運動が血中脂質に及ぼす影響
📖 文献情報 と 抄録和訳
運動トレーニングが血中脂質に及ぼす影響:系統的レビューとメタアナリシス
[背景・目的] 脂質異常症は心血管疾患(CVD)の主要な危険因子である。運動トレーニング(EXTr)はいくつかの脂質マーカーを改善するが,他のマーカーは改善しない。目的:ExTrによってどの脂質マーカーが変化するかを明らかにし,情報量がまだ無益に達していないかどうかを確認すること。
[方法] 有酸素運動(AT)、レジスタンス運動(RT)、および複合運動(CT = AT + RT)のExTrによる脂質プロファイルの期待効果量を明らかにするために、メタ回帰を用いた系統的レビュー/メタ解析を行った。
[結果] ExTrに関する関連する148のランダム化比較試験(RCT)を対象とし、227の介入群、合計8673人が参加した;運動5273人、座位コントロール3400人。
■ 運動が血中脂質に及ぼす影響:全般
・総コレステロール(TC):平均値が 5.90 mg/dL 減少(95%信頼区間 -8.14 ~ -3.65)。
・高密度リポタンパク質コレステロール(HDL):平均値が 2.11 mg/dL 増加(95%信頼区間 1.43 ~ 2.79)。
・低密度リポタンパク質コレステロール(LDL):平均値が 7.22 mg/dL 減少(95%信頼区間 -9.08 ~ -5.35)。
・トリグリセリド(中性脂肪):平均値が 8.01 mg/dL 減少(95%信頼区間 -10.45 ~ -5.58)。
・超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL):平均値が 3.85 mg/dL 減少(95%信頼区間 -5.49 ~ -2.22)。
■ 運動が血中脂質に及ぼす影響:運動種別の比較
・脂質異常症管理には有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが最適であった。
メタ回帰によると、有酸素運動セッションを週1回追加するごとにTCは-7.68mg/dL減少し、トレーニングを週1回追加するごとに-0.5mg/dL減少した。セッション時間が1分増えるごとにHDLはさらに2.11mg/dL増加した。
[結論] TSA分析により、ExTrが5つの脂質アウトカムすべてを改善することを確認するのに十分なデータが存在することが明らかになった。CTは脂質管理に最適である。観察された緩やかな効果は、一次予防のための脂質異常症の薬物療法を緩やかにする可能性がある。予測区間によると、TC、HDL、LDL、TGDは研究の4分の1でしか改善しない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
理学療法士として病院に勤務していると、患者さんからも、職員からも、
このような話をいただくことが多い。
今回の抄読研究は、まさにこの質問に対する大まかな答えを与えるものだった。
RCTを束ねて、合計8673人の大規模なデータをメタ解析して、運動が血中脂質に与える影響を明らかにした。
その結果として、運動全般が効果を持つこと、そして有酸素運動+筋トレの組み合わせ運動が最も効果的であることが明らかとなった。
今度は、このように答えていきたい。
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