紫陽花と水機関(はなしの続き)
「水機関って知ってる?」
「みずからくり?」
僕らは植物の生い茂る林の中を歩いている。僕と、同級生のAさん。それから、僕らを先導する不思議な少年。
少年の問いかけに、Aさんは首を傾げる。僕もよく分からず、彼女と顔を見合わせる。
「水機関はもともと、水の力を使って人形を動かしたりする演芸のことなんだけどね」
少年は目の前の草をかき分けながら進む。その動きは随分なれたもののようで、むしろ僕らが親に連れられる子どもみたいに感じる。
“おそらく道になっている場所”を進んでいく