トーキーのひみつ|ショートストーリー
この小さな街には何ヶ月かに一度、
話し屋のトーキーがやってくる。
彼は、世界中を旅していて、街の人々に様々な国の話を語っては去ってゆくのだ。子供もおとなも夢中になって、彼の話を聞き、はるか彼方にある国の市場の活気を感じたり、夜の街の静かで寂しげな風を感じたりするので彼が去ったあともみな、彼が街に来るのを心待ちにしている。
機嫌の悪い酒屋の主人も、いたずらばかりの少年も、生まれたばかりの赤ん坊も、気難しい先生も、みんなが彼を囲んでお茶やお菓子を食べながら、彼の話に耳を傾け、