安原美月

横浜の大学生 詩とか、文章とかを綴ります。 よろしく。

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    東京の街々での散歩に関する雑感をまとめたエッセイシリーズ。ご意見・ご感想・ご要望お待ちしています。

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虫食い旅行記 第二十八章 「極めて排他的なニワトリの集落」

峠ひとつ越えると何もかもが変わるこの世界では、熱帯雨林の山のてっぺんで尋常でない大風が吹くのを感じて、それが暗い暗い洞窟から発せられる風で、抜けてゆくうちにじっとりとしていた風がいつしかジェットタオル並に乾いていくことは大した不思議ではない。 洞窟以外の抜け道が存在しないこともまた、よく知れた法則である。汗で蒸れた体には有難い風を、少し時間をかけて受け止めながら進む。 何もかもが変わることに目を瞑れば、特段変わったことはない。 洞窟を抜けて眩しさに慣れ次第、目を開けば、

    • 社会変容における記述の読み方

      昨今は時代のスピードが速い、という。宇宙物理学の観点からいえば、光速の何十パーセントというスピードで移動していないと起こりえない現象だ。30年ばかりの超音速では到底敵わない(Oasis 30周年おめでとう) しかし、僕は確かにそれを観測したのである。大学図書館でのことだ。 大学図書館にて 僕は半分自分の専攻(地域経済学)に関連して(とはいえ実のところ半ば趣味のために)、都市社会学関連の専門書をよく漁る。 通っている大学が都市科学部というジャストミートの学部と、都市社会共生

      • [次の予定]

        寝ても覚めても叶わない 声には出せてもわからない 見わたす限りの夕暮れは 確かに綺麗だけれど このまま君のすぐとなり 数えてしまえば儚い だから笑ってみせたんだ 少し困らせたかもしれない 願えば願うだけ遠く離れて 憂えば憂うように怖くなる もう少し近くにいて 次の予定だけ教えてよ 祝祭だけで視界満たしてよ じゃなきゃ僕は 好きな君が 見たくなくて目をつぶってしまう 次の約束だけ決めておこう 重ねた数かたちを知らないままで 朽ち果てて 崩れたなら その日だけでいいよ 永遠

        • [月が半分輝くとき]

          往復10分のラブソングは いつも空へとすり抜けてしまう だから私の耳の奥まで 君が代わりに届けてよ ちゃんとしすぎても それで世界も 応えてくれるわけじゃなくて だから私のもう半分は 君がいいな ずっと 月が半分輝く夜に 街灯りの群れをかわして 月が半分輝く夜の どこにも君はいない ひとりとひとりがそれだけで 嬉しくって抱き合えたなら それで憎しいことも最初から ふたりの物って知ってるの 往復10分のラブソングは よいを隠してしまいます やがて直ると知っているから 三

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          [楽園]

          雲の向こうに瓦解を秘める摩天楼 あなた宛て、下界に散るバベルの塔 手元のことばかりわからなくなる 足跡の傷も知っているのに 証が欲しくて例え話を当てつけた ひとりがさびしくて確かな木立にすがった ただひとつの心が初めて分かたれるとき 宇宙も2つに割れる、そして揺らぎだす It's neverland 楽園が似合う下手くそな笑顔 うみだした血みどろ、僕の色を混ぜて 証人と名乗りを声高に上げた 郷里に背いた大鳥の姿 天蓋に願って 遠雷の呼び声 幻聴のように 小部屋じゅう、響

          パスタソース

          夢を見た。その時のそのまんまのようで、しかし体はふたつとも動かないでいて、俺はそれを押し付けているだけだった。余程の下手を踏んだのか、鮮血がキングサイズぐらいの水たまりを作っている。俺等が浸かっていると言うほうが正確だ。血の主はニコニコと笑っている。コイツの、この顔には見覚えがある。そうだ、初めてプリクラを撮ったときだ。目は細まっているのに大きく広い。視界を掴まれたまま、ありがたくない方の生暖かさが目のように俺を捉えて、そのまま瞳孔に飲み込まれていく。 その赤が一瞬それに見

          パスタソース

          住み処

          「そ……ね、落ち葉の……ら大……虫!す……く…いて…」 トントントントン。女の手元から調理音と、唇からか細い声。男は手元の収穫物を房から一粒ずつ取り分けながら、うんうん、それで?と相槌をしています。黄昏の橙光も窓枠を乗り越えられなくなってきた頃。男はそろそろ灯火を点けようかなと指を走らせました。 男は二人それぞれが暮らしの作業をしながら、会話を楽しむこのゆったりとした時間が大好きです。女の小さい声のすべてを聞き取れたことはいまだかつてないけれど、それでも確かに感情が乗っかって

          ホームドア

          数直線みたいなJR中央線の、三両目に立ちっぱなし。見渡したって楽しそうな人なんか1人もいない。挙動不審な私を咎めすらしない。だって縦軸がないんだもの。 ホームドアなんか作るな。優しさではなくて、冷徹だから。 私はいっかい、見てしまったことがある。現地だったかもしれないし、動画だったかもしれないし、現地で見た動画だったかもしれない。あの子には表情があった。 ホームドアよりいっそ、墓石を建ててしまえばいい。水子地蔵みたいなのでもいい。中央線の駅ごとに立ち並ぶ緩慢な悲しみは、どの

          ホームドア

          小狂群#001

          境目を壊したくなくてそっと注いだカフェオレが、少し苦い。 暑いねと 言われて、はじめて 汗垂れに 見とれて、はじめて 暑いと気づく 鬻ぐより 呼ばひてをかし 惚くれば 君見て笑う 臥牛春山 たよりない る   あ 縋   な は   た 私   が て   く し   れ 返   た 見↸  昨 セッメの日 0:09 サクラは凛々しく空を夢見ている。弱音を聞いてくれ、ユキヤナギ 見ることも聞くこともないその日より呼ぼうと思う、恋を悲劇と。 明後日は辞めるんですか、

          サクラは凛々しく空を夢見ている。弱音を聞いてくれ、ユキヤナギ

          サクラは凛々しく空を夢見ている。弱音を聞いてくれ、ユキヤナギ

          『日の出が来る前に』

          日の出が来る前に 独り言をかたどれたらなあ みえないそのしるし とめられないきざし 日の目を見る前に 見通す目があればなあ ねれないよのかげに はなあふれるほとり 鼓動に逆らうのは 苦しいことでしょう 鼓動の高まる音 独りをいいことに 日の出を呼ぶ声に 託すきざしのさし込めば しじまをねがめぐり ちしおがみをたどり 孤独に逆らうなら いっそ夢見言 孤独をさすらいつつ ひたる夢現 日の出が来る前に 独り言がとどいたらなあ みえないそのしるし とめられないきざし

          『日の出が来る前に』

          イージーマネー

          毎秒毎秒、当たり続ける宝くじのように私を蝕んで幸福は、にっこり笑顔でありがとう!って受け取ろうにも限りがあって、そのくせ際限なく忘却をせまられて。 実はすごく人間を上から目線で見ていて、それが的を射ていて悔しくて、いっときは当てつけだとばっかり思っていた、気がする。4年も前。あるいは最近。もう忘れたけど。…思い出せないけど。 ~ 額面を破り捨てるように、あいつの前から消えてやった。最初から好きじゃなかった、なんて嘘っていうか、誰に言い放ったのかといえば、強い気で居たい私が

          イージーマネー

          東京考察厨#番外編«横浜»

          2月は寒い。寒いのにも二種類あって、乾いた風がひりひりと肌を刺す寒さと、湿った空気や雨が内蔵まで染み込んでしまう寒さは、それぞれがそれぞれより寒い。北国にある地元より5度ぐらい高い気温だって、寒いものは寒いのだな。あとのことは、おひさま次第。 引越し先で受け取る寒さの歓迎されていない感じは、同じ街で4年ぶり2度目ともなればひとしお…なんだけど、それがどうやら横浜の本音でないことを知っちゃった今では気分も悪くなく、冷たい雨の中(つまり2個目のほう)寒い寒いと言いながら徒歩35分

          東京考察厨#番外編«横浜»

          [甘味料]

          本当のことだよ 本当なんだ しばらく一休みしよう 僕が傷をつけるから 癒やしておいで 全部知ってる神様は いったい何をしてるんだろうね 読み違えたなら感情は 鳥獣戯画のようなもの チック病まいも斜視の気も 患わずに僕はむしろ 何を言い当てられる? 何を見つけられる? 怖がるだけ無駄だよ 怖がってるうちは お人形遊びをしよう 僕が好きに弄るから 君も弄れば? カーテンを閉じきって 人工島に居候 シャンペンと偽って 小中の夢に溺れてる 丹田辺り締められて 惹かれた帰るを繰り

          [青天の霹靂]

          それはきっと青天の霹靂 息の長い出会いに浸るとき 四季の中でいま芽生えた命 世界樹に座っている 太陽の姿を誰も知らない 僕だって永遠を名乗りたい 歓声は浴びるものであるように 花道が続いている だから どうか踊り続けて 稲妻にも負けないで 青天にいつでも 浮かんでいて 太陽にも歯向かって 青天を貫くような 一瞬を見せて それはまるで青天の霹靂 残像がリフレインする稲光 堅牢なニューロン奥で捕らえて 煙たい砂辺が暴れてる そして誰もが死に絶えた夜に 呪文を紡ぐ音色ただ独

          [青天の霹靂]

          [天の川]

          俺の左腕を這い回る 青い色した静脈血管 順繰り堂々巡りの果てに 人知れず消えてゆくんだな 為替相場に乗せられて すっかり有頂天の百万ドルも 金は天下の回りものなんて 世知辛いことを言うんだな 理屈の話とかじゃなくて 俺はアンタに訊いてるんだ 一緒にならないか 天の川の伝説のように 必然だったみたいに 四ヶ月かそこらの命に 比べて家主は曖昧な 記憶に沿った名付けごっこを やめられないでいるんだな 顔も忘れた観覧券が 千切れてそして埋もれてる 最新作を積み上げた俺は 一安