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太宰治の遺書

これが小学生の書いた作文なのか
文字、内容とも子供がつづったと思えない
これこそ、持って生まれた文才なのだろう

太宰治が幼いころ鉛筆で書いた生原稿
青森でたまたま目にして驚きで声もでなかった


太宰の生家に近い五所川原                       2008

太宰は原稿を好んで毛筆で書いたといわれる
弘前出身で太宰の自伝を書いた
長部日出雄『辻音楽師の唄-もう一つの太宰治伝』によると
太宰の原稿を手にした古谷綱武は
和紙にすこしかすれるような墨づかいで書かれた
きれいな筆の字におどろき
さらにその内容に興奮
無名の大型新人現わると直感したという

乳母の越野たけか                     2008

芥川龍之介にあこがれて作家をこころざした太宰は
第一回芥川賞の受賞をつよく願った

佐藤春夫は太宰『逆行』を芥川賞に推薦したが
川端康成が「作者目下の生活に厭なくもありて」と選評して
太宰を逆上させ
「小鳥を飼い、舞踏をみるのがそんなに立派な生活なのか」
と抗議文を文芸誌に掲載した

女とくすりにおぼれ自殺未遂をくりかえした
無頼な生活のさなかでも
きちんと机に正座し筆をもって原稿用紙にむかっていた
 
名作『津軽』、『人間失格』など名作を生んだが
「小説を書くのがいやになったから死ぬ」
と遺書を書きのこし世をさった

太宰治 昭和19年                この年に津軽をめぐった


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