[サワガニ]
君の郷愁で 瞳が潤むとき
映ってる ぼやけてる いるのは誰
浜の景色は いつもと同じ
にごった泡波と かぐわしい 風
溢れんばかりの 拍手を浴びて
足りなくて やがて 泣き出す
僕は代わりに 誰かの代わりに
おめかしをしている
君が代わりに 浜に誘えば
サワガニと遊んでいるよ
潮が引いて 誰かが消えたら
教えてくれないか
そんな日は およそ 見えないけれど
サワガニと遊んでいるよ
君の郷愁が 僕をはじき出すとき
分かってる それでも 岩のとなりで
遠くの潮目を 数えてあげるよ
知らない海と 較べるための
溢れんばかりの 言葉をついに
諦めて ただよう
僕は彼の海に 言葉よ 潮目に
届けと送り出す
そんな日は およそ 見えないけれど
サワガニと遊んでいるよ