Journal du 4 août
三条の喫茶店に来ている。お昼前だからまだ客は少ない。誰もいない二階席に座る。入り口付近の上が吹き抜けになっていて、シーリングファンがゆっくりと回っている。
午後からレポートの諮問があって、それが終われば夏休みだ。壁は暖色系の漆喰が塗られていて、アメリカのポップミュージックがかかっている。まだ客が少ないから喫茶店という感じがない。喫茶店でなければ、ここはカリブの賊のアジトだ、昼間はカフェとしてやっている感じの。とすると、僕は夏休みを待ちきれなくて一足早くバカンスに来てしまったわけだ。
アイスコーヒーをストローで飲む。一度アメリカには行きたいと思っている。かつて住んでいた湘南の町はカルフォルニア風の町だと言われている。本当のカルフォルニアには行ったことがないのだが、どこが「風」なのかは何となく検討がつく。これも不思議なことだ。
昨日はマイケル・フランクスについて調べていた。クワイエット・ストームというジャンルを牽引したらしい。それは、都市部の高級住宅街に住む富裕層の黒人が、一日の終わりに向けて軟着陸するためのゆったりとした音楽のジャンルらしい。おそらく立派な庭付きの邸宅にオーディオ機器や楽器などがあって、家事は召使いに任せて、ノンシャランに歌い踊ったり、それに聞き入ったりするような、そんな夜を過ごすのだろう。
レコードに針をゆっくりと落とす。一日の終わりにゆっくりと針を着陸させる。レポートに注釈を付けないといけないことを思い出した。今からゆっくりと作業しよう。
(日本語:595字)
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