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赤羽の町の人間らしさ

 休みの日には時々赤羽まで足を伸ばす。電車で一本。乗っている時間は10分強と比較的近い。下の電車には人がほとんど乗っていない。こんなに都心から近いのに、雰囲気として地方都市っぽさもある。都心の生活は余りにもタイトなので、時々、おおらかな空気が吸いたくなる。

 赤羽だってもちろん都会であるには違いないが、少し緩い空気もある。カフェに入ると隣に座っていたおばあちゃんたちが、子供の頭を撫でてくれ、声をかけてくれた。地元の方も少なくなさそうだった。店員さんも声をかけてくれた。板橋区から歩いてきたという80歳の女性とも、偶然隣り合ってあれこれ話した。都心ではなかなか、こういう交流は起こりにくい。

 駅前に文教堂書店があり、もとはブックス談という名前だったようだ。品揃えがめっちゃ良いわけではないかもしれないが、地方都市のようなおおらかな空間を味わう。岩波現代文庫の品揃えなどは結構よく、眺めていて楽しい。雑誌もいろいろあり、これくらいの書店が私は好きだ。

 ビーンズという、高架下のスペースにできた商店街には、西松屋や、巨大なホームセンターなどもある。駅の西側にある赤羽台の坂をのぼれば、新海誠監督の映画に出てきそうな、ダイナミックな景色が見える。高台で息子が枯葉を拾って手を離す。すぐに葉っぱは遠くまで風に流されて飛んだ。少し歩いて、赤羽岩淵から再び南北線に乗った。

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