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#短編物語
【まいにち短編】#21 私のためのエッグベネディクト
鍋に水とお酢を入れて湯を沸かし、卵を落とす。
イングリッシュマフィンをトーストし、ほうれん草とベーコンを炒める。
トーストしたマフィンにベーコンとほうれん草とポーチドエッグを乗せて、こしょうと特製のソースをかけて、今日も朝ごはんが完成した。
友人からもらったちょっと良い海外のコーヒーを入れながら寝ぼけ眼の彼を呼び、
アンティーク雑貨屋で買ったこの家にある家具の中で一番お気に入りのテーブルに座る。
【まいにち短編】#20 月に一度の靄
ねむくて、ねむくて。
いろんなところがいたくて。
ずっとベットの上でスマホをいじる。
なにかをやる気もおきなくて、ただスマホをいじる。
おなかがすいてきたような気もするけれど
カップラーメンのためのお湯をわかすのすらめんどくさくて、ぐっとがまんする。
とにかくねむい。なにもやる気がおきない。
腰がいたい。頭がいたい。お腹がいたい。とにかくねむい。
あしたのことも考えられない。
それどころ
【まいにち短編】#17 ビタミン剤
「このビタミン剤を毎日飲むんだよ。そうしたら、長生きできるからねえ」
祖母はそう言って朝食後に毎日
瓶に『ビタミンC配合!』とデカデカと書かれたビタミン剤を私に渡してくれていた。
実際祖母は94歳、祖父は97歳で天寿を全うした。
父と母も、そして私も欠かさずにそのビタミン剤を毎朝3錠飲んでおり、今の所大きな病気もしていない。
実家を出て一人暮らしになってからも母が定期的に送ってくれるので
そ
【まいにち短編】#12 急がば回り続ける
急がば回れという言葉がある。
けれども、人間というものはどうしても急いでいるときは色々な障害を見ないことにして、突き進みたくなってしまいたくなる。
そして、後々面倒ごとを引き落こしたときに初めて自分の過ちに気づくものだ。
つまり、急いでいるときにやってくる障害こそが、本当に向き合わなければいけない、自分の問題だ。
でも、自分の問題がわからないときは…?
*
「はあ…」
「どうしたの?」
「