suga

ことばを綴ります。ゆるりと読める小説や日記を更新中 //『僕が旅人になった日』(ライツ社)刊行中 // 写真ポートフォリオ→https://ysuga09.wixsite.com/sug09

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マガジン

  • sugaのショートストーリーたち

    気まぐれに書いた短い小説です

  • 好きなものまとめ

    読書感想文だったり、好きな食べ物のはなしだったり

  • 旅の記録

    今までの旅のことをまとめています。アイスランド、台湾、式根島、新島、青森…

  • 写真展のおぼえがき

    今まで行った写真展のちょっとしたレポのようなものです。

最近の記事

日曜日のひとりごと

夜22:00、友人を見送り同居人とカフェラテをのみながら本を読んでいる。最近、どんな風にみんなは過ごしているんだろうか。 毎日会社に行って、けれど前よりも時間には融通ができたような気がする。土日は予定が埋まっていた1月2月、ちょっとゆっくりしないとなぁと思いつつ、今日はのんびりとマリパなんかをやって、まさかのコンピューターに負けて笑ってしまった。(まさかスターを2個も最後さらっていくとは思わなかった!) 去年末から、何かに対して情熱を向ける…という映画によく触れている。バ

    • じんわりとした真夜中の頭痛

      平日夜、なんだか寝付けない日に部屋を暗くしてから良くないとは思いつつスマホを触ってしまう。 早く寝る日もあるし、毎日そうしているわけじゃないので悪しからず、と思いつつどこか罪悪感がある。 でも明日も朝起きたら会社に行って、終わらないように仕事をして、帰ってごはんを食べて…ぼんやりそうやって過ぎ去っていく日を感じて、ふとやりたい事を思い出すのだ。 じんわりと痛む頭を感じながら、やっぱりこうやってスマホをいじってしまう。 自問自答して真夜中に頭をじんわりと痛めている。 さて

      • 山のススメ

        5月、友人と山に登った。 都内はかなり気温が高い時期でもう夏に近いくらいだったろうか。 出発したのは朝の5時。 少しひんやりとした空気のまだ眠っている町を歩き、ぼんやりしている頭で電車に揺られ、人がまばらな都内の駅で友人と待ち合わせをしておにぎりやポカリスエットを買い込み、道具などを借りてバスに揺られて数時間、山の麓に到着した。山の周りは畑や田んぼだらけの場所だ。 まず登山口に着くまでに、人ひとりが通れる細い板2本を橋渡しにした道のようなものをひたすらに歩いた。両側は森、

        • 春と本と記録

          3月2日、朝。晴れ。 どうやら春が目を覚ましたらしい。 私はマフラーを巻くのをやめた。 鼻や目が少しもやもやとする。朝の光がどこか柔らかで、空気もついこの間まで氷の中を吹き抜けてきたような寒さが嘘のようにあたたかい。 昨日は筍ごはんを食べて、すっぱな甘夏を食べた。夜はなんだか眠れなくて、だけども今日もしっかり仕事なもので、目はパッと覚めた。 + 前はたくさんの映画を借りて部屋でひたすら見ていた。ちょっと前はエッセイや人文書や神話をひたすら読み、最近は自然に関する本を探

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        • sugaのショートストーリーたち
          25本
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          12本
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        記事

          Good-by|ショートストーリー

          彼女は"少し"変わった女の子だった。 話したことはなかったけれど、いつも大きな眼鏡とヘッドフォンをして気だるげに窓の外を見ていた。私と彼女"メアリ"はなぜだかいつも同じクラスになる。だけれど、一度も話したことはなかった。きっと彼女は私のことを、同じクラスのやつと思っていたに違いない。 彼女はいつもひとりだった、けれどそれが彼女にとって息をするくらい普通で、日常なことのようで、まったく気にしたそぶりはない。 彼女の書く文字はいつも右上がりになる。 ノート、黒板の文字、なん

          Good-by|ショートストーリー

          リュックにつけるキーホルダー

          駅なんかを乗り換えで歩いているとき、前の人のリュックについてる物が目につく事がある。 なにかのアニメのキャラのキーホルダーだったり、SNSで人気のいきもののぬいぐるみだったり…さまざまだ。 朝すれ違う可能性はあれど、その出会いはその時にしかない。もう出会うことはないかもしれない。そんななんとも不思議な出会いだ。 よく目を凝らさないと何なのかわからないときもあるし、ぱっと見でわかることもある。 ちなみに今日は目を凝らさないとわからなかった。それはゴリラのぬいぐるみだった

          リュックにつけるキーホルダー

          さよならの少し前のこと

          時折思い出す事があるのは、はじまりよりも終わりのことだと思う。 全てが終わる少し前の瞬間を不意に思い出すのだ。 とくにもうこの世にはいない人のことだ。 あたたかい体温や、やわらかな思い出は無意識でも、思い出そうとして思い出すことで。 全てが終わる少し前の出来事は、まるで消えない机についた跡みたいな気がする。 けれども、それを私は怖いとは思わない。 あの人たちは、どうしているだろうか。 + 何度か引っ越してきたけれど、その街を離れるときにはもうその家や街は思い出になっ

          さよならの少し前のこと

          パパの靴|ショートストーリー

          日曜日の朝早く、私はそっとベッドを抜け出し玄関でパパの革靴を履く。ひそやかに行われるその行為を私は誰にも話すことはない。 自分の足をそっと大きな靴に滑らして、パタパタと静かに玄関を歩いてみる。 パパの靴は、濃い茶色の皮で出来ていて、その茶色が靴と混ざり合いまるで古びた素敵な手紙のようなのだ。わたしのスニーカーは飛べそうな軽さだけど、パパのはずっしりとした重みがある。 まるで紳士になったかのように歩くと、パパが好きな雨の中を歌って踊る、あの映画の人みたいな気持ちなる。

          パパの靴|ショートストーリー

          2022/01/06の記録

          雪が降った。 帰りの電車の心配をする職場の人たちの声を聞きながら、私はあの芯まで冷えるような寒さや、足を雪に沈める時の感触を思い出していた。 帰り道にまだ踏まれていない真っ白な雪がありますようにと考えている大人気ない自分は出さずに、帰り道気をつけてくださいねと、早引きする後輩に話しかけた。 寒いのは実は結構好きだ。 風が強くない寒い日が私は好きだ。 息を吸い込むと肺いっぱいに冷たい空気が満ちる、そんな寒い空気はどこか透き通った水を飲んだ時のような心地になる。 空気自体が

          2022/01/06の記録

          ささやきの森|ショートストーリー

          深い深いどこまでも続いているような森を、 ぼくは歩いていた。 深呼吸をすると木や土や雨の香りが肺に満たされてゆくのを感じる。歩みを進めるごとに地面に落ちた木たちの乾いた葉たちがサクサクと音を立てていく。まっすぐ続く並木道の先には明るく大きな月がひっそりと浮かんでいる。 どんな生き物でさえ、眠りにつくような真夜中。 微かに草木を揺らすのはきっと彼らの寝息だ。 一見、寒さで身が縮むような景色も、実は誰かのあたたかな寝床であるのかも知れない。 足元を見ると何層にも塗り重ねられ

          ささやきの森|ショートストーリー

          さみしい明るさ

          12月に入って暫く経ったあたたかい日。 気がつくと辺りは暗くなり、次の日がまた刻一刻と近づいてくるのを感じる。 歩き疲れた足は、地面にくっついてしまいそうなじんわりとした痛みのようなものを感じさせ、本を詰めたリュックで肩は重く、ずしりとした痛さを感じた。 疲れたなとぼんやりと意識では思いながら、家路に着くために歩を進めると、大通りから少し外れた路地にチラホラとイルミネーションがついているのが見えた。 青、白、オレンジ。 チカチカ、チカチカと変わってゆくそれらは、職場の近

          さみしい明るさ

          サンドイッチ屋の黙想|ショートストーリー

          パンにバターとマスタードを塗る。 レタスを挟む、トマトにハム、チーズにマヨネーズ。 そしてまたレタス。最後にパン。 サンドイッチって回文みたいだ。 僕は大学生で、街角のサンドイッチ屋さんでアルバイトをしている。店先にベンチがひとつある、こじんまりしたサンドイッチ屋だ。 ほどほどにお客さんは来るし、来ない時は街ゆく人を眺めるのが日課となっている。 店長さんも不思議な人で、店のすぐ裏で小説を書いたりなんかしている。どうやら有名な小説家らしいのだけど、恥ずかしがり屋なのか、全

          サンドイッチ屋の黙想|ショートストーリー

          わたしたちはみんな、ゆっくり走る練習が必要だ。(『千個の青』より)

          昔、まだ走るのが一番楽しかった頃のことをふと思い出したのは、マスクをしながら階段を上がって、否応もなく息苦しさを感じたときだった。 + 走るというよりは、前に押し出されているという方が近い感覚は、まるでどれだけでも早く走れるような気がしていた。 いまはどうだろうか。 前に走ったのは、たしか乗るはずの電車に遅れそうになって走っては止まって歩いて…と繰り返した日だったはずだ。 + どこか果ての無いような確信めいたものを信じられたあの頃ほど、無敵だった時はないなぁと今で

          わたしたちはみんな、ゆっくり走る練習が必要だ。(『千個の青』より)

          空腹のための記録

          ガパオが食べたい。 こんな時間にふとそんな言葉が頭をよぎる。 深夜まで起きてると、 時折ぼんやり頭に浮かぶごはんたち。 実はそんなにご飯に対して熱量がある人間ではないのだけど、時折何か食べたくなって仕方なくなる時がある。きっとだれしもあるんだろうけれど、今日はタイ料理のようだ。 ごはんって毎日食べるものだけど、その時になると何が食べたいか思い浮かばないなんて事がよくあるので、今日はなんとなく空腹メモをしておこうと思う。 + そう、今日はなんだかガパオが食べたい。 油で

          空腹のための記録

          ひそやかな時間たち

          今朝仕事で早朝に家を出た私は、車のボンネットにある水滴に目を奪われていた。つるりとした光の粒のようなものがとてもきれいに見えたのだ。 たしか昨夜は満月で、深夜には雲も晴れてきれいな夜空だったような気がする。ということは、わたしが寝ている間に雨が降ってきたのだろう。 そのことに気がつくと、空気がなんだかしっとりとしているように感じたり、地面が濃い色になっていることに目がいくようになる。 人生の中で睡眠が占める割合は、1/3らしいとどこかでみた事があるけれど、自分が寝ている

          ひそやかな時間たち

          まともじゃないのは

          昨日の話だ。 今日はずっと待っていた本の発売日で、なんとなくAmazonではなく書店で本が並んでいるのをみたくなった私は、近所の徒歩15分でつく本屋まで息抜きも兼ねて散歩することにした。 横を通り過ぎてゆく自転車や車、ランニングの人…世界は忙しなく動いている。 なんとなく歩いていると、前方に犬を抱えた女の人がゆっくり歩いているのが目に入った。 自分と同じ方向に歩いてゆく、その人は夕空をみながらゆっくり歩いている。私はそっと追い抜こうとしたが、反対側から自転車で彼女の知り合

          まともじゃないのは