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高血糖を治す秘訣
高血糖を改善するには、自律神経・歯・食事・運動・睡眠といった面から生活を見直す必要があります。つまり、糖の摂取量だけ注意していてもダメなのです。
高血糖になる人たちの共通点
高血糖や糖尿病になる人たちに共通していることは、次の4点です。
①せっかち
②歯が悪い
③甘いものが大好物
④朝食を食べない
せっかちな人は高血糖になりやすい!
高血糖の人たちは性格がせっかちで、何事も「早くしなければ」「急がなきゃ」といった気持ちで生活しています。だから食事も、早食いでほとんど噛まずに飲み込んでいます。
焦ったり慌てたりすると、交感神経が緊張します。するとアドレナリンが分泌されて、胃腸の働きが低下し、インスリンの分泌も抑えられます。そのため胃がもたれたり、食後に高血糖になったりしやすくなります。
話すのも、早口でしゃべると交感神経が緊張します。話している本人だけでなく、聞いている人も交感神経が緊張します。話す内容にかかわらず、早口で話されると、まるでガミガミ文句を言われているか、せかされているかのような気分になるのです。だから早口でガンガン話す人と一緒に食事すると、交感神経が緊張して胃腸の働きが低下し、インスリンが分泌されるのも遅くなるのです。
また、「時間がない」「早く食べないと間に合わない」と慌てて食べるとか、不安や心配で頭が一杯という状態で食べても、交感神経が緊張して胃腸の働きが低下し、インスリンが分泌されるのが遅くなります。
つまり、『食べるときの気分』が非常に大事なのです。少なくとも食べるときには、リラックスして、ゆっくりと時間をかけて食べるようにするだけで、食後に血糖値が上がりにくくなるのです。慌てて食べても、ゆっくり落ちついて食べても、何分も変わらないのですから、できるだけ『ゆったりと味わって食べる』ようにしましょう。
「歯」が悪いと高血糖になりやすい!
歯は、血糖値に大きく影響します。
歯を失うことになるのは、虫歯か歯周病です。いずれも菌が原因でおきる感染症です。
虫歯や歯周病の原因菌は、歯や歯茎に「炎症」をおこします。それによって血液中に「炎症性サイトカイン」が増えます。
炎症性サイトカインが多くなるほど、「インスリン抵抗性」が上がります。つまり、血液中のブドウ糖が細胞に入りにくくなるのです。そのため、「高血糖」になるのです。
したがって高血糖を治すには、『歯の治療や歯垢の除去』が必要です。また、毎日の『歯の清掃』も大事です。
ご飯を食べれば高血糖になりにくくなる!
「ご飯をたくさん食べるから高血糖になる」わけではありません。
終戦直後の食糧難の時代より、今はご飯を食べていないのです。この70年で、ご飯の消費量は半分以下(約40%)に減っているにもかかわらず、糖尿病の患者数は300倍にも増えているのです。つまり、ご飯の食べすぎが糖尿病の原因ではないのです。
ご飯の代わりに増えたのが、小麦の消費量です。つまり、パンや麺類です。
パンや麺は、ご飯と何が違うのでしょうか?
それは、「グルテン」というタンパク質を含んでいることです。
腸にグルテンが入ってくると、粘膜から「ゾヌリン」という物質が分泌されて、腸の栄養吸収細胞同士の結合がゆるんでしまいます。つまり、グルテンを頻繁に摂取していると、『リーキーガット』になってしまうのです。
同じことは、大豆に含まれている「レクチン」でもおきます。つまり、豆腐や豆乳、枝豆や煮豆、厚揚げやガンモドキ、キナコや大豆プロティンなどを毎日摂っていると、『リーキーガット』になってしまうのです。(発酵している味噌や納豆は大丈夫)
リーキーガットになると、未消化なタンパク質や腸内細菌、腸内細菌の分泌物(とくに悪玉菌が分泌した毒素)などが腸から血液に侵入します。すると腸の免疫細胞が、それらの異物を排除するために「炎症」をおこします。それによって血液中に「炎症性サイトカイン」が増えます。そして炎症性サイトカインが増えるほど、インスリン抵抗性が上がるので、高血糖になるのです。
したがって、毎日パンや麺を食べていると、高血糖や糖尿病になりやすいのです。
事実、小麦の消費量が多い香川県・徳島県・青森県には、糖尿病の人がとても多いです。
反対に、ご飯を食べている人は高血糖や糖尿病になりにくいのです。
ご飯も糖質のかたまりなのに、なぜご飯は糖尿病になりにくいのでしょうか?
その理由は、ご飯のデンプンにあります。
デンプンの大半は、消化酵素によって分解されてブドウ糖になります。
しかし、デンプンの一部はオリゴ糖やレジスタント・スターチ(難消化性デンプン)に変わるのです。オリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やします。レジスタント・スターチは乳酸や酪酸や酢酸を生成し、それによってビフィズス菌や酪酸菌が増えます。つまり、ご飯を食べれば腸内環境が改善されるのです。
また、ご飯にはタンパク質が6%ほど含まれています。このタンパク質が、消化管ホルモンの一種であるGLP-1を活性化するのです。
GLP-1は、インスリンの分泌を促し、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑えます。したがって、GLP-1が活性化すれば、高血糖や糖尿病を防げるのです。
そのGLP-1が、ご飯に含まれるタンパク質によって活性化するのです。ただし、このタンパク質の恩恵を受けるには、『よく噛んで食べる』ことが大事です。
ちなみに、ブドウ糖の摂取量を控える必要はありません。なぜかというと、肝臓と筋肉にかなり蓄えられるからです。
例えば体重70kgの人であれば、肝臓に100g、筋肉には約250g、合計350gものブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えることができます。カロリーに換算すると、1400kcalもの量です。
体重40kgの人は、肝臓に60g、筋肉に150gほどしか蓄えられませんが、それでも合計210g(840kcal)のブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えられるのです。
通常の食事の平均的な糖質量は1食当たり75gですから、3食で毎日約225gのブドウ糖を摂取していることになります。そのうち100gは、脳が消費します。ブドウ糖は体温をつくるためにも、心臓を動かしたり呼吸を維持したりするためにも消費されています。脳の活動と体温の産生と心肺の活動をまとめて「基礎代謝」といい、男性で平均1400kcal、女性で平均1100kcalとされています。毎日これだけのカロリーが“どんなに安静にしていても”消費されるのです。
グリコーゲンの貯蔵量と基礎代謝をみれば、『ご飯を食べても高血糖にはならない』ことが分かるでしょう。実際、ほんの100年ほど前まで日本では、毎日平均茶碗8杯のご飯を食べていたのに、肥満や糖尿病になる人はほとんどいなかったのです。
つまり、ご飯の食べすぎなど心配する必要はないのです。
注意すべきは、「炎症」なのです。歯周病やリーキーガットによって炎症性サイトカインが増えることが、インスリン抵抗性を上げて血糖値を上げるのです。
「果糖」が高血糖を引きおこす
もう一つ、高血糖になる大きな原因は「果糖」です。
血糖は血液中のブドウ糖濃度なので、果糖は関係ないと思われるかもしれませんが、違います。
果糖が吸収されると、肝臓で100%中性脂肪に変わります。それによって、高脂血症や脂肪肝になります。
高脂血症や脂肪肝になると、インスリン抵抗性が上がります。とくに肝臓に溜まった脂肪から炎症性サイトカインが分泌されるので、インスリン抵抗性が上がります。その結果、高血糖になるのです。
つまり、果糖を多く摂るほど高血糖になりやすくなるのです。果糖を多く含むのは、果物や果汁、砂糖や果糖ブドウ糖液糖です。砂糖は、ブドウ糖と果糖が1分子ずつ結合した糖ですから、半分は果糖です。
お菓子の多くは、小麦粉と砂糖からつくられています。小麦粉のグルテンでリーキーガットになり、砂糖で果糖を摂ることになります。
コーラのような甘い炭酸飲料をはじめ、スポーツドリンクや経口補水液、エナジードリンクや缶コーヒー、乳酸菌飲料や酵素飲料などには、大量の砂糖や果糖ブドウ糖液糖が含まれています。
ご飯を控えて、お菓子や甘いドリンクで果糖を大量に摂っているのは、高血糖や肥満や糖尿病になりやすい食生活なのです。
食事を抜くと高血糖になる!
高血糖になると、「食事を抜こう」と考えがちです。
しかし食事を抜くと、次に食べた後、血糖値が跳ね上がるのです。空腹でいた時間が長いほど、食べた後に血糖値が高くなります。
とくに朝食を抜くと、昼食後や夕飯後に血糖値が上がりやすくなります。
最悪なのは、夜おかずだけ食べながら飲酒して、ご飯を食べないことです。お酒を飲むとアルコールを分解するためにブドウ糖を消費してしまうので、ご飯を食べなければ寝ている間に低血糖になってしまいます。低血糖になるとアドレナリンが分泌されるので、夜中に目が覚めてしまいます。
そのうえ朝食を摂らないと、非常に長い時間、低血糖で過ごすことになります。すると、昼食後に血糖値が跳ね上がることになります。
血糖値を下げる運動
運動して、筋肉のグリコーゲンを消費することも重要です。
それには、どんな運動が有効でしょうか?
例えば、「ランニングする」のと「早足で歩く」のと「ゆっくり歩く」のと、どれがもっとも効果的でしょうか?
ブドウ糖を燃やすには、酸素が必要です。
運動して息がハーハーするのは、筋肉に酸素が足りないサインです。
酸素が足りないと、筋肉は無酸素呼吸によってエネルギーを出しますから、短時間でバテテしまいます。そのため、長い時間運動できません。また筋肉疲労=炎症も大きくなり、炎症によってインスリン抵抗性が上がるため、高血糖になります。
つまり、ランニングや早足は逆効果なのです。ゆっくり歩けば筋肉に酸素が十分に供給されますし、長い時間運動を続けられますから、血糖値を下げられるのです。
1日のうちで、いつ歩くのがもっとも効果的でしょうか?
それは、夕方です。夕方に運動して体温を上げておくと、寝る頃にちょうど体温が下がって熟睡できるからです。熟睡とは、寝入りばなの3時間に深く眠ることです。
もし寝つきが悪いと、寝入りばな3時間の睡眠が浅くなり、疲れが取れません。すると疲労が蓄積して、高血糖になりやすくなります。
つまり、熟睡することも高血糖を防ぐために重要なのです。それには、夕方に歩いて体温を上げておけばよいのです。
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