マガジンのカバー画像

sugaのショートストーリーたち

25
気まぐれに書いた短い小説です
運営しているクリエイター

記事一覧

Good-by|ショートストーリー

彼女は"少し"変わった女の子だった。 話したことはなかったけれど、いつも大きな眼鏡とヘッ…

suga
2年前
8

ささやきの森|ショートストーリー

深い深いどこまでも続いているような森を、 ぼくは歩いていた。 深呼吸をすると木や土や雨の…

suga
3年前
5

パパの靴|ショートストーリー

日曜日の朝早く、私はそっとベッドを抜け出し玄関でパパの革靴を履く。ひそやかに行われるその…

suga
2年前
6

サンドイッチ屋の黙想|ショートストーリー

パンにバターとマスタードを塗る。 レタスを挟む、トマトにハム、チーズにマヨネーズ。 そして…

suga
3年前
12

『ショートストーリー』で一息どうぞ。

涼しい家の中からまだまだ暑い窓の外を眺める日々が続いている。 こんな日の夜はなにか冷えた…

suga
3年前
14

風変わりな隣人|ショートストーリー

最近、隣に引っ越してきた奴の顔付きはなんだか少しだけ風変わりだ。 そもそもこのアパートに…

suga
3年前
14

トーキーのひみつ|ショートストーリー

この小さな街には何ヶ月かに一度、 話し屋のトーキーがやってくる。 彼は、世界中を旅していて、街の人々に様々な国の話を語っては去ってゆくのだ。子供もおとなも夢中になって、彼の話を聞き、はるか彼方にある国の市場の活気を感じたり、夜の街の静かで寂しげな風を感じたりするので彼が去ったあともみな、彼が街に来るのを心待ちにしている。 機嫌の悪い酒屋の主人も、いたずらばかりの少年も、生まれたばかりの赤ん坊も、気難しい先生も、みんなが彼を囲んでお茶やお菓子を食べながら、彼の話に耳を傾け、

ふたつの絆創膏|ショートストーリー

雨は昨夜から降り続いていた。 濡れていたタイルに足を取られた私は、おおよそ何十年ぶりに、…

suga
3年前
21

once upon a time|ショートストーリー

何処からか、あたたかな風の音がする。 目を開けるとそこは一面の黄金色の草原だった。 寄り…

suga
3年前
10

異国の風|ショートストーリー

麻のシャツは風通しが良く、この国で過ごすにはとても重宝していた。 執筆活動の最中、気分で…

suga
3年前
19

のこされた言伝|ショートストーリー

その森には驚くほど大きな足跡が残されている。 大体、わたしの体くらいだろうか、寝そべると…

suga
4年前
10

深夜の手紙|ショートストーリー

気がつくと最寄駅で飛び起きた、急いで鞄を持って電車を降りようとした瞬間。 目の前で扉が閉…

suga
5年前
2

魔術師の庭|ショートストーリー

ガラスに覆われたその植物園は、街外れにある。 中に入ると、草木と土のかおりが全身を包み込…

suga
4年前
9

永日の朝|ショートストーリー

それはとても静かな冬の朝でした。 辺りはほんのりと青く白い雪で覆われ、木々も鳥もとても静かです。 隣の家までは随分と離れたこのお屋敷はとても大きくて古いもので、物好きな父が是非にと友人から譲り受けたものです。 今では父も母も他界し、兄も街に出てしまいました。 私はこの家が好きだったので、一度遠くに旅に出たきり、この屋敷で静かに暮らしています。 雪が止み、太陽が昇り始めると鳥たちが窓際までやってきては歌を奏で、太陽の光がまっさらな雪を柔らかな光で少しずつ照らしていくのがみえ