阿部 重夫

ノンフィクション・ライター兼編集者。調査報道の最先端から、知的に「美しいメディア」を始めようと独立。翻訳、批評などウィングを広げ、めざすはA terrible beauty is born.

阿部 重夫

ノンフィクション・ライター兼編集者。調査報道の最先端から、知的に「美しいメディア」を始めようと独立。翻訳、批評などウィングを広げ、めざすはA terrible beauty is born.

マガジン

  • ストイカ(Σtoica)

    個人編集のオピニオン誌。調査報道の最先端から転じて、優れた政策とビジョンの花咲爺いへシフト。事実だけでなく禁欲と論理が必要なので、ストイック(Stoic)の強さと、ユークリッドの『原論』(ストイケイア)の美しさを兼ねたメディアを育てる。

最近の記事

Σtoica(ストイカ)は引っ越します

季刊誌として2020年4月にスタートした阿部重夫個人編集のオピニオン誌「ストイカ」は、21年11月1日からオンラインに移行し、パソコンとスマホの両方で読める新ネット・メディアに生まれ変わります。サイトのURLはこのnoteから、以下の独自サイトに移行します。 https://stoica.jp/ (11月1日公開) 長らくお待たせしました。コロナ感染症の大波が何度も日本を襲うであろうことを見越して、20年10月に4・5号(秋・冬)合併号でコロナ大特集を組んでから約1年の〝

    • ストイカ4・5号合併号のおすすめ記事

      オピニオン誌ストイカ4・5合併号がお手元に届きましたでしょうか。ずしりと重く76ページもあって、前号の36ページから一挙に40ページも増やしました。グローバリズムの転換点になると直感した2月から、オピニオン誌として新型コロナウイルス感染の特集をやりたいと虎視眈々と狙っていたのですが、第二波のピークを過ぎかけた(あるいは第三波の始まり?)いまを措いてやるタイミングはないと信じ、一気に2冊分をつくりました。 冒頭の「コロナ禍」偶然の僥倖は続かないは、バイオ医薬品規制の第一人者で

      • 最新ストイカ4号のおいしいメニュー

        オピニオン誌ストイカって何? 未読の皆様に概要をご紹介しましょう。 「ストイカ」とは、日本経済新聞編集委員兼論説委員、月刊誌「選択」編集長、同「FACTA」創刊と長年調査報道に関わってきた阿部重夫が、斬った張ったのスキャンダル報道だけでなく、岐路に立つ日本の「プランB」を模索するために19年10月に創刊した新しいタイプの季刊オピニオン誌です。ストイック(禁欲的)という意味と、ユークリッドの「原論」(ストイケイア)の二つを重ねたタイトルです。 百聞は一見に如かず。最新号のス

        • ストイカ3号を滑り込みで刊行しました

          しばらく無音でしたが、季刊のストイカの3号(2020年4月号)の準備と編集と発送にかかりきりでしたので、ご容赦ください。すでに2月から新型コロナウイルスの雲行きが怪しくなり始め、まだ歩き始めたばかりのオピニオン誌の刊行を続けられるか、また1,2号は無料でお送りする非売品だったのを、春号から有料化して年間購読にしようと考えていたので、この時期に移行できるかの判断がつかず、ずいぶん思い悩みました。  しかし、3月に入ってパンデミックの長期化が視野に入ってきたとき、このような逆風

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        • ストイカ(Σtoica)
          21本

        記事

          ストイカ2号公開 畔蒜泰助氏寄稿

          ミサイル早期警戒で「ロ中連携」の布石    畔蒜泰助         笹川平和財団シニア・リサーチ・フェロー          (安全保障研究グループ) ・ロシアと中国は「戦略的パートナー」以上、「軍事同盟」未満に。 ・ロシアは日本も参加する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想」を米国主導の「中国封じ込め」とみて警戒的。 ・ロシアのインド太平洋での狙いは、米国中心の地域秩序を多角化した上で、中国には完全依存しない自らの戦略スペースの確保。 アメリカのトランプ政

          ストイカ2号公開 畔蒜泰助氏寄稿

          ストイカ2号公開 小川和久氏寄稿

          中国は「第一列島線」を防衛できない 小川 和久     軍事アナリスト     静岡県立大学グローバル地域センター特任教授     国際変動研究所理事長 ・「空母キラー」DF21 ‒Dは、移動目標への実射実験がなく、米空母に命中させられない。 ・「張り子のトラ」ではなくなりつつあるが、R&Dでもアメリカに大差。 ・日本は韓国と違い、アメリカの戦略的根拠地なので、撤兵などはありえない。 中国の海洋での基本戦略は一般にA2AD(接近阻止・領域拒否)とよばれる。これは有事

          ストイカ2号公開 小川和久氏寄稿

          ストイカ2号公開 山本一生「流視逍遥」

          映画評やテレビ票はあるが、ネットフリックスやアマゾン・プライムなどで放映される連続ドラマの評がなぜかない。上映2時間余の映画はしょせん短編小説の世界で、1シーズン10話も20話も続くストリーミングの連続ドラマには長編小説を読む醍醐味がある。はまったらやめられない、この世界に「日記逍遥」の近代史研究家、山本一生が挑む本邦唯一の批評コラム。 ライン・オブ・デューティ    配信/ネットフリックス 5シーズン全28話 1話58分(5シーズン第 6話のみ84分) 原作/ジェド・マ

          ストイカ2号公開 山本一生「流視逍遥」

          ストイカ2号公開 山口昇氏寄稿

          GSOMIA「破棄回避」韓国を貶めるな   山口昇 国際大学教授、笹川平和財団参与、        元陸上自衛隊研究本部長、陸将      ・日米韓トライアングルの後退は、グローバルな「オセロ」で敗着の恐れ大。 ・韓国が「アチソン・ライン」の向こうに去れば中朝を利し、対馬海峡が最前線。 ・北朝鮮が新たな挑発に出るなら、韓国軍の本意はアメリカ繋ぎ留めにある。 アメリカのトランプ大統領は、2016年の大統領選挙中から、世界の安全保障でアメリカが背負っている負担の軽減を主張し

          ストイカ2号公開 山口昇氏寄稿

          ストイカ2号公開 石破茂インタビュー

          日本の安全保障を好き嫌いで語るな 安全保障をこの国は真面目に考えたことがあるのか。最近またそう懸念せざるを得ない出来事があった。韓国に対する一連の対応である。 国民的支持のない外交は成り立たないが、国民の感情にまかせた外交もまた、国益を損ねることがある。例えば日露戦争後には、ポーツマス講和条約締結反対で日比谷公園焼き討ち事件が起きたが、あのまま戦争を続けていたら、日本は負けていただろう。 先の大戦でも、国民を煽ったのは間違いなくメディアだった。国民の感情は手がつけられな

          ストイカ2号公開 石破茂インタビュー

          ストイカ2号公開 コラム Apholists

          進んだら帰れないHome 休んでも止まらない時計    (BAD HOP  "Kawasaki Drift") 日本語が異国の言語に聞こえた。和製ヒップホップなんてどうせ猿真似かと思っていたが、耳を澄ましてみると、ビートと咆哮が何か別の現実を語りだした。川崎臨海部育ち、元不良の双子を核にしたラッパーの彗星が、荒廃した日本のフラッシュバックを散乱させる。 出現したのは、埋立地の工場群とコンクリートに閉ざされた人外境だ。岡崎京子の「リバーズ・エッジ」が90年代に予見した通

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          再生

          映画CATSはフランチェスカに一見の価値

          アナ雪2やスカイウォーカーに興行成績で負けているだけに、この映画をこき下ろすのが流行になっている。へそ曲がりだから、ほんとにそんな駄作かと思ってみてみたが、あの回転舞台の臨場感はないとしても、合格点をあげていい。 豪華キャストに新曲「ビューティフル・ゴースト」までてんこ盛りにしたのに、CGを使っては夢が壊れるというのは、結局、舞台版のイメージを壊すなと言っているだけのこと。90年代にロンドンで舞台を見たが、舞台だって超ロングラン上演でかつての精気を失っていた。顔見世興行によくあるように、スターをそろえすぎて、その時間配分のやりくりが大変だったことはうかがえる。テイラー・スウィフトとイドリス・エルバの扱いはさぞかし苦心したろう。 しかしロイヤル・バレエのプリンシパル、フランチェスカ・ヘイワードの演じる白猫ビクトリアは素敵だった。その身ごなしは計算されつくしていて、ほかのダンサーたちと違う。だが、彼女はケニアのナイロビ生まれ。実物の写真を見ると、かすかに褐色の肌をもつ美女である。それが白い化粧を施し、捨てられた上流社会の白猫を演じさせたあたりに、この映画が反感を呼び覚ました理由がある気がする。それを確かめるためにも、彼女は見ておく価値があると思う。 「レ・ミゼラブル」もそうだったが、俳優たちは撮影現場で歌ったらしい。本来、踊り手のフランチェスカも「ビューティフル・ゴースト」を歌っていた。それを下手と言っては気の毒だろう。この映画への酷評は、どれもないものねだりをしている。映画評など好き好きだから、目くじらを立てるには及ばないが、すくなくともT・S・エリオット好き、「メモリー」好きにとって、この映画は十分楽しめる出来である。

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          新歌舞伎版「風の谷のナウシカ」初日

          12月6日、東京・新橋演舞場で公演が始まった新歌舞伎「風の谷のナウシカ」の初演を見に行った。宮崎駿の原作漫画は徳間の「アニメージュ」で1982年から延々と12年間連載した長編で、84年に公開されたアニメ版「風の谷のナウシカ」は、まだ連載開始からほどない時期だったため、冒頭部分のエピソードから構成されており、長編全体のごく一部にすぎない。そのアニメから35年目でとうとう歌舞伎化された今回の上演は、その全編を昼の部と夜の部の通し狂言で見せるというのである。 80年代にアニメ版を

          新歌舞伎版「風の谷のナウシカ」初日

          「ガラスの蜂」とテキーラ・サンライズ

          12月12日発売の翻訳『ガラスの蜂』の見本刷が届いた。   ご覧のように帯(腰巻)は黄色から深紅へのグラデーションになっている。この色をデザイナーに説明するのに、カクテルの「テキーラ・サンライズのように」とお願いした。で、完成を祝して銀座のバーでテキーラ・サンライズを注文、ふたつを並べてシャメしたわけだ。   なぜテキーラ・サンライズにこだわったか。ガラスの蜂の胴が紅茶色、目が黄色なのでそのトーンを合わせただけでなく、文中にガラスの蜂が花の蜜を吸って集めた蜂蜜が、しだいに濃

          「ガラスの蜂」とテキーラ・サンライズ

          I'll be backの大戦果

          フェイスブック方面ではお知らせしたが、「ストイカ」がまだ季刊なので、途中でつかんだスクープをタイミングよく打つには、インターネットに頼らざるをえない。そこで臨機応変に記者を集めて取材し、それをオンライン媒体で打つチーム「ストイカ」の仕組みを実験してみた。 それが東洋経済オンラインで11月21日に打った「衝撃事実! GPIF理事長『処分』は謀略だった」である。 それに先んじて現代ビジネスで伊藤博敏記者が「激震…GPIF「理事長スキャンダル」の裏に潜むセクハラと人事抗争」を公

          I'll be backの大戦果

          翻訳「ガラスの蜂」12月12日発売

          「満目青山は心にあり」で予告していた初のドイツ語の翻訳ーーエルンスト・ユンガーの『ガラスの蜂』(田畑書店、税込3080円)が、表紙デザインも決まり、最終校了して印刷に入りました。発売は12月12日(木)です(一報を⒓月2日としましたが、間違いでした。訂正します) 写真は作者が第一次大戦でドイツ兵士最高の勲章、プール・ル・メリットを最年少で受賞したときの記念写真。鉄十字章しかもらえなかったヒトラー伍長とは段違いの戦功で、ルーデンドルフ参謀総長らと肩を並べました。なかなかハンサ

          翻訳「ガラスの蜂」12月12日発売

          ストイカのオンライン有料サロンを始めます

          10月に創刊した季刊オピニオン誌「ストイカ」(非売品)は、単に定期刊行のマガジンだけでなく、もっと多様なチャネルを持ちたいと考えています。そこで紙媒体とは別に、阿部重夫個人のオンライン有料サロン「ストイカ・プレミアクラブ」を並行して始めることにしました。11月15日から申し込みを開始、12月から正式スタートします。 理由は「ストイカ」を既存マスメディアのような一方通行のモデルでなく、購読者(audience)またはファンとの双方向モデルにしたいからです。言いたいこと、訴えた

          ストイカのオンライン有料サロンを始めます