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【第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい】「第1感」の存在を信じるか?

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜正しい「なんとなく」は存在する〜

何か判断や決定をする時に「なんとなく」という言葉を使うと、あまり信用されない。
本書では「第1感」と表現されているが、いわゆるひらめきや直感の事だと考えられる。

「俺の直感は当たるんだよ」なんて言う人を多くの人は信用しないと思う。僕自身も正直なところ、直感だけで話をする人をあまり好ましくは思えない。

しかし、本書によると、正しい「なんとなく」はたしかに存在する、というのだ。
本書の主張は「第1感」と名付けられる「直感」で正しい判断や決定をする事は大いにあり得る、という事なのだ。


〜「第1感」を使うための条件〜


もちろん、誰にでも「第1感」があるわけではない。「第1感」に頼りすぎてしまい失敗した事例もたくさん紹介されている。

効果的な「第1感」を使うには2つの条件があるようだ。

まず一つ目は「その分野に対して経験が豊富な事」である。つまり、プロだ。
芸術に特化したプロは瞬時に違和感を感じて偽物を見破る事が出来るし、テニスの熟練プレイヤーは選手の動きを見てサーブを打つ"前"にそのサーブが失敗するかどうかがわかる。
豊富な経験と知識が瞬時の判断決断を促す事が出来る。面白いのは、そんなプロたちも「なぜそんな判断が出来たのかを自分でも分かっていない」もしくは「その判断基準を言葉でうまく説明出来ない」というところだ。まさに、経験から得た「なんとなく」の感覚が瞬時に発揮された事例である。

もう一つは「判断のための情報を精査して限りなく少なくする」という点だ。
情報が多すぎると、判断材料が多過ぎて素早い判断が出来ず、むしろ混乱してしまう事もある。
これもいわば特定分野においての経験と知識があってこその事だと思うが、不必要な情報を排除し、出来る限り判断材料を少なくして瞬時に是非を決められるようにしておく事が大切だ。
本書でも、とある病院において素早い判断をするために、ある症例の判断をチャート式にして誰でも瞬時に判断出来るようにした事例が紹介されていた(もちろんこのチャートは経験と知識が豊富な人物によって作成されたものだ)。
前述したプロは、無意識のうちにこのチャートを頭の中に用意しており、瞬時に判断が出来る様になっているのだろう。


〜信じるか信じないかはあなた次第〜

さて、本書では「第1感」に関する様々な事例が紹介されているものの、全体的には曖昧な表現のまま終わっている印象である。
いわば、「第1感」の存在を信じるか信じないかは人次第である。

この中にかかれているような事例を「どれもたまたまの偶然だろ」と思っても無理はない。
しかし、「第1感」はあるかもしれないのだ。

自身も「直感」で行動してしまう事はあるだろう。そんな時にこの「第1感」の話が頭のどこかにあれば、一度冷静になって立ち止まる事は可能かもしれない。
また、誰かが「直感」で行動しようとしていた場合、その判断が正しいかどうかも客観的に冷静に見る事が出来るかもしれない。

まぁ、何にせよ、「ファスト&スロー」で学んだ、人の判断や行動は往々にして合理的ではないのだ、という事を「直感」という角度から改めて認識する事が出来た一冊だった。

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