Journal du 9 août
枯れ木が堆く積まれて白くみえる山、この枯山に現れるという伝説の龍について、電気測量士と登山家が話し合っている。登山家は、先日この山を越えて滋賀へ行こうとしたとき、たしかに龍の影を見たと言う。山の麓の町で働く電気測量士は、停電が起きたある日に、がま池の辺で龍の尻尾の衣が電線にひっかかっているのを見たと言う。登山家によると、その龍が天へ登っていく時に見えた尻尾は、まるで馬のたてがみのように、黒く輝きながら風にたなびいていた。一方電気測量士は、自分が衣をよく調べると青い粉が付いてい