漫画みたいな毎日。「比べるよりも、自分の場所で。」
「お父さんは、二男を優先している。」
時々、長男がそんな不満を夫にぶつけることがある。夫には勿論、そんな自覚はなく、私から見ても限りなく三兄妹に対して平等を心掛けていると感じる。
私や夫からすれば、長男が優先されていることの方が多いのではないかと思えるが、こればかりは、〈本人がどう感じるか〉であるので、周りがどうこう言ってもどうにもならないことなのだろう。
末娘は女子なので、兄妹間でも扱いが別というか、やはり同性同士というのは、何処か〈ライバル〉であるのだろうか?と思いながら観察している。
第二子以降の立場としては、兄や姉は、〈憧れ〉の対象だと思うし、何処か超えてはいけないような感覚もあるのではないだろうか。私の中では、そういう感覚が長い間あった。
長男は、我が家のミスターストイック。自分で決めたことは、最後までやり通す意志の強さを持っていて、感心している。勉強でも、習い事でも、筋トレでも、自分で計画を立て、コツコツと取り組むタイプ。
二男は、楽しいことが好き。楽しくないことはやりたくない。コツコツ取り組むよりも、ひらめきや瞬発力で動くタイプ。あまり練習していなくても、やったら出来てしまうことが多い。
数年前、鉄棒の逆上がりを練習する長男の隣で、初めて逆上がりした二男が、あっという間に逆上がりができ、隣でくるくると逆上がりをし始めたことがあった。
やってもやっても上手く逆上がり出来ない長男が悔し泣きをして、出来るまで帰らないと言って、公園で何時間も待った。
長男は、トランペットの練習をほぼ毎日、やる。
二男は、ギターの練習を気が向いた時に、やる。
別にどちらが良いとか悪いとかではないと思う。単にタイプが違うのだろうと思う。
「たいして練習もしないのに、二男がすぐにできちゃうのはどうしてなんだろう?ズルくない?そういうの。」と長男がボソッと呟いたことがあった。
「長男みたいに毎日、コツコツとかできないんだよなぁ。」と二男が呟くこともある。
長男は、第一子として、やはり開拓者のような立ち位置というか、色々な状況を切り開いていく人なのだろうと思う。
そして、その切り開いた道を第二子以降は鼻歌歌って歩いていく、みたいなイメージもないではない。
だからといって、それで、第一子が損をしているかと言えばそんなことはなく、その分、たくさんの人や経験との出会いが彼の財産になっていると思うのだ。
長男は、何かと目立つ。
良くも悪くも注目を浴びやすいようだ。長髪であったり、鋭い目つきで、野生の牡鹿のような様子がちょっと変わった雰囲気を醸し出しているのだろうか。
人に覚えてもらったり、声を掛けてもらったり、面白いと思ってもらうことも多いのか、大人の友人も多く、何かとお誘いいただくことも多い。ありがたいかぎりだ。
長男は、二男が優先されていると夫に苦情申し立てするが、それは、夫が長男を対等な男性だと思っているからではないかな、と私は長男に伝えている。
夫は夫なりに、長男を最大限尊重し、優先しているのだ。
それでも、14歳、大人になりかけているけれど、まだまだ甘えてたいのだよね、きっと。
大人と子どもを行ったり来たり、そんな時期だと思う。
存分に甘えたり、ああでもないこうでもないと楯突いたりしたらいいと思う。夫は大変だが、それを受けとめるのも父親の役割なのだろう。
二男と並んで料理をしながら、「長男を羨ましいとか思うことってある?長男はよく、二男は優先されてるとかいうじゃない?」と聞いてみた。
「長男は、いろんなことをコツコツやれるし、凄いなぁって思うけど、いいなとか羨ましいと思ったことはないかな。勉強でも、なんでも、長男と同じ様なやり方はできないから、自分は自分のやり方で、自分のできる方法で頑張ろうかなって思ってるから。」
私は、さらりと答えた二男の言葉に泣きそうなくらい心が震えた。
人と比べることはない。
自分は、自分のやり方で。
自分のステージで力をつけ、積み重ね、やっていけばいい。
二男はさらっとそんなことを言っていたが、私は、大人になってもなかなかそんな風に考えられなかった。
自分と人を比べて、自分が劣っていると落ち込んだり、羨ましいと思ったり、妬んだり、無い物ねだりをしたり・・・。
しっかりと相手を認めた上で、相手のことも、自分のことを蔑むこともなく、自分のやり方を模索する。
こんな考え方をする10歳。
彼がどんな大人になっていくのか、大人と言われるようになる頃には、彼の目の前にはどんな景色が広がっているのだろう。
想像するけれど、想像がつかない。
私の想像の範囲など、軽く超えていくのだろうから。
おまけ。二男の雪中のダンクチャレンジ。
連写モードで撮影しました。
なかなか綺麗なフォームじゃない?静かに着地する感じもいいねぇ・・・!映画・THE FIRST SLAM DUNKでの山王・沢北くんのシュート後の着地を思い出すあたりが親馬鹿全開ですがお許しください。笑
学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!