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詩20230626-

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詩 20230626-
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2023年10月の記事一覧

詩:思い出の中の煙草

詩:思い出の中の煙草

思い出の中の君は

いつも煙草を燻らせていた

私はそのにおいを嗅ぎながら

不思議なにおいだといつも思っていた

私は思い出の君に追いついた歳となり

やはり煙草を燻らせている

詩: 好きなものを否定された時、

詩: 好きなものを否定された時、

好きな映画や

好きな本や

好きな音楽を

批判されると

否定されると

馬鹿にされると

なんでこんなに腹が立つのだろう

なんでこんなに悲しくなるのだろう

思い入れというものは

難しいもので

好きを共有できればこんなに嬉しいことはないが

好きを共有できない時こんなに辛いことはない

詩:ぼくの好きな本

詩:ぼくの好きな本

この本からあの本へ

まだ読めぬ本を想って

まだ会わぬ人を想って

この本を読んでいく

読み終っても

まだこの本にはつづきがある気がしてならない

それは終りのない音楽を奏でるような……

そんな本がぼくは好きだ

詩:沈黙から

詩:沈黙から

光の先に

夢の先に

希望の先に

いつも死があった

いつも戦争があった

いつも悲しみがあった

それを人は絶望と言ったり

苦悩と呼んだり

残酷だと罵倒する

しかし……

人には可能性がある以上

愛された記憶がある以上

何もできなくはないはず

詩:鎮魂歌

詩:鎮魂歌

いつだって

本物をつくりたかった

しかし

人間である以上

いや

生きものである以上

本物なんてできっこないと

不完全なもので世は満ちているのに

本物をつくりたがる

その業

破けたページ

破けたカーテン

破けたオゾン層

破けた人間

破けた世界

詩:書けるような書けないような

詩:書けるような書けないような

映画の感想文は書けない

本の感想文は書ける

本の批評は書けない

映画の批評も書けない

映画の紹介文は書ける

本の紹介文も書ける

ついでに詩も書ける

何が書けるというのだろう

自分に

まあ

そう思いながら

今日も何か書いている

詩:退屈な一日

詩:退屈な一日

ベッドで一日ゴロリと寝る

なんにもない退屈な一日

さびしい一日

腰と手が痛くなる

寝すぎたからね

ああでも

ベッドの上で何か起きたら

それはそれで困るかもしれない

退屈を享受する一日

詩:疲れ(てない)たよ

詩:疲れ(てない)たよ

疲れたよ

そう言ってもしょうがないから

疲れてないよ

やせ我慢じゃないよ

エセ我慢でもないよ

疲れてないと言うと

そりゃあウソだけど

疲れたと言うほど疲れてないんだ

まあでも

ちょっと疲れたよ

詩:終りの季節

詩:終りの季節

いろんなことが終っていく

別れや死やら

今の季節は

どうやら

終りの季節

目の前から皆去っていく

一人淋しく風に吹かれて

一人遠くへ去っていく

詩:夜

詩:夜

夜は

涼しいを通り越して

寒い

深夜風にあたろうと

外に出たら

震えがとまらなかった

ふと

頭をよぎる

最近読んだ小説の

全く書かれていない

一節

詩:ダイアリー

詩:ダイアリー

今日

明日

明後日

日記を書いていく

今日

昨日

一昨日

日々が終わっていく

一日後

一週間後

一ヶ月後

日記は続いていく

一日前

一週間前

一ヶ月前

日々よさようなら

詩:黒い丸

詩:黒い丸

からだの中心に小さな黒い丸がある

黒い丸はわたしを強く引っ張る

この黒い丸はなんだろうか

詩:その時抱きとめてくれる人

詩:その時抱きとめてくれる人

やっぱり近くで一緒に支えになってくれる人がいてくれたらと思う

より親身に

より愛情深く

より濃密に

抱きとめとくれる人を