ぼくは論文が苦手だった/阿部幸大『まったく新しい アカデミック・ライティングの教科書』(光文社、2024年)
学生時代、ずっと論文に苦手意識を感じていた。そもそも語学力が低く、だから論文を闇雲に読んでも頭に入ってこなかった。さらに、書くことも、エッセイの延長のような感覚で、強度の強い随筆くらいにしか思っていなかった。今から思えば、方法論や目的が全くわかっていなかった。
だから、研究の仕事を目指すのをやめてしまったのも無理はない。研究者の仕事は、教育や事務など複数あるだろうが、基本的には論文を書くことだと思う。私は、こう言ってはなんだが、当時、人の論文を読んでもあまり面白いと思え