[エッセイ] この先に待ち受ける運命を知らず尻に敷かれる四本足について
人類はいつの頃からだろう、臀部を乗せるための道具を使うようになった。
ずっと立っていると座りたくなるので、二足歩行を始めてしばらく経ってから、おそらく人は丸太や石の上に座るようになったのだろう。
それからどれくらいの月日が経ったのか。数多のアイディアによって現在の椅子の姿にたどり着いた。
物事の成立過程について敢えて調べずに、想像を巡らせるのはなかなか愉快だ。
きっと、最初は木の幹や洞窟の壁に背をつけることでより楽に座れることに気がついただろう。
誰かが一生懸命に石を削って一族の長の椅子を作り出したかもしれない。
またある場所では足を負傷して立てなくなった怪我人のために長時間座ってられるように丸太を削って椅子を贈呈してあげた人がいるかもしれない。
なんにせよ、特別な理由がない限りはわざわざ人間が人間のために自然物を加工した物品を用意することはしないだろう。
あれこれ想像したところで念の為に、調べてみる。
すると、確かに椅子の歴史は古いらしく古代は紀元前四千年前には古代エジプトの王の権威の象徴として使われていたようだ。
しかし不思議なのは日本ではちゃんと椅子が普及し始めたのは明治維新以降なのだそうだ。
一応、貴族だったり、将軍様だったり、偉いお坊さんが椅子っぽい何かに座ってたらしいがそれはイレギュラーな話。
日本人は歴史の上では長いこと椅子には頼らず、床に座るタイプの人種だったのだ。
何故なのか。
また調べずに想像してみる。
もしかして、囲炉裏? 囲炉裏のせいなのか?
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