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空気の切り取り方(ショートショート)
空や空気を食材として使いたい時、近くに生えている植物に目をやりましょう。特に、その葉っぱの形に注目します。
鋸歯を持っている植物。つまり、歯の縁がギザギザしている植物を探してみてください。
例えば、卯木や紫陽花、フユイチゴの葉がそれです。
その葉の一枚をちぎって、(もちろん、誰かの家の庭に植えてある植物の葉を勝手にちぎるのはやめましょうね)葉っぱの長い辺に並行になるように、左右対称で半分に折ります。この時、葉のギザギザ部分を左右交互になるようにずらすと、より使いやすくなります。
あとは、その形を崩さないように持ち、空気の繊維を断ち切るように前後させます。
空気を切る感触はあまり伝わってこないかもしれませんが、うまくいくと、ごく薄い空気の膜がはらりと解けてくるのが見えるはずです。
それを料理に使うのが良いでしょう。
この時、切り取った空気が移動した分、その部分の気圧がほんの少し変化して風が起こるので、それで手元が狂って、葉っぱで手を切らないようにしましょう。
切り取った空気は、ところてんや春雨の代わりにしても良いですし、ゼラチンや寒天の代わりに食材を固めるのに使用するのも楽しいかと思います。