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失って得たもの 悲しみはいつか優しさにかわる

悲しみの波にさらわれ
暗闇にひとり取り残され
身体が重たすぎて起き上がることもできないとき

もう笑いあうことも
存在を近くに感じることもないかもしれない 
あの人の後ろ姿がだんだんと遠くなっていく

空の色も
風の光も
透き通っているのに

心が動かない

しあわせになりたくて
愛する人とささやかなうれしいことを集めて
生きていきたかっただけなのに
どうしてこんなにもうまくいかないのだろう

またひとりになってしまった
がんばったけど
今度こそはとがんばったけど
やっぱりダメだった

今はただ
夜の底で沈んでいたい
何も聞こえない
何も届かない
夜のそこで

明けない夜はない
いつか夜は明ける
夜明け前が1番暗いと自分を励ました

でももう
力がなくなった
話せる人はいない

あの人の後ろ姿は小さくなった
いつの間にかわたしの知らない人になっていた
それが悲しかった

何かを得れば何かを失う
何かを失えば何かを得る

わたしは多くのものを失った
わたしは何を得ただろうか

心に穴が空いた
はじめて本当のわたしの心を聴いた
「もしもまたあの人に巡り会えたら
 あなたが大好きだよと言いたいです」と
 その声は言った
涙が止まらなかった
本当の声だと分かった
喉がヒリヒリと熱くなった
心に命が戻った気がした

いつからかわたしは自分の心に蓋をして生きていた
何も感じないようにするために
本当の心で生きるにはあまりにも辛すぎた
心に蓋をして感情を麻痺させたけど
自己欺瞞の人生にいつも
どこか空虚さを感じていた
だけどそれも気にしないようにしてきた

そしたら心が死ぬようなことばかりが起こった
体調を何度も崩し
耐え難いことばかりに囲まれるようになった
体調を壊してもなお
わたしは自分の心を無視していた
自分の心を認めてあげなかった
自分の心を護ってあげようともしなかった

そんなわたしへの気づきを促すために
わたし自身が引き寄せた出来事たちだったのかもしれない
わたしの心そのままの世界が展開されていた

またあの声の主人に逢えるかな
あの声は確かにわたしの声だった
あの声を探している
わたしの本当のことばを

音も聞こえない
何も見えない
この世界から
わたしは色の見える世界に行けるだろうか
沈んだ身体を起して
本当の自分に戻っていけるだろうか

失ったものは 
偽りのわたし
得たものは
本当のわたしの心

これからはたくさんお話しを聴いてあげる
嫌なことはしなくていい
嫌な人と無理して話さなくていい
よく頑張って生きてきたね

休みながら
寄り道しながら
立ち止まって途中の景色を眺めてみよう
風の冷たさ
街の匂い
空の色
心にいっぱいきれいなおみやげを詰めて
本当のわたしと生きていきたい

その道の先で
本当のわたしであの人とまた巡り逢いたい
その時はまっすぐに
言えるだろう
「あなたのことが大好きだよ」って

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