボット)

オフィスビルにおけるロボット活⽤は、働き⼿不⾜もあり、ロボット導⼊が喫緊の課題となっている。特に、清掃や警備など、従来⼈⼿に頼っていた分野をロボットにおきかえることで、⽣産性を⼤きく改善できることが可能となる。

また、オフィスビルにおけるロボットの⾃律的なエレベーター搬送についても、エレベーター・メーカーとの技術的課題解決が可能

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その7 5. AI、IT を活⽤したスマートビル、スマートシティに必要なデジタルデータ

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その7 5. AI、IT を活⽤したスマートビル、スマートシティに必要なデジタルデータ


5. AI、IT を活⽤したスマートビル、スマートシティに必要なデジタルデータ5.1 スマートビルディング

スマートビルディング(以下、「スマートビル」という。)とは、IT、AIを用いたビル管理により、施設の運用効率を高め、ワーカーの生産性を向上させ、環境にやさしいスマートな(賢い)ビルを言う。

一般的にはIoTの活用により、建物中に張り巡らされたセンサー等が、従業員一人一人の場所、室内の温

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その8 6. 環境対策(カーボンゼロシティ、ゼロ・エミッション・ビル(ZEB)、サステナビリティ、TCFD)で求められるデジタルデータ

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その8 6. 環境対策(カーボンゼロシティ、ゼロ・エミッション・ビル(ZEB)、サステナビリティ、TCFD)で求められるデジタルデータ


6. 環境対策(カーボンゼロシティ、ゼロ・エミッション・ビル(ZEB)、サステナビリティ、TCFD)で求められるデジタルデータ環境対策において、⼤きなCO2排出量となるビルや住宅。これらの排出量算定においても、多くの建物デジタルデータが⽤いられている。

本章では、カーボンゼロシティ、ZEB、TCFDなどについて、その施策の概要といかに建物のデジタルデータがリンクされているのかについて、述べてお

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その9 II. 建築生産の「施工BIM」 からビル管理で活用可能な「FMBIM」 へ

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その9 II. 建築生産の「施工BIM」 からビル管理で活用可能な「FMBIM」 へ


II. 建築生産の「施工BIM」 からビル管理で活用可能な「FMBIM」 へ1. 「施工BIM」 と「FMBIM」 の違い1.1 施工BIMとFMBIM

BIMは建物の情報を作り出し整理し分類するツール(道具)だ。建物を生み出すには設計者が設計を行い、施工者が工事を実施して完結する。この建築生産に使うBIMを「施工BIM」と呼ぶ。情報は設計・施工時に生まれ建物が竣工完成に近づくにつれ、詳細化し

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その10 2. いま求められるFMBIM

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その10 2. いま求められるFMBIM


2. いま求められるFMBIM2.1 FMBIMの必要性

そもそも建築分野における施工BIMは、設計者やゼネコンの建築生産側からの活用がおもであったが、最近は、建物のデジタルデータという特性を活用して、もっと広い分野で使われるようになった。ここでは建築生産側(供給側)で用いるBIMを「施工BIM」」といい、FMで用いられるBIMを「FMBIM」と称する。たとえば、ビルのエネルギー分析、ビルメン

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その11 3. BIMのLOD、LOI、LOG、LORを考える

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その11 3. BIMのLOD、LOI、LOG、LORを考える


3. BIMのLOD、LOI、LOG、LORを考える3.1 情報サイクル

情報サイクルとは、情報を収集し、評価し、分析し、結果を元の情報へ反映し、また同じ経路をたどることをいう。

情報は「あることがらについての知らせ」であり、これを使って「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な知識」と言われる。前者をインフォメーション、後者をインテリジェンスという。FMで言うとBIMモデル(インフォ

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その12 Ⅲ. SMART BIM for FM(FMBIM活用事例:病院を例示して)

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その12 Ⅲ. SMART BIM for FM(FMBIM活用事例:病院を例示して)


Ⅲ. SMART BIM for FM(FMBIM活用事例:病院を例示して)1. FMはSDGsのフレームワークFM活動はさまざまな形で定義されるが、不動産管理、施設管理、空間管理、環境管理、データ管理などに大別できる。不動産管理は主に企業のコストと資産活動に関連し、施設管理は施設の維持と保全活動に関連し、スペース管理は施設のスペース機能の効率的な使用に関連する活動であり、データ管理は膨大な量の

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その13 4. FM-Integrationの導入

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その13 4. FM-Integrationの導入


4. FM-Integrationの導入以上のような考え方の背景を持って、ある病院での実例で開発したシステムをご紹介する。病院が最も必要としているFM 分野は、障害情報やLCC(ライフサイクルコスト)情報などの維持管理分野になる。

病院は市民の命を守るための安全な施設でなければならない。緊急事態に即応するシステムでなければならない。私たちが開発しているFM 活動のためにFMBIMを用いた シス

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その14 Ⅳ. FMBIM を支えるAI及び先進的分析技術

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その14 Ⅳ. FMBIM を支えるAI及び先進的分析技術


Ⅳ. FMBIM を支えるAI及び先進的分析技術1. FMの評価・分析とは1.1 FMBIMの将来性

FMは、企業が施設資産を効率的に管理し、無駄のない管理を促進するための手段だ。 建物は多くの資産で構成されており、完成後は徐々に劣化する。 このため、メンテナンスを行い、常に正常な状態に保つことが重要。 そのためには、資産の状態を把握し、評価し、予測することが重要なメカニズムのひとつ。そのため

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その15 3.1 AIとBIMで効率的なFMへ

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その15 3.1 AIとBIMで効率的なFMへ

3. AIについて現在、ITやAIを活用してビッグデータを分析し、経済予測が暗号技術、各種認証技術に活用している。また、ディープブルーなどのようにAIを活用することで、囲碁のチャンピオンに勝つようなことも可能になった。

3.1 AIとBIMで効率的なFMへ

近い将来、FMの情報処理で人工知能を利用して建物の価値を判断することが期待される。保全の分野では、予防保全と事後保全という管理概念があった

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その16 【コラム1】 ジニ係数を使った分割方法

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その16 【コラム1】 ジニ係数を使った分割方法

【コラム1】 ジニ係数を使った分割方法

決定木は人間の思考に似たプロセスで意思決定をする仕組みに似ている。あそこの部屋の窓は汚れている?「1カ所汚れています。」なら掃除は次の機会にしよう。「5か所汚れています。」なら掃除をしよう、と言う具合に決断する。汚れた窓の数と綺麗な窓の数を分類し、ジニ係数で0に近い集団とそうでない集団に分けて分類する。

決断する順序は次のようになる。

x<a時右と左に

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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その17 【コラム2】 ニューラルネットワークの原理

「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その17 【コラム2】 ニューラルネットワークの原理

①情報ネットワークモデル

 情報ネットワークは文字通り入力された情報を出力へ流す仕組みのことをいう。図―1はx1,x2に情報が入力され→をたどってyへ出力される流れを示した図である。途中のwは重み値といい、sは流れてきた情報の仕分けをする部分だ。情報を流す仕方は次の式を通して下流へ送る。

x1、x2から入ってきた値は重み値を掛け合わされyの値になる。この値がプラスの場合y=1、マイナスの場合y

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