「スランプ」について考える
(写真はカリフォルニア州中部の海岸:2021年8月撮影)
ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。
これをお読みいただいているあなた様も含めて、一人ひとりが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。
これを通してセルマネジメントのヒントや成長のための刺激が得られれば嬉しく思います。
今回は「スランプ」に陥ったときにどうするのかについて取り扱います。
「スランプ」って?
ここまで読みながら、「スランプ」なんて言ってるのは言い訳だよなって思っていらっしゃる方は、この記事を読む必要はないかもしれません。
「スランプ」は英語の「Slump」から来ています。
Slump:(ドスンと)落ちる、(一気に)崩れる
ガクンと何かが急に落ちることを意味する言葉です。
地質学的には、地滑りによって崩壊したことで、ぐにゃりと曲がった褶曲が地層の中にあることを「スランプ構造」と呼びます。
「スランプ構造」よりもよく知られているのは、スポーツ選手の成績が、今までよりもガクンと落ちてしまうときに使う「スランプ」。
これはスポーツに限らず勉強や経済などでも使われる言葉です。
また、個人だけでなくてチームや組織にも「スランプ」を使います。
はっきりとした原因がわかっている時には余り使われずに、何んだか調子が今ひとつ上がらない、一定の期間パフォーマンスが低下している、などと言うときに「スランプ」だ言いますね。
新年早々「スランプ」なんかの話しをするなと叱られそうですが、誰にでも「スランプ」に陥ったと言いたくなる時が来るのではないでしょうか。
どうやって「スランプ」になるのか?
「スランプ」についての認知学的な研究や脳科学的な研究もなされているようですが、原因を解明して「スランプ」に陥らない予防法や、「スランプ」になったら、これをすると必ず脱出できるというような方法は確立されていません。
ただ、「スランプ」と言うときには今までできていたことが、何かのきっかけでできなくなってしまうという身体的な面と、そのことについてあれこれと悩んだり考えるようになるという心理的な面があるように思います。
身体的な面は「症状」であると考えて良いでしょう。根本原因は私たちの内側にあると考えられているからこそ、脳科学や認知学での研究がなされているのだと思います。
noteのクリエーターのみなさんも「スランプ」になって、なかなか書けなくなってしまったという人がいらっしゃるのではないでしょうか。
私は書くのが遅くて、何を書くのかが分かっていて準備をしても、1500文字程度なのに早くて1時間、多くの場合2時間くらいかかってしまいます。
noteの先輩達は時間を30分と決めて書き上げてしまうようですが、羨ましい限りです。(いつかもう少し早くならないかなと思いながら書き続けています。)
私のように最初からできないときには、他の人と比較して「スランプ」なのだとは言いませんよね。
ですから、「スランプ」に陥る条件として、「ガクンと落ちる」ことができるレベルに自分が既に達していたという事です。
ある程度の成果を出していたからこそ、「スランプ」に陥ることができると言えますね。一定の調子がでていなければ、そもそも「スランプ」に陥ることもないのです。
そして、それまでの調子が出なくなった状態が永続的に続く場合には、「スランプ」とは言わないのです。
ということは、「スランプ」とは一定の期間で抜け出る事が前提なのです。
「スランプ」を「脱出する」という言葉が使われるのも納得です。
「スランプ」脱出
大リーグでも大活躍したイチローさんの「スランプ」対処法は、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どのようにして「スランプ」を脱出したらよいのか、と質問されたイチローさんはこう答えました。
うまくいかなかった時に引きずるのではなく、新たな気持ちで挑戦し続けることに集中しなさいという意味だそうです。このような言葉で表現したところが、イチローさんらしく感じます。
これをお読みのあなたも自分独自の「スランプ」脱出法をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どのような方法であっても、うまくいかなかった事や期待していた結果が出なかった時に、どのように対処するかについて共通している事があるように思います。
調子が出ないことにに捕らわれない。頭の切り替えをする。
あきらめてやめてしまわない。
(1)頭の切り替え
その時までの様に調子が出なかった、結果が出なかった、そんなことに捕らわれてしまうと「スランプ」から抜け出る時間がさらにかかる事が予想されます。
私の場合、少し休めるなら、休む。海や川に出かけてひたすら水の動きを見る。もう少し余裕があれば、スキューバダイビングをします。
仕事の場合、「スランプ」だからと言って休むわけには、いかないことも多いでしょう。
それでも、外に出る。深呼吸をする。Greeeenの曲を聴く。
自分なりの気分転換、頭の切り替えをいくつか用意しておくと良いかもしれません。
そうはいっても「スランプ」に陥った時に、自分一人で気分転換や頭の切り替えをすることは、難しいかも知れません。信頼できる友だちを持つことも大切ですね。
(2)継続的実践
「スランプ」だからもうダメなのだ、とあきらめては先がありません。
何かの原因でこれまでできていたことが、できなくなったわけですから、一度もできなかったわけではありません。
前のように調子が出ない、成果が上がらないからといってあきらめてしまっては、自分から負けにいくようなものです。
ですから、イチローさんも「辛くてもそのままやってください」といったのでしょう。
見方を少し変えると「スランプ」は,成長し続けようと思えば、必ずやってくるのではないかと思っています。
「成長曲線」といって成長を時間の経過に落とし込んで、グラフにしたものがあります。
この「成長曲線」は「曲線」とは言いますが、伸びては停滞し、また伸びるといった階段状に成長をするのです。
この停滞している期間が「スランプ」であるとも言えるでしょう。
「スランプ」の向こうに新たな成長が、未来の自分が待っているのです。