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短短奇譚

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主にショートショート、短編を書いています。 ジャンルはいろいろです。 たまにエッセイもあります。
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記事一覧

[ショートショート]ピクニック

 子供連れの四人家族がドライブをしていると綺麗な沢を見つけた。 「あなた、すごい綺麗なと…

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理想の国

暫く、執筆していなかったのでリハビリを兼ね不遜にも星新一氏の手法を真似つつ、試験的な作品…

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 今からちょうど一年前、父は新千歳空港の国際便ロビーから飛び立った。  定年退職後、よう…

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[短編] 代行サービス

(画像・原案: しょうの / 文: もぐられもん)  世の中にはさまざまな代行サービスがあふれて…

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[短編] 精神的に閉じ込められる話

 その時の僕はどうかしていたんだ。  今思えばなぜ、あんなことをしたのか。  事の発端は…

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[短編] シール

 街中で胸元にシールを付ける人が増えた。シールの貼り付けは義務ではないが、付けておいた方…

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[雑記] レストラン

 妻と職場の友人と札幌駅前にある新しいビュッフェ式のレストランに行った。おまけに、ランチ時のビュッフェは千円という格安だ。  駅前にありがちな薄暗い様式ではなく、どういうわけなのか高層階でもないのに窓から差し込む自然光のおかげでとても店内は明るくて、西洋風のインテリアはお洒落で素敵だ。  白いテーブルクロスをかけられた円卓に妻と二人で座り、店員から簡単な説明を受ける。  説明が終わると逸る気持ちを押さえながら、皿を取って列に並んだ。新しくできたばかりということもあり大勢の客で

[短編] 資本主義と豆の木

 チビでほそっちょのジャックは貧しい農家の生まれだ。北国の片田舎で母親と二人で暮らしてい…

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[短編] 男子生徒

 高校一年の夏休みを直前に控えた七月。  宿泊研修が終わると、教室内には目には見えない仕…

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[短編] 最後の夏休み

 夏の陽が暮れる頃。田んぼの中から蛙の鳴き声が聞こえてきた。泥の混じったような匂いの夜気…

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[エッセイ] この先に待ち受ける運命を知らず尻に敷かれる四本足について

 人類はいつの頃からだろう、臀部を乗せるための道具を使うようになった。  ずっと立ってい…

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[短編] 罪

 いろいろな出会いと様々の幸運と仲間たちに支えられてきた。  勇者は気がつくと、ついに魔…

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[短編] 人のかたち

「誕生日おめでとう」  学生時代の友人から久しぶりにLINEでメッセージが届いた。  当時から…

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[怪談] 夜の写真撮影会

 これは僕の兄貴から聞いた話なんだけどね。  兄貴は大学生の時に一夏だけ写真サークルに入っていたんだ。  それまで写真に興味なんてなさそうだったのに、ある夜に学友の軽自動車が迎えに来て出かけていった。  実は兄貴は仲間内四人で近くにある心霊スポットで写真を撮り、うまいこと何かが写っていたら夏の心霊特番に応募しようと考えていたらしい。  四人はコンビニで飲み物なんかを買い込み、夜のドライブに繰り出した。  僕の住む街の周囲には一、二時間も走らせれば色々と曰く付きの建物や公園、ト