ふたつの絆創膏|ショートストーリー
雨は昨夜から降り続いていた。
濡れていたタイルに足を取られた私は、おおよそ何十年ぶりに、それはそれは盛大に転んで両膝小僧を擦りむいた。
あたりに人はおらず、持っていたビニール傘も前方1メートルくらい先まで飛んでいってしまった。
あっ!と思った時にはもう、足と腰に鈍い痛みが走り、思わず「痛っ…」と声が出てしまった。
あぁ、泣きたい、今すぐ泣き出してしまいたい。
膝小僧が、心臓の鼓動と連動するようにじわじわと痛む。俯いて雨に打たれながら、消えてしまいたいような、どうしようもな